ペトロールズ長岡亮介が自転車に乗る理由。日常生活が冒険に変わる

ペトロールズ長岡亮介が自転車に乗る理由。日常生活が冒険に変わる

インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:寺内暁 リードテキスト・編集:今井大介(CINRA.NET編集部)

世界有数の自転車大国で知られている北欧の国・デンマーク。その首都であるコペンハーゲンは「世界で最も自転車に優しい都市」のトップに選ばれている。街には専用道路があるほど生活の中で身近な存在になっている。昨今の日本でも、新型コロナウイルスの影響から、通勤などで利用する人が増え、人気がより一層高まっている。またUberEatsなどのデリバリー需要の高まりもあって、自然と自転車に視線を向ける人も増えたのではないだろうか。

今回取材をしたのは、自転車好きで知られているペトロールズのボーカル長岡亮介。自転車をはじめるきっかけとなった子ども時代の体験から、日常生活での楽しみかた、車やギターなどほかの趣味との共通点、ものを選ぶうえでの美意識、創作活動への影響など、様々な視点から自転車の魅力について語ってもらうべく、愛用の自転車に乗って事務所へやってきた長岡のもとを訪ねた。

新しいもの好きな父親からもらったマウンテンバイク。自転車カルチャーに出会った子ども時代

―「Fika」は北欧デザインの思想がインスピレーションの源泉になっている媒体ですが、北欧の自転車にはどのようなイメージを持っていますか?

長岡:北欧も素敵な自転車ブランドが多いですよね。通勤や通学などで自転車に乗っている人が多い印象です。

長岡亮介(ながおか りょうすけ)<br>神出鬼没の音楽家。ギタリストとしての活動の他に楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。「ペトロールズ」の歌とギター担当。黒沢清監督「スパイの妻」映画音楽を担当。「浮雲」名義で東京事変のギタリストも務める。
長岡亮介(ながおか りょうすけ)
神出鬼没の音楽家。ギタリストとしての活動の他に楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。「ペトロールズ」の歌とギター担当。黒沢清監督「スパイの妻」映画音楽を担当。「浮雲」名義で東京事変のギタリストも務める。

―長岡さんが所有しているコレクションの中に北欧の自転車もありますか?

長岡:所有はしていないんですけど、欲しいと思ってるモデルはあって。それはKRONAN(クローナン)というスウェーデンのメーカーが作っている自転車で。見た目がゴツくて郵便屋さんや出前用の自転車みたいな雰囲気があるんです。俺が持っているのはイギリスとアメリカの自転車が多いですね。今日乗ってきたのはAlex Moulton(イギリスの技術者、アレックス・モールトン博士の設計によって生まれたイギリス製のもの)で、家にもう1台あります。

―Alex Moultonとの出会いはいつごろなのでしょうか?

長岡:26歳のときに半年くらい旅をするようにイギリスに行ったことがあって。そこで出会った人がMoultonに乗っていたんです。その人が日本でMoultonを販売しているという代理店の人たちを紹介してくれて。「Moultonの工場に見学に行くから一緒に来る?」って誘ってくれたんですよ。アレックス・モールトン博士の自宅の1階が生産工場なのですが、「The Hall」(昔の地主邸宅の意)と呼ばれているだけあって、本当にお城みたいな建物なんです。そういう気高いんだけど、独特のこだわりを貫いているところもいいなと思いました。

長岡が所有するイギリス製の自転車Alex Moulton
長岡が所有するイギリス製の自転車Alex Moulton

―長岡さんが最初に自転車にハマったのはいつごろなのでしょうか?

長岡:小学生のころに日本製のマウンテンバイクにハマったのがきっかけです。先ほど話したイギリスのMoultonと出合うまでは、改造しながらそれにずっと乗っていました。今もフレームだけは持っています。

―物持ちがいいですね。

長岡:でも、中学1年生のときにギターにハマってからは、自転車熱が冷めていた時期があったのですが、大人になってMoultonを買ってから再燃したんです。その流れでまたマウンテンバイクにも乗りたくなって。

―最初に乗ったマウンテンバイクを与えてくれたのは、お父さんですか?

長岡:父親ですね。自転車も車もギターも父親からの影響が大きいです。父親も趣味で音楽をやっていたんですけど、新しいもの好きな人で。新しい自転車に買い替えるときに、お下がりで譲り受けたんです。当時のマウンテンバイクはちょっとロードバイクに近いカタチをしていて。それが小学5年生のときかな。足が地面につかないのに無理して乗ってましたね。

長岡亮介

―お父さんとツーリングに行った思い出などもありますか?

長岡:あれは父親から譲り受けたマウンテンバイクに乗る前の、小学4年生のときだったと記憶してるんですけど。母親の提案で当時住んでいた千葉からおばあちゃんの家がある埼玉まで80キロくらいの距離を走りましたね。そのときは20インチの小さいロードバイクに乗っていたことを覚えています。小学6年生のときに新潟の上越市から千葉まで自転車に乗って帰るというツアーにも参加したり。当時、自宅から自転車で片道50分くらいの場所によく行っていた自転車屋さんがあって。そこに集まる大人たちと話すのも楽しかった。今思うと、音楽好きの人もいっぱいいて、BMXに乗ってる人にミックステープをもらったり、オールドスクールのヒップホップに詳しい人もいたり、アシッドジャズのDJをやってる人もいましたね。

―その自転車屋さんがまだ触れていないカルチャーの入口でもあったのでしょうか?

長岡:そういう場所でしたね。そこで小学生ながらにVANSとかVISON STREET WEARなどのストリートブランドなんかを知るわけです。

―そういう子どものころの記憶はずっと離れがたく残っていますよね。でも、その流れだとBMXやスケートボードカルチャーに興味を持つ可能性もあったんじゃないですか?

長岡:BMXのくるくる回るトリックとかにも興味はあったけど、自分には難しくて。その通っていたお店はもうなくなってしまいましたが、いろんな思い出があります。怪しい大人も多かったけど(笑)、それもまたよかった。

長岡亮介
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プロフィール

長岡亮介(ながおか りょうすけ)

神出鬼没の音楽家。ギタリストとしての活動の他に楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。「ペトロールズ」の歌とギター担当。黒沢清監督「スパイの妻」映画音楽を担当。「浮雲」名義で東京事変のギタリストも務める。

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