なぜ正義のために攻撃的に? AAAMYYYが綴る「理想と自分」

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撮影:タケシタトモヒロ 編集:石澤萌(CINRA.NET編集部)

今回取り上げるのは、ノルウェーでの大量殺人事件を基にした『7月22日』

テロ事件や銃乱射事件がいまも世界中で起きているという話は、読者のあなたも聞いたことがあるかもしれない。1995年の地下鉄サリン事件や2001年のアメリカ同時多発テロによる周囲のざわめきは幼少の記憶に強く残っているし、最近では欧米諸国で無差別の銃乱射事件が頻発しているとワールドニュースで何度か目にした。

日本ではほとんど銃関連の事件は耳にしないが、オウム真理教を生んだ国に一応根差す身だとしても、身の回りで起こるテロ事件を他人ごとにする方がたやすいというのが本音である。語弊を恐れずに言うとすれば、こればかりは当事者にならなくては本当の意味での共感はできない。とはいえ、これまで私がコラムの題材にしてきたような「犯罪者を生み出す社会」だとか「優劣主義の人間のものの考え方」に、絡まないはずがないトピックでもありそうだ。

AAAMYYY(えいみー)<br>長野出身のシンガー・ソングライター / トラックメイカー。キャビンアテンダントをめざしてカナダへ留学、帰国後の22歳より音楽を制作しはじめ、2017年よりAAAMYYYとして活動を開始。2018年6月、Tempalayに正式加入。2019年2月、ソロとしての1stアルバム『BODY』をリリースした。
AAAMYYY(えいみー)
長野出身のシンガー・ソングライター / トラックメイカー。キャビンアテンダントをめざしてカナダへ留学、帰国後の22歳より音楽を制作しはじめ、2017年よりAAAMYYYとして活動を開始。2018年6月、Tempalayに正式加入。2019年2月、ソロとしての1stアルバム『BODY』をリリースした。

今回取り上げるのは、2011年7月22日にノルウェーで実際に起きたテロ事件を描いた映画『7月22日』だ。単独襲撃犯がオスロ政府庁舎を爆破後、ノルウェーの湖に浮かぶ島・ウトヤ島に乗り込み、ノルウェー労働党青年部の集会に参加していた青少年に銃で乱射したのだ。犯人は反イスラム・反移民主義を掲げる「テンプル騎士団」の一員と名乗り、欧州からのイスラム教徒の排除と、多文化主義支持者へのアピールを目的としてテロを実行したとされる。

計77人を死亡させたこの大量殺人テロ事件は、ノルウェーやスカンジナビアの移民問題への政治世論を激化させることとなった。

『7月22日』場面写真 / Erik Aavatsmark
『7月22日』場面写真 / Erik Aavatsmark

『7月22日』の他にも、実際に起きたテロ事件や銃乱射事件を描いた映画作品は多く存在する。例えば映画『静かなる叫び』は、反フェミニズムを掲げる犯人による、1989年にカナダのモントリオール理工科大学で起きた銃乱射事件を題材にしている。他にも1999年に起きたアメリカのコロンバイン高校銃乱射事件は『エレファント』『ZERO DAY』の元となった。

『エレファント』は2003年『第56回カンヌ国際映画祭』で、最高賞の『パルム・ドール賞』と『監督賞』を同時受賞している

『7月22日』に対する感想コメントをスクロールしていると、「犯人を絶対に許せない」「犯人にも人権があるのがおかしい」というように加害者の悪を大前提としたリアクションが多く見受けられた。被害者や加害者という当事者よりも、当事者でもない我々が映画を観て「許せない」となる大衆的思考については、『幸せなひとりぼっち』のコラムにも通じるのでそちらもぜひ読んでいただきたい。大量殺人やテロ行為を擁護するわけでは決してないが、今回は銃乱射事件を起こした加害者側の心理も考えていきたい。

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長野出身のシンガー・ソングライター / トラックメイカー。キャビンアテンダントをめざしてカナダへ留学、帰国後の22歳より音楽を制作しはじめ、2017年よりAAAMYYYとして活動を開始。2018年6月、Tempalayに正式加入。2019年2月、ソロとしての1stアルバム『BODY』をリリースした。

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