The Wisely Brothersがひとり立ちの先、手にした自由と3人らしさ

The Wisely Brothersがひとり立ちの先、手にした自由と3人らしさ

インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:タケシタトモヒロ 編集:石澤萌、CINRA.NET編集部

新作『AGLIO OLIO』をリリースしたThe Wisely Brothers。大阪のFLAKE RECORDSよりレコードでリリースされた本作は、2019年の『Captain Sad』以来のスタジオレコーディング作品となる。刹那の反復を繰り返しながらたゆたう波のような1曲目“Teal”に始まり、穏やかで、不思議で、人懐っこくも神秘的な7曲がそろった本作。スウェーデンのイラストレーター、カリ・モダンと、真舘晴子(Gt,Vo)の父でデザイナーの真舘嘉浩が手掛けたアートワークもまた、The Wisely Brothersが奏でる音楽の本質的な在りようを表しているようだ。聴けば聴くほどに、触れれば触れるほどに、この作品からは、彼女たちがその音楽のなかに閉じ込めてきた眼差しと心の動きが、剥き出しで見えてくる。

前作『Captain Sad』を最後に、これまで所属していたメジャーレーベルを離れ、いまはフリーでバンド活動を行っている彼女たち。「生活をして、音楽を奏でる」という、シンプルだけどとても難しいことに、いま3人は真正面から向き合っているのだろう。だからこそ、この取材の最後で私は「The Wisely Brothersは何故、あなたに必要なのか?」という質問を3人それぞれに投げかけた。少し乱暴な質問だったかもしれない。そもそも言葉にするような理由なんて必要ない気もするのだ。ただ、3人から返ってきた言葉を聞いて、The Wisely Brothersという「秘密」の輪郭に、少し、触れられたような気もした。

自分たちの音楽を、自分たちで大事に。独立した3人が大切に想うもの

The Wisely Brothers(ワイズリー ブラザーズ)<br>左から:渡辺朱音、真舘晴子、和久利泉<br>都内高校の軽音楽部にて結成。真舘晴子(Gt,Vo)、和久利泉 (Ba,Cho)、渡辺朱音(Dr,Cho)からなるオルタナティブかつナチュラルなサウンドを基調とし会話をするようにライブをするスリーピースバンド。2021年7月7日に初アナログEP『AGLIO OLIO』を発売。
The Wisely Brothers(ワイズリー ブラザーズ)
左から:渡辺朱音、真舘晴子、和久利泉
都内高校の軽音楽部にて結成。真舘晴子(Gt,Vo)、和久利泉 (Ba,Cho)、渡辺朱音(Dr,Cho)からなるオルタナティブかつナチュラルなサウンドを基調とし会話をするようにライブをするスリーピースバンド。2021年7月7日に初アナログEP『AGLIO OLIO』を発売。

―『AGLIO OLIO』はレコードでリリースということですが、去年はカセット作品『Les oiseaux』もリリースされています。去年以降のThe Wisely Brothers(以下、ワイズリー)の活動の仕方には自由を感じるというか、作品づくりも自分たちの手で動かしている印象があります。

真舘(Gt,Vo):そうですね。『Captain Sad』(2019年)を最後の1枚に、前のレーベルを抜けてフリーになったんです。自分たちで始めたバンドではあったけど、前はリリースとかに関して、主体的な活動ができなくなってしまっていたと感じていて。アルバムの媒体も、「出すならCD」だったり、いつの間にか決まってしまっている気持ちもありました。

真舘晴子
真舘晴子

渡辺(Dr,Cho):自然な感じではなくなっていたよね。機械的というか。そういうところから、やりたいことや考えたいことを最優先に考えた結果がいまなのかなって。私たちは、そもそも器用じゃなかったんだと思うんです。昔から一気にいろんなことができるタイプではなかったし。

でも、自分たちだけで活動するようになってから、できる範囲のことを手に取りながら進んでいくことができていて。すごくシンプルになったと思う。もちろん、足りなかったことや気づけなかったことも多いけど、そこはこれから、もっとちゃんとやっていけたらいいなって。状況的にいまはライブの計画も立てづらいですけど、ものづくりとしては、いい感じですね。

渡辺朱音
渡辺朱音

―自分たちのペースややり方で活動できているんですね。

和久利(Ba,Cho):一昨年くらいに、「3人でやるとしたどうしたい?」みたいな話をあらためてしたタイミングがあって。そのときに、「自分たちでつくった音楽が、自分たちのものであることが一番大事だよね」っていうことを確認したんですよね。そこからは進むのは楽だったし、速かったです。

和久利泉
和久利泉

真舘:「自分たちを守っていくためにはどうしていくべきなんだろう?」と考えたときに、いままで大切にできていなかった部分を、この先は大切にしていきたいなって。

あと、大事なのは、人との繋がりや連絡とか、そういうことなんだなって思いました。どういうふうに物事は繋がっていて、それはできているのか。それをちゃんと知らないといけないなって。例えば、ひとつのものをつくるのにいくらぐらいお金がかかって、自分たちがどれくらい集めたらそれができるのか、とか。そういうサイクルが自分たちでも見えてきたことで、やりたいことを行動に移すイメージもしやすくなった気がします。いまは自分たちで、与えられたものを活かして、またそれを出していくっていう状況がどんどん回ってきている感じがしていて、すごく嬉しいんです。

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リリース情報

The Wisely Brothers『AGLIO OLIO』
The Wisely Brothers
『AGLIO OLIO』(LP)

2021年7月7日(水)発売
価格:3,300円(税込)
FLAKES-241

[A-Side]
1. Teal
2. Brown
3. My son

[B-Side]
1. 電話
2. Antipasto
3. Aglio olio
4. Your wonderful Wall

プロフィール

The Wisely Brothers(ワイズリー ブラザーズ)

都内高校の軽音楽部にて結成。真舘晴子(Gt,Vo)、和久利泉 (Ba,Cho)、渡辺朱音(Dr,Cho)からなるオルタナティブかつナチュラルなサウンドを基調とし会話をするようにライブをするスリーピースバンド。2021年7月7日に初アナログEP『AGLIO OLIO』を発売。

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