Teenage Engineering OP-1のシンセ革命 10周年を機に考える

Teenage Engineering OP-1のシンセ革命 10周年を機に考える

2021/12/03
テキスト・編集
山元翔一
イラスト:ケント・マエダヴィッチ 取材協力:三船雅也(ROTH BART BARON)、Kuro(TAMTAM)

遊び心に溢れた多機能性で、OP-1はユーザーのクリエイティビティーを掻き立てる

OP-1の魅力は当然、デザインだけではない。ふたりはどのようにOP-1と向き合い、どんなふうに刺激を受けているのだろうか。

三船:UI / UXがとにかく優れていて直感的にサウンドをつくれるよう、よく考えられています。触れば触るほど楽器を理解できるようになるんです。

OP-1の基本的な機能を用いてビートセッションをしたデモ動画

三船:つまむ、ひねる、押すといった指先のシンプルな動作がしっかりと音に反映されるーー脳と指先と楽器が無駄なく呼応してくれるのはAppleのiPhoneと似た哲学を感じますね。

エフェクト、ビートマシン、レコーダー、サンプラー、シンセ、そのすべてが新しい想像を掻き立ててくれるんです。制作で悩んだら子どもの頃の気持ちに戻ってOP-1を触っていますね。いつもスタジオやツアー、飛行機に持ち込んで思い立ったらすぐアイデアをスケッチできるようにしています。

OP-1の使い方で印象に残った例を三船に尋ねたところ、「The National『I Am Easy to Find』でのアーロン・デスナーのOP-1の使い方はとても美しいと思いました」と答えてくれた

Kuro:私の場合、ほかのシンセサイザーを触るときは「どんな音が欲しい」が先に頭のなかにあってそれを目指すことが多いですが、OP-1の場合はなにも目標を立てず、行き先を決めずに、テキトーにパラメータをいじっているときが一番楽しいです。どこかで聴いた音色を再現するのにはあまり向いていない楽器かもしれません。

プリセットの音色がユニークで一癖あるのもいいところです。自宅ではOP-1のみでデモをつくる機会も多いですが、それは私が作曲段階では質の高さよりもユニークさを求めていて、OP-1がそれを助けてくれるからだと思います。思いもよらない音色が楽曲のフックになったり、アイデアをくれることはよくあります。

また、家だけでなく旅先など外で作業したいときもOP-1とMacbookだけは必ず持っていって、思いついたらすぐ触れるようにしています。

Kuroが紹介してくれたトラックメイカーのSTEEEZOは、複数台のOP-1を駆使したパフォーマンスも行なっている

1台だけでもパフォーマンスを完結させられる多機能性、さまざまな機能やエフェクトを組み合せて思いもよらないサウンドに直感的に出会うことができるユーザビリティーの高さ。大きくこの二点がOP-1というシンセサイザーの魅力と言っていいだろう。

では、実際にふたりはOP-1をどのように使って創作しているのだろうか。

三船:ぼくはこの楽器をギターの次に持ち歩いているので、例を挙げたらキリがないです(笑)。OP-1がなかったらROTH BART BARONのサウンドはまた全然違った未来になっていたのかもしれません。

“極彩 | I G L (S)”の声のサンプリング
“けもののなまえ”の浮遊感のあるシンセサウンド
“TAICOSONG”のビットクラッシュしたドラム
“000BigBird000”のサンプリングサウンド
“Special”のイントロのツンザクような金属音
三船が送ってくれたOP-1を用いたROTH BART BARONの楽曲リストとプレイリスト(Spotifyを開く

Kuro:TAMTAMのなかで使ってない曲はほぼないと言っていいと思います。

なかでも多用している音色は“Esp feat. GOODMOODGOKU”のイントロやサビ、“CANADA”のサビなどで使っている音色(どちらも同じもの)です。これらはOP-1で音色を自作し、コードを弾いてトラックのベーシックをつくりました。

音色に存在感があるので、デモで使用するとそのあと他の楽器に置き換えられなくなりがちです。同じように、もし私のOP-1が故障したら、ライブ時にほかのシンセで代替することは難しいでしょうね。それくらいTAMTAMにとってシンボル的音色です。

TAMTAM“Esp feat. GOODMOODGOKU”を聴く(Apple Musicはこちら / Spotifyはこちら

TAMTAM“CANADA”を聴く(Apple Musicはこちら / Spotifyはこちら

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