オアシズ光浦靖子へ吉住が訊く。30代からの人生・恋愛・芸のこと

オアシズ光浦靖子へ吉住が訊く。30代からの人生・恋愛・芸のこと

2021/03/08
インタビュー・テキスト
松井友里
撮影:大畑陽子 編集:青柳麗野(CINRA)

オアシズ結成から29年目を迎えた光浦靖子と、芸歴6年目にして『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』で優勝した吉住。二人は同じ事務所の先輩後輩の関係にあたる。そこで今回は吉住が、尊敬する先輩・光浦に、自身がいま気になっているテーマについて、思う存分問いかける取材を敢行。仕事や生き方にまつわる、4つの質問を投げかけた。

芸人として、また一人の人間として、戸惑いを率直に吐露する吉住に対し、光浦は、新聞や雑誌で長らく続けてきた人生相談の回答においても見られるように、その場しのぎの優しさや見通しの甘い希望を提示しない。けれども、長い芸能生活のなかで、選ばなかったり、選べなかったりした道に心を揺らしながらも、多くの人が漠然と見過ごしてしまうような矛盾や疑問を受け流さず、誠実に自身の仕事や生き方に向き合ってきた人にしか成せないやりかたで、そうした姿勢にこそシンパシーを感じる後輩と温かく対峙する姿があった。

―今日はよろしくお願いします。取材前に吉住さんとお話していたら、普段から現場で一緒になった先輩方によく「人生」に関する質問をされているとおっしゃっていて。

光浦:あら、すごいねえ。

―そもそもお二人はどんな関係性なのでしょうか?

光浦:プライベートでのつき合いはないですね。年齢も20個くらい違うもんねえ。

吉住:ラジオに呼んでいただいたことはありますけど、ライブで一緒になることもないですし、私が一方的にテレビで見てきただけです(笑)。オアシズさんはお二人とも、ぶれない感じがして、すごくかっこいいんですよ。「どういう人になりたいの?」って聞かれたら「オアシズさんみたいになりたいです」って答えているくらい。光浦さんのなんでも挑戦していかれる姿に憧れています。

光浦:私みたいになったら、ひとりぼっちになるよ?

吉住:でも、光浦さんはすごく人望がある感じがします。

光浦:仲のいいお友達はいるけど、初対面の人とあんまりうまくやれないの。自分のそういう面が芸人に向いてないのかなと思い続けながら、30年近く頑張ってきたもんで。

吉住:私も向いていないなと思っちゃうんですよ。

左から:光浦靖子、吉住

ネタをやっているあいだは、自分の空間で、自分の時間だから、誰にも侵されない

―吉住さんには事前に光浦さんへの質問を考えてきてもらいました。まさに、吉住さんからの一つ目の質問にいまのお話が繋がりそうです。

【吉住さんからの質問】
いろいろな仕事をさせていただけるようになって、自分に向いていることと、向いていないことがなんとなくわかるようになってきたのですが、光浦さんの仕事の向き合い方について聞いてみたいです。

吉住:ネタをやっているときは楽しいんですけど、最近テレビに出させていただくようになってから、テレビでの振る舞い方が下手だなあと思って逃げたくなるんです。すぐ泣きそうになっちゃいます。

光浦:わかるわよ、30代はホルモンバランスがぐちゃぐちゃになるから。

吉住:でも、だからと言ってネタだけやっていくのは、逃げているような気がしてしまって。それに芸人さんって、生きざまのすべてをさらけ出してこそ、という感じがあるじゃないですか。そういう姿を見ているとかっこいいし面白いなと思うけど、自分はそういう人間ではないから絶対にできない。だから「芸人」と名乗っていいのかなあと思ってしまうんです。

吉住(よしずみ)<br>1989年生まれ。福岡県出身。『新しい波』(フジテレビ系)のレギュラーメンバーになるほか、注目の若手芸人として各番組に出演中。『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』で優勝。『R-1グランプリ2021』決勝進出。初のベストネタDVD『せっかくだもの。』が3月31日に発売。
吉住(よしずみ)
1989年生まれ。福岡県出身。『新しい波』(フジテレビ系)のレギュラーメンバーになるほか、注目の若手芸人として各番組に出演中。『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』で優勝。『R-1グランプリ2021』決勝進出。初のベストネタDVD『せっかくだもの。』が3月31日に発売。

