当事者・KORPIKLAANIに訊く、北欧はなぜメタルバンドが多い?

当事者・KORPIKLAANIに訊く、北欧はなぜメタルバンドが多い?

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:伊藤惇 編集:山元翔一
2017/10/16
  • 1228
  • 414

フィンランドでもメタルは取り残されたカルチャーのひとつなんだ。(ツォーマス)

―フィンランドは「メタル大国」というイメージがあります。ある調査によると、フィンランドは人口10万人あたりのメタルバンド数が世界で一番多いそうですが、どのくらい市民権を得ているんでしょう。

ヨンネ:数年前はすごく人気があったよ。今じゃポップスのほうが人気で、メタルは下火になったような気がするな。とはいえチャートには常にメタルの曲がある状態。

ツォーマス:フィンランド出身のメタルバンドってたくさんいるから、海外の人は、「フィンランドへ行けば、どこでもメタルが聴ける」と思っているみたいだよね。でも実際はそうじゃない。フィンランドでもメタルは取り残されたカルチャーのひとつなんだ。

それと、面白い現象だなと思うのは、フィンランドではあまり目立たなくても、海外では人気のメタルバンドもいるし、逆にフィンランドではめちゃくちゃ人気のあるバンドが、海外では全然知られてなかったりもする。まあ、どこを拠点にライブをやっているかによって違ってくるんだろうね。海外の人が考えるほどフィンランドのメタルシーンって、活発なわけではないんだ。

ジャンルとしては「メロディックデスメタル」と評されるフィンランドのメタルバンド ジャンルとしては「シンフォニックメタル」と評されるフィンランドのメタルバンド

 

―なるほど、悩ましいところですね。KORPIKLAANIはどうなんでしょう。フィンランドでのファン層は?

ヨンネ:これがさ、あらゆる世代の人が来るんだ。クールだよね。特に最近は若い人が増えた。男女比率は半々だから理想的だし、これって珍しいことなんだ。

ヨンネ・ヤルヴェラ

フィンランド人が飲みすぎるとよくレスリングになるんだ(笑)。(ヨンネ)

―ちなみに日本では、KORPIKLAANIのアルバムのタイトルや曲名に、面白い邦題がついているんですけど、お二人は知っています?

ヨンネ:いや知らない。どんなの?

―たとえば、デビューアルバム『Spirit Of The Forest』の邦題は「飛び出せ!コルピクラーニ」。

ヨンネ:あはははは! いいんじゃない?

―曲名では“Wooden Pints”が「酒場で格闘ドンジャラホイ」。

ヨンネツォーマス:ぎゃははは!(爆笑)

左から:ツォーマス・ロウナカリ、ヨンネ・ヤルヴェラ

―“Crows Bring The Spring”は、日本語では「カラスと行こうよどこまでも」。

ヨンネ:お、それはいいね(笑)。

―“Hunting Song”は、「『狩り』こそ男の宿命」

ツォーマス:ふむふむ。

―“Spirit of the Forest“は、「森の中でハッスルハッスル」。

ツォーマス:ははははは!(爆笑) 「ファックしようぜ!」みたいなもんか。

左から:ツォーマス・ロウナカリ、ヨンネ・ヤルヴェラ

―きっとKORPIKLAANIっていうバンド名の響きと音楽のユニークさをアピールするために、日本のレコード会社がそういう名前をつけたんだと思います。それもあって、日本ではメタルファン以外にも人気が出てるんですよ。

ヨンネ:いい仕事してるねえ(笑)。

―「酒場で格闘ドンジャラホイ」こと“Wooden Pints”は、ミュージックビデオも面白いですよね。和やかにみんなでご飯を食べていたかと思ったら、途中からいきなりケンカしはじめるなど、意味不明というかナンセンスというか(笑)。

ヨンネ:ケンカというよりレスリングかな(笑)。フィンランド人が飲みすぎるとよくああいうことになるんだ。

ツォーマス:昔のことわざに、「いい友達とは、一緒にダンス、歌、食事、酒、ケンカができる人のこと」みたいなのがあってね(笑)。

―この曲を聴くと、特にバイオリンのフレーズにはケルト民謡やアイルランド民謡っぽくもあるなと思ったのですが、フィンランド民謡との共通点などあるのでしょうか。

ツォーマス:ケルト、アイルランド、そしてフィンランドの民謡は、どれもペンタトニックスケール(5音で構成された音階)を多用しているよね。だからこそ普遍的なのだと思うし、それぞれが似た要素を持ち合わせているのかもしれない。演奏スタイルもそうだよね。バイオリンで、2本の弦を一度に弾くところとか。それはフィンランドでもアイルランドでも、民謡では普通に行われていることなんだ。

左から:ツォーマス・ロウナカリ、ヨンネ・ヤルヴェラ

―ヨンネさんは、KORPIKLAANIの中心人物として15年以上活動をしています。それ以前の音楽活動を含めたらもう20年以上音楽活動をしているわけですよね。そのモチベーションはどこから出ているのか、最後にお聞かせいただけますか?

ヨンネ:俺は、バンドやメタルをやるために生まれてきたと思っている。子どもの頃からやりたいことが、はっきりしていたんだ。自分が将来、何をやることになるのかを確信していた。だからそれを全うしようと思っているだけだよ。それにもう歳だからさ、今から職を探すのも無理だしね!(笑)

左から:ツォーマス・ロウナカリ、ヨンネ・ヤルヴェラ

Page 3
前へ

プロフィール

KORPIKLAANI(こるぴくらーに)

フィンランド産ヴァイキングメタル・バンド。1999年、SHAMANというバンド名で1stアルバム『Idja』を発表、同名バンドがいることが判明し、KORPIKLAANIに改名。2004年、『Spirit of the Forest』で日本デビュー(本国発売は2003年)。北欧トラッドを基本に、バイオリンや管楽器の大胆に導入、母国語で綴られる独特なメロディーラインとアグレッシヴなメタルサウンドの融合で一躍注目を浴びた。

Category カテゴリー

Latest Articles 最新の記事

What's "Fika" ? フィーカとは

「Fika」はCINRA.NETとVOLVOが送る、北欧カルチャーマガジンです。北欧デザインの思想の基盤を「クラフトマンシップ×最先端技術」と捉え、そこに学びながら、これからのカルチャーやライフスタイルにまつわるコンテンツをお届けします。