フィンランドの奇祭にならい、日本の「おかしな祭り」を考えた

フィンランドの奇祭にならい、日本の「おかしな祭り」を考えた

テキスト・撮影
大北栄人
編集:高橋直貴、原里実 トップ画像提供:Visit Finland
2018/06/08
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携帯電話をできるだけ遠くに投げたり、奥様を運んだりするフィンランド

おかしなお祭りばっかりやってる国がある。フィンランドだ。『携帯電話投げ世界選手権』に『奥様運び世界選手権』それに『エアギター世界選手権』もフィンランドで行われている。どれもぶっ飛んでいてユーモアがある。かっこいい……何より楽しそうだ。こういうシャレのきいたお祭りを楽しむ生活を送ってみたい。そもそもなんでフィンランドはこんなへんなお祭りばっかりやってるのだろう?

ためしにフィンランド政府観光局のウェブサイトを見てみよう。「フィンランドのおかしなイベント」という項目がある。政府がみずから「変わった」お祭りと認めているのだ。

どんなお祭りがあるのだろう。種目を見てみよう。

・『携帯電話投げ世界選手権』

本来は、遠くに投げちゃだめである。いまや現代人が片時も離さず大事に大事に使っている携帯電話。それを投げる。そして楽しむ。フィンランドの人の度量の大きさを感じる。しかも世界記録は95メートル近く。飛ばしたな、フィンランドの人。槍じゃないんだぞ。

・『どろんこサッカー世界選手権』

日本にも田んぼのなかで遊ぶイベントがあるので、競技自体は想像に難くない。しかしフィンランドのおそろしいところはこれに「世界選手権」とついているところだ。どろんこメッシやどろんこネイマールなど世界中からどろんこフットボーラーがやってくる。大人のわんぱくさがかえって不安になる。

・『ベリー摘み世界選手権』

世界記録は1時間でコケモモを28キログラム近くとるらしい。レジャーなのか、それとも労働なのか。それが問題だ。

・『エアギター世界選手権』

そのバカバカしさに日本でもエアギターの認知度はまたたく間に広がった。エアギターみたいなちょっとした「あるある」を世界大会にしてしまうことがかっこいいよね、イケてるよね、と私たちも認めてる証拠だ。われわれはフィンランドのへんなお祭りに憧れがあるのだ。

・『奥様運び世界選手権』

ここからは「なんでも競争になるものだ」という感想を、賞状を授与するときのように以下同文として送りたい。夫婦円満の精神も世界大会として競争すれば盛り上がる。

・『キックスレッジ世界大会』:フィンランド独自のソリで速さを競う

・『蚊たたき大会』:5分間でもっとも多くの蚊を叩けた人が優勝

・『乳搾り椅子投げ大会』:乳搾りに使う椅子を投げる

・『テーブルドラム大会』:机をたたき、ドラムの技術を競い合う

・『アリの巣に座る大会』:服を脱いでアリの巣の上に座り、最後までがまんできた人が勝ち

などなど……もう本当によくわからなくなってくるが、なんでも世界大会にして盛り上がっている。フィンランド、一体どういう国なんだろう。このへんなお祭り欲はどこから生まれてくるのか知りたい。

フィンランドの人ってどういう人なの?

そこでフィンランド人のあるあるをユーモラスに描いた絵本『マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議』(カロリーナ・コルホネン著、方丈社)を翻訳した柳澤はるかさんに話をうかがった。

フィンランド人にとっての悪夢的瞬間を描いた本『マッティは今日も憂鬱』シリーズ
フィンランド人にとっての悪夢的瞬間を描いた本『マッティは今日も憂鬱』シリーズ

—この本に「あるある」が描かれている、フィンランド人の国民性について知りたいんです。

柳澤:フィンランド人の国民性として、一ついえるのはシャイなこと。たとえば「洋服屋さんで店員に話しかけられるのが憂鬱……」とかですかね。日本でも共感する人はたくさんいそうです。他にもバス停で並ぶとき、1メートルくらい間隔をとるとか。パーソナルスペースが広いんですね。「なんで?」って聞いたら「だってスペースはいっぱいあるじゃない?」って(笑)。

柳澤はるかさん
柳澤はるかさん

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プロフィール

柳澤はるか(やなぎさわ はるか)

ライター、翻訳家。1985年生まれ、東京大学文学部卒。文化、コミュニケーション、ジェンダー、教育、働き方などを題材に、日本と北欧について取材記事やコラムを執筆。翻訳書に『マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議』『マッティ、旅に出る。』(方丈社)。フィンランドの「シス」の秘密に迫るノンフィクション、『Finding SISU』(原題)日本語版を、2018年初秋に方丈社より発売予定。

大北栄人(おおきた しげと)

ウェブのライター、コントのユニット「明日のアー」の主宰。映像作品で『したコメ大賞2017グランプリ』受賞。アーは恥ずかしいことを思い出して出るうめき声のこと。いましてることはすべて明日のアーであるという自覚がある。

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