光浦:私は「芸人」という肩書きは、ネタをやっている人だけが言える職業と思ってきたから、自分で芸人と名乗ったことはないの。でも世間からは「女芸人」としてくくられちゃっていて、「ネタをやらないのに」って自分ではずっと負い目に感じていた。ネタをやっているあいだは、自分の空間で、自分の時間だから、誰にも侵されない。それって強みじゃない。

吉住:そうですかねえ……。それに、絶対に私と感覚が違いそうな人から「こういうことやったら絶対面白いですよ」ってアドバイスを言われると、イライラしちゃうんですよ(笑)。ペーペーの私がそんなことを思ってはだめだとわかってはいるのですが。違うと思ったときに、相手の気分を害さず、自分が思ったことをうまく伝えられる人もいますけど、私はそれができないんです。

光浦:わかるわかる。でも思ったことをまっすぐ言えないような風潮っておかしいよね。日本全体に漂っているそういう空気に、私は納得できなくて、よく「キー!」ってなっちゃう。30年近くこの世界にいて、頭を下げなきゃいけない場面が山ほどあったけど、やっぱり下げれなくって。

光浦靖子(みつうら やすこ)<br>1971年生まれ。愛知県出身。同級生だった大久保佳代子とお笑いコンビ「オアシズ」を結成。国民的バラエティー番組『めちゃ2イケてるッ!』(CX系)のレギュラーなどで活躍。現在は、ラジオ番組などに出演するほか、手芸作家・文筆家としても活動。新聞、雑誌などへの寄稿のほか、著書には『靖子の夢』(スイッチパブリッシング)、『傷なめクロニクル』(講談社)などがある。
光浦靖子(みつうら やすこ)
1971年生まれ。愛知県出身。同級生だった大久保佳代子とお笑いコンビ「オアシズ」を結成。国民的バラエティー番組『めちゃ2イケてるッ!』(CX系)のレギュラーなどで活躍。現在は、ラジオ番組などに出演するほか、手芸作家・文筆家としても活動。新聞、雑誌などへの寄稿のほか、著書には『靖子の夢』(スイッチパブリッシング)、『傷なめクロニクル』(講談社)などがある。

吉住:自分も、なんでこんなに不器用なんだろうってよく思います。求められたことをやればいいとわかっていてもできなくて。頭でっかちで柔軟性がないんですよ。売れてる方ってみなさんめちゃくちゃ優しいじゃないですか。いい人しか残っていかないような世界で、私はそこまでいい人じゃないしなと思っちゃって(笑)。

たとえば、メイクさんとの会話も、人見知りだからあまり盛り上がらなくて、ほかのタレントさんとすごく楽しそうに会話しているのが聞こえてくると、「メイクさんも、こういう人にメイクをしたいだろうなあ……」と。そこでもまた敗北を感じるんです。

光浦:いい人はスタッフさんにも愛されるからみんなが協力してくれるのよ。だから同じような人ばかりがテレビに出ているのは、しょうがない面もあるよね。つくる側がビジネスとして割り切って、性格の悪い人を使う番組が増えてきたら、バラエティーの多様性も高まるんじゃないかと思うよ。

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プロフィール

光浦靖子(みつうら やすこ)

1971年生まれ。愛知県出身。同級生だった大久保佳代子とお笑いコンビ「オアシズ」を結成。国民的バラエティー番組『めちゃ2イケてるッ!』(CX系)のレギュラーなどで活躍。現在は、ラジオ番組などに出演するほか、手芸作家・文筆家としても活動。新聞、雑誌などへの寄稿のほか、著書には『靖子の夢』(スイッチパブリッシング)、『傷なめクロニクル』(講談社)などがある。

吉住(よしずみ)

1989年生まれ。福岡県出身。『新しい波』(フジテレビ系)のレギュラーメンバーになるほか、注目の若手芸人として各番組に出演中。『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』で優勝。『R-1グランプリ2021』決勝進出。初のベストネタDVD『せっかくだもの。』が3月31日に発売。

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