加賀美健ととんだ林蘭による創作第2弾。日常にひそむ面白みを見逃さない

加賀美健ととんだ林蘭による創作第2弾。日常にひそむ面白みを見逃さない

2021/12/07
インタビュー・テキスト
松井友里
撮影:相沢有紀 編集:川浦慧

日常にひそむ「面白いもの」をつねに探し、見逃さない

とんだ林:私は普段からよくリサイクルショップに足を運ぶわけじゃないけど、旅行で地方に行ったときに見かけたら立ち寄るんです。でも加賀美さんのように、いろんなもののなかから時間をかけて掘り出すことが得意じゃないかもしれません。お買い物はタイミングと偶然の出会いが多いかな。

―目的を持って探し求めるという感覚ではないんですね。

とんだ林:自分が作品のモチーフにしたくなるものとよく出会うのは、スーパーマーケットやコンビニが多いです。探すためにわざわざどこかへ行くというよりは、日常的に足を運ぶところで、「今日食べるもの、なにつくろう」っていうことと同じように作品のことを考えている感じです。

―普段の生活の一連のリズムのなかに、ものづくりについて考えることが組み込まれているような感覚なんですね。

とんだ林:アニメでも『サザエさん』や『コジコジ』みたいに日常生活がベースにあるものが好きなんですよ。日常のなかにあるみんなが知っているものの組み合わせを変えたり、タイトルをつけることで見え方が変わることに面白さを感じるんです。コラージュで作品をつくり始めたばかりのころは、それがまさに楽しくて。味気ない物撮りや料理本の写真も、コラージュすることでまったく違った感覚で見えてきますよね。

とんだ林蘭

―加賀美さんは今年異なるものの組み合わせを楽しむ『くっつけてみよう』という絵本を出されていましたよね。

加賀美健『くっつけてみよう』(ケンエレブックス)
加賀美健『くっつけてみよう』(ケンエレブックス)

加賀美:くっつけたり、組み合わせることは好きですね。

とんだ林:今日の作品のタイトルも「クリスマスク」でしたよね。

加賀美:基本的に全部ダジャレだから(笑)。若いときからそうなんだけど、この歳になってやってると親父ギャグだよね。くっつけること自体は誰でもできるけど、なにをくっつけるかが大切。チョイスの仕方にセンスを要するし、そこが一番難しいかもしれない。

とんだ林:「組み合わせ」ということでいうと、仕事で制作をする場合、基本的にお題があるじゃないですか。それに対してどんなものを持っていったら面白くなるかは、私も毎回すごく考えます。

王道すぎてもつまらないし、どこまで違和感を出そうかなって。以前は一人で絵を描いたり、ものをつくることが好きだと思っていたけど、いまはそういう面も含めて、人が関われば関わるほど、一人でつくれないものをつくれる面白さを感じます。

加賀美:ぼくに来る仕事は、ぼくに頼むくらいだから基本的に先方も覚悟してるし(笑)、おまかせされることが多いけど、そのなかでいかに遊べるかは心がけてますね。

―二人とも、つくるのも選ぶのも、とにかく早いですよね。それは自分にとっての正解がはっきりとあるからですか?

加賀美:飽きちゃうんだよね。あとは慣れ。お店だったら、入った瞬間にざっと見たら、いいものがありそうなところがわかる。

とんだ林:すごい(笑)。

加賀美:これは訓練なの。海外のスリフトショップ(リサイクルショップ)だと、30分も経てば新しい商品が入ってきたりするから、一つの店に行ったあと、さっき行った店にまた戻ったりする。そういうことをずっとやってきたから、大体空気でわかるんだよね。それに、電車に乗っていても、街を歩いていても、面白い人やものや風景をつねに探してる。外に出かけたら、一つでも面白いものを見つけられたらいいなっていう感覚で歩くことが、ルーティーンになってますね。

とんだ林:私もよく外で道行く人を見ているんですけど、そういうふうに考えながら歩いていると、引き寄せますよね。加賀美さんが拾ってるものって、こんなのが落ちてるの見たことがないって思うようなものがあったりするじゃないですか。

加賀美:いつも「なにか落ちてないかな」って思いながら外を歩いてるからだと思う。なにか拾おうと思って歩いてる人ってあんまりいないじゃない(笑)。それだけでわくわくしちゃうもんね。

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プロフィール

加賀美健(かがみ けん)

1974年東京都生まれ。現代美術作家。東京を拠点に制作活動を行う。国内外の数々の個展・グループ展に参加。ドローイング、スカルプチャー、パフォーマンスまで表現形態は幅広い。アパレルブランドとのコラボレーションも多数手がける他、自身の「STRANGE STORE(ストレンジストア)」を構え、店内では自身のコレクションや若手アーティストの展示なども行っている。

とんだ林蘭(とんだばやし らん)

1987年生まれ、東京を拠点に活動。コラージュ、イラスト、ぺインティング、立体、映像など、幅広い手法を用いて作品を制作する。猟奇的でいて可愛らしく、刺激的な表現を得意とし、名付け親である池田貴史(レキシ)をはじめ、幅広い世代のさまざまな分野から支持を得ている。

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