奇祭・ヘヴィメタ編み物選手権で世界王者に。うしろシティが語る
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- 柳澤はるか
- 撮影:鈴木渉 編集:中田光貴(CINRA.NET編集部)
フィンランドには奇祭が多い。エアギター選手権、奥様運び選手権、携帯投げ選手権……。そして令和元年、フィンランド東部の街ヨエンスーで、新たな奇祭が誕生した。『ヘヴィメタル編み物世界選手権(Heavy Metal Knitting World Championships)』だ。
1度聞いただけでは理解しがたい珍選手権。だが、そこに躊躇なく参戦したのがお笑いコンビ、うしろシティの金子学率いるGIGA BODY METALチームだ。自身のラジオ(『うしろシティ 星のギガボディ』、TBSラジオ)の企画でエントリーしたところ、予選、準決勝を突破し決勝に進出。当日は、舞妓、力士、忍者に扮したパフォーマンスで会場を沸かせ、見事、優勝を勝ち取った。
フィンランドの奇祭史に名を刻んだ「令和の怪物」金子学と、以前からフィンランドに憧れていたという阿諏訪泰義に、大会の舞台裏やフィンランドの印象について、話を伺った。
観てるほうも意味わかんないものを観させられて、やってるほうも意味わかんないことをやってる。(金子)
―まずは金子さん、優勝おめでとうございます! 初代世界王者になった心境は。
金子:ありがとうございます。めちゃめちゃ、嬉しいです。
―日本で中継を見ていた阿諏訪さんは、どんな気持ちでしたか?
阿諏訪:優勝の瞬間は、「えー!」ってびびりました。あとはそもそも、僕はキャンプが大好きなんで北欧にずっと憧れてて。
金子:北欧はな~。好きってずっと言ってるもんな。
阿諏訪:だから、なんで俺が行ってねーんだ!? という気持ちもありつつ……。

うしろシティ(うしろしてぃ)
左から:金子学、阿諏訪泰義。2009年結成、松竹芸能所属の実力派コントコンビ。『平成24年度NHK新人演芸大賞』演芸部門大賞受賞、『キングオブコント 2012 2013 2015』ファイナリスト。
―そもそもなぜ、出場しようと思ったんですか?
金子:もともとは、アルコ&ピースがラジオ(『アルコ&ピース D.C.GARAGE』、TBSラジオ)で、この大会の話をしてたんです。でも第1回だし、イベント自体がスベるかもしれなくてリスクが高い。だから「ちょっと金子行ってこいよ」と言われまして。「行かせていただきます」となったんです。
―「行ってこいよ」と言われて素直に「行ってきます」と……?
金子:もうそのとき僕は、何週間かの番組の流れで、「すべてを受け入れる、言われるがままの人間」ということになっていたんで……。
―な、なるほど……。
金子:最初は、動画審査から始まって。そしたら忘れた頃に主催者から連絡が来て、「準決勝25組に選ばれました」と。そこからまた1週間後くらいに「決勝15組に残りました」と連絡がきて、フィンランド行きが決まりました。
『ヘヴィメタル編み物世界選手権』の動画審査に応募した動画
金子:でも、交通費が出ないことが判明して。ヨエンスーまでひとり15万円くらいかかるんです。僕のチームは後輩芸人が4人いて、計5人分の交通費を持つとなるとキツいぞ、と。それで僕ら2人でクラウドファンディングを立ち上げました。
―クラウドファンディングの手続きは阿諏訪さんの担当だったとか?
阿諏訪:はい、全部自分で。
金子:100万円を目標にしてたんですけど、思いがけない額が集まって……。
阿諏訪:8,215,122円。最初は、クラウドファンディングの会社の人に分からないことをメールすると、次の日に返信が来てたんですけど。……お金が集まりだしたら、レスポンスが早くなりました(笑)。
―(笑)。
金子:ちゃんとしてるな、ビジネスマンとして。
阿諏訪:ちゃんとしてる。
―クラウドファンディングを通して、また一段と盛り上がりましたよね。
金子:僕らの番組リスナーは特に、学校でも友だち少ないやつとか、彼女いたことないやつとか、そういうやつばっかりで。我々もイケてないし、聴いてるやつらもイケてない、みたいな感じでずっと来てたんで。「なんでこんなパワーあんだよ! すごいな、こいつら!」って、びっくりしました。
阿諏訪:お金を出してくれた人からのコメントも全部見てたんですけど。地方の主婦の方が、「家庭があるから東京のイベントには行けないし、面白いことは書けないからラジオにメール送ることもできない。でも、クラウドファンディングだったら参加できる」「ありがとうございます。これで私も一緒にドキドキできます」って書いてあって。ああ、そういう人もいるんだと、感動しました。
―クラウドファンディングが参加のひとつの形になっていたんですね。ではちょっと大会の話に戻って。会場はどんな空気でしたか?
金子:やっぱり第1回だし、観てるほうも意味わかんないものを観させられて、やってるほうも意味わかんないことをやってるんですよ。でも、イベントが進んでいくうちに、どんどん会場の熱気が上がっていって。すごいトリップ状態になっていったんです。
―トリップ状態?
金子:お笑いって、「ここでボケるからウケるだろう」と想定して作るから、ウケたら「あーよかった、ウケた」という感じなんです。でもヘヴィメタ編み物の場合、なにを狙ってるのかわからないままやってて。それがなぜか観てる人に刺さって、みんなが笑う、そして盛り上がるって感じでした。
番組情報
- 『うしろシティ 星のギガボディ』
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毎週水曜日24:00 - 25:00に放送中。TBSラジオの深夜の入口をバッと盛り上げる、お笑い芸人による『60分のトークバラエティ』! 『平成24年度NHK新人演芸大賞』演芸部門大賞受賞、『キングオブコント 2012 2013 2015』ファイナリスト、TBSラジオ「デブッタンテ」でハライチとラジオを学んだ実力派コントコンビ、うしろシティがラジオ独り立ち!
プロフィール
- うしろシティ(うしろしてぃ)
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2009年結成。金子学、阿諏訪泰義による松竹芸能所属の実力派コントコンビ。『平成24年度NHK新人演芸大賞』演芸部門大賞受賞、『キングオブコント 2012 2013 2015』ファイナリスト。


