あなたは北欧に対してどんなイメージを持っているだろうか? 福祉国家、壮大な自然、テキスタイルや家具などのデザイン、独自のカルチャーを築いた音楽や映画――たくさんの文化があり、その一つひとつが「北欧」としてのアイデンティティーをつくっている。
革新的なデザインと安全性で世界中を魅了しているスウェーデン発のVOLVOと、CINRA.NETから生まれた『Fika』は、「北欧カルチャーマガジン」として2017年にスタートした。北欧を語るうえで欠かせないふたつの精神として、伝統の手仕事やものづくりの「クラフトマンシップ」と、IT技術や福祉先進国などの「最先端」がある。『Fika』では、そのふたつからインスピレーションを得た企画のほか、北欧の人々が大事にしている「無理をしない」「自分らしくいる」といった生き方を体現している著名人などを取り上げてきた。
今回は、2021年1月から6月までの期間で、最も読まれた記事をランキング形式で紹介したいと思う。
10位から8位までを発表。タトゥーアーティスト・AV業界・手話――独自の世界で生きる人々
第10位:11歳のタトゥーアーティストNOKOと父親GAKKINのオランダ生活10位は、2020年6月に公開した記事がランクイン。タトゥーアーティストとして活動する親子にオランダでの生活について語っていただきました。
父のGAKKINさんは、日本からオランダに移住したことで、仕事への向き合い方や家族との時間に大きな変化があったそうです。オランダの、本人を尊重する子育てや周囲の環境に、新たな発見を得たGAKKINさんは、「衣食住をストレスフリーにすることは創作のうえでも大事」と話します。11歳の娘・NOKOさん(取材当時)にも登場いただきました。
第9位:戸田真琴が母の姿と重ね思う「女の値札をはがされる日」の自由スウェーデンは「性の先進国」とも呼ばれているが、日本はどうだろうか? そんな問いがきっかけとなり2009年にスタートした連載『戸田真琴と性を考える』。AV女優兼コラムニストの戸田さんが、さまざまな視点から現代の性について赤裸々に記した人気コラムです。今年3月に公開した10回目は、「母の生理」のエピソードからはじまります。「私はいずれ、女として見られなくなる日が、来る」の言葉とともに語られるは、「女として」「性的眼差し」「装い」などについて。
きれいでいようと思うのは誰のためだろう?――そんなことを思い始めた女性には必読の内容。もちろん、男性にもぜひ読んでほしい記事です。
第8位:手話という表現の世界。NHK手話ニュース那須英彰が語る「私にとって手話は言葉です。言葉を使ってコミュニケーションを取ることで、私は生きている実感が湧いてくるんです」――2歳の頃に全ろうとなり、現在はEテレ『手話ニュース845』のキャスターを務める那須さんに、手話の世界についてインタビュー(動画あり)。
手話の自由な言語表現から、「ろう者の手話(=日本手話)」と「日本語をベースにした手話(日本語対応手話)」があるということまで、たくさんの発見があります。第一言語が手話の那須さん。第二言語である、日本語の読み書きが苦手ななかで、学生時代に女子高生と交換日記をしていたエピソードなど、小さい頃のお話もうかがいました。
ちなみに、スウェーデンは手話と書記言語のふたつを習得させる「バイリンガルろう教育」の先進国でもあります。
続いて7位から4位。音楽、映画、建築、お笑いの第一線で活躍する著名人がランクイン
第7位:ペトロールズ長岡亮介が自転車に乗る理由。日常生活が冒険に変わるスリーピースバンド・ペトローズとして活動するほか、今年話題となった春ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)に俳優として抜擢され、注目を集めた長岡さんが「自転車愛」を大いに語った記事が第7位です。
デンマークの首都・コペンハーゲンは、「世界で最も自転車にやさしい国」に選ばれるほどの自転車大国。小学5年生のときに父親から譲り受けたことをきっかけに自転車にハマったという長岡さんは、「気軽に冒険できること」が魅力だと言います。また、楽曲のアイデアや、瞬間的なひらめきが浮かぶといった、創作への影響などについても。
