当事者・KORPIKLAANIに訊く、北欧はなぜメタルバンドが多い?

当事者・KORPIKLAANIに訊く、北欧はなぜメタルバンドが多い?

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:伊藤惇 編集:山元翔一
2017/10/16
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北欧には、古くから数多くのメタルバンドが存在している。たとえばスウェーデンのBATHORYやノルウェーのEMPERORは、1980年代後半~1990年代初頭に登場し現在の北欧メタルシーンを牽引してきた双璧。そこから派生し、あるいは間接的に影響を受けながら誕生したメタルバンドは、様々なサブジャンルへと枝分かれし細分化しながら、独自のスタイルを築き上げてきた。

今回紹介するKORPIKLAANI(コルピクラーニ)は、フィンランド神話をベースに民族音楽とメタルを融合したサウンドによって、「フォークメタル / ヴァイキングメタル」、あるいは「森メタル」とカテゴライズされているバンドである。日本では、そのユニークな響きのバンド名やどこか牧歌的な聴き心地もある音楽性から「酒場で格闘ドンジャラホイ」「慌てんぼうのポルカ」「神風北欧隊」など、原題からは全くかけ離れたキテレツな曲名がつけられ、メタルファン以外にも広く認知されている。

このたび、6年ぶりの来日公演を敢行したKORPIKLAANI。リーダーのヨンネ・ヤルヴェラとツォーマス・ロウナカリの二人に、なぜ北欧ではメタルバンドが数多く輩出されるのか、メタルと北欧のライフスタイルや精神性との関わりはどのようなものか訊いた。また、せっかくなので日本語タイトルについてどんな感想を持っているのかも尋ねてみた。

北欧の気候を想像してみなよ。あんな寒いところでレゲエなんてやる気にならないだろ?(笑)(ヨンネ)

―フィンランドに限らず北欧には、数多くのメタルバンドが存在していますよね。Fikaでは、北欧メタルに関する考察記事(コラム:なぜメタルは北欧で大量に輩出されるのか?この20年を振り返る)も掲載したのですが、当事者から見て、その理由はなぜだと思いますか?

ヨンネ(Vo,Gt):北欧の気候を想像してみなよ。あんな寒いところでレゲエなんてやる気にならないだろ?(笑) 冬が長くて陰鬱とした気候だから、ダークな音楽をやりたくなるんじゃないかな。

ツォーマス(Violin):フィンランドには、独りで長い時間を過ごす人が大勢いるんだよ。だから良質なミュージシャンが多いのかもしれない。練習時間もたっぷりあるし、楽器と過ごす時間が長いぶん、上達も早いんだよ(笑)。隣の家との間隔が広いのも大きいかもな。ギターのカッレ(・サヴィヤルヴィ)の家なんて、隣が見えないくらい離れているから音も出しやすかったみたいだよ。

左から:ヨンネ・ヤルヴェラ、ツォーマス・ロウナカリ
左から:ヨンネ・ヤルヴェラ、ツォーマス・ロウナカリ

―なるほど。「北欧は日照時間が少なく、外で遊ぶ時間が少ないから、地下にこもってギターの練習ばかりしている」などと、まことしやかに言われてましたが本当だったんですね(笑)。それから北欧の人は、「クラフトマンシップ」が高いというか、職人気質の人が多いと聞いたんですけど、それもやっぱり同じような理由でしょうか?

ヨンネ:うん、そう思うよ。

―ノルウェーやスウェーデンのメタルと、フィンランドのそれには細かい違いなどあります?

ヨンネ:同じスカンジナビアのメタルとして共通点も多いけど、フィンランドのほうがよりメランコリックかな。KORPIKLAANIも結構マイナーコードを使うし、メロディーラインもちょっと長めだと思うね。

―気候はほとんど変わらないはずなのに、どうしてフィンランドのほうがメランコリックなサウンドになるんでしょうね?

ヨンネ:俺たちは他のどの北欧の国に比べても、お金がないんだ(笑)。それも大きいかな。ぶっちゃけノルウェーが一番お金を持ってるんじゃないの?

ツォーマス:間違いないね(笑)。

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プロフィール

KORPIKLAANI(こるぴくらーに)

フィンランド産ヴァイキングメタル・バンド。1999年、SHAMANというバンド名で1stアルバム『Idja』を発表、同名バンドがいることが判明し、KORPIKLAANIに改名。2004年、『Spirit of the Forest』で日本デビュー(本国発売は2003年)。北欧トラッドを基本に、バイオリンや管楽器の大胆に導入、母国語で綴られる独特なメロディーラインとアグレッシヴなメタルサウンドの融合で一躍注目を浴びた。

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