第6位:小林聡美が語る、肩の力の抜き方。むきだしの自分でいる大切さフィンランドの日本食堂が舞台となった映画『かもめ食堂』は、現在でも多くのファンを持つ作品のひとつです。その主演であり、2021年1月スタートのWOWOWドラマ『ペンションメッツァ』の主演も務めた女優の小林聡美さんが『Fika』に初登場。大自然のなかでゆるやかに暮らす物語にちなみ、私生活で大事にしていることをインタビューしました。
「みんなが知っていることを知らなくても、別に良いんじゃないかな」という小林さんの言葉から、人と比べるのではなく、自然体でいられる自分と、そんな時間をつくることの大切さを学ぶことができます。
第5位:半田悠人の建築愛の根源を辿る。幼少期から続く「空間」への欲望第5位は、建築家・半田さんの連載コラムの最終回がランクイン。1回目では、北欧の巨匠建築家、アルヴァ・アアルトなどについて綴っていましたが、こちらの記事では、「建築とは遠くにある不可侵なものではなく、私たちの身近な存在である」ことを、幼少期の体験をもとに紐解いています。まさに、最終回にふさわしいテーマとなっています。
とくに、日本だけでなく世界中の人が小さい頃に触れてきたであろうデンマーク発祥の玩具・LEGOの魅力について、建築家である半田さんなりの解説と見解は、一読の価値あり。
第4位:才能に負け続けたパンサー向井慧 不向きな世界での戦い方を語る「幸福度が高い」と言われる北欧でも、青少年のうつ病者数は少なくありません。ソーシャルメディアの発展によって、他人の活躍や評価が見えてしまう時代。そのなかで自分を肯定できずに悩んでいる人も多いように思います。
お笑い芸人のパンサー向井さんも、まさに「不向きな世界」でどう戦っていくかを自問自答しながら生きている人のひとりです。圧倒的な才能を前に「挫折した」と言う向井さんが語る、天性を努力で上回るためにいまの自分ができることとは? 人気者が語る、仕事に人生に寄り添った内容に、多くの読者が感銘を受けて4位となりました。
いよいよ、3位から1位を紹介。昨年トップの『ミッドサマー』記事もランクイン?
第3位:『ミッドサマー』はなぜこんなに怖いのか?幸せな村人たちの狂気3位はなんと、2020年に公開された映画『ミッドサマー』の解説コラム。記事の公開から約1年半が経ったいまでもランキングに浮上するほど人気となっています。
スウェーデンの夏至祭を舞台にした『ミッドサマー』。過激な描写とじわじわと押し寄せる不穏な演出に多くの人が引き込まれたはず。その作品の魅力や、夏至祭の歴史、風習についてまとめた同記事は、鑑賞前後に訪れる人が多数。
先日公開したフィンランドの夏至祭の様子を現地ライターがまとめた記事「北欧の一大行事「夏至祭」。現代フィンランド人の多様な過ごし方」は、映画とは違い、賑やかな雰囲気が漂っています。ぜひ読んでみてください。
第2位:休養から復帰。かが屋 加賀翔が決めたこと「あの手この手で自分を守る」メディア名にもなっている「Fika(フィーカ)」とは、北欧の人々が大事にする風習のひとつで、仕事や家事の合間にゆったりとお茶をする時間のこと。そんなフィーカを軸に、日々忙しくする著名人に「自分らしくいられる休息時間」について取材する連載「みんなのFika時間」がTOP2となりました。
頑張りすぎたことをきっかけに、昨年体調を崩して休養していた芸人のかが屋・加賀さんが1回目のゲスト。復帰後に行ったインタビューでは、いまの自分を大切にしながら、散歩などの息抜きを意識的に取り入れていると言います。つい物事を考えすぎてしまう人は、加賀さんが独自に編み出した「主役・脇役チェンジャー」を取り入れてみませんか?
第1位:オアシズ光浦靖子へ吉住が訊く。30代からの人生・恋愛・芸のこと2021年上半期の人気記事ランキングの第1位は、事務所の先輩後輩である、オアシズ光浦さんと吉住さんの対談インタビューです。
芸人として、ひとりの女性として、人生に悩んでいる吉住さんに、光浦さんが真摯に答えるという企画。「もし自分も100歳まで生きるとしたら、あと50年はあると考えたときに、これから身体が衰えていって、収入も減っていくであろうなかで、どうやって笑って生きていけるか、真剣に考えなきゃと思ったんです」と語る光浦さん。1年間のカナダ留学を決意した理由が垣間見えるような言葉に、吉住さんだけでなく、たくさんの人が考えさせられました。