昆虫食メーカー×料理研究家と考える「明日から楽しむ昆虫食」

昆虫食メーカー×料理研究家と考える「明日から楽しむ昆虫食」

インタビュー・テキスト
大北栄人
撮影:鈴木渉 編集:石澤萌、矢澤拓(CINRA.NET編集部)
2020/03/24
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コオロギパウダー入り餃子は、果たしておいしいのか。そして問われる「コオロギらしさ」

つづいてはコオロギパウダーを使った餃子である。

榎本:コオロギパウダーのほうは、かつおだしに近いかなって思って、肉なしで、白菜の漬物や干し椎茸とコオロギでどこまでうまみを出せるかというテーマで餃子を作りました。やってみたら意外とパウダーも使えるなと感じています。コオロギだとは思わないと思う。

餃子をいただく。ゴロッとしたものやザクッとしたもの、たくさん食感があってそれぞれの旨味も出てくる。肉は入ってないらしいが満足感がある。こういう餃子は初めて食べたかもしれない。

コオロギパウダー入りの餃子。見た目は「普通」の餃子だ
コオロギパウダー入りの餃子。見た目は「普通」の餃子だ
中には肉厚な椎茸、白菜、そしてコオロギパウダーが
中には肉厚な椎茸、白菜、そしてコオロギパウダーが
もちろん、おいしい
もちろん、おいしい

三浦:すごい、椎茸がおいしい……。椎茸の肉厚な感じがすごい……。

昆虫メーカーの三浦さんが椎茸のことしか言ってない。でもわかる。椎茸がとにかくうまいんだ。白菜の漬物を使うというのもおいしい。でもコオロギはどこにいるんだ? コオロギっぽさを感じない。いや、そもそもコオロギっぽさって何だ?

榎本:パウダーだとわからないですよね。コオロギだけだとパサパサしちゃうので豆腐を入れてます。わずかに苦味っぽいものがありますけど、それがコオロギ由来かもしれない。

普通にふむふむ聞いているのだが「コオロギだけだとパサパサしちゃうので」といった文言が途中に入るとやはり変な感じがする。

榎本:コオロギパウダーなめたときにうまみも強くておいしいなって思ったんです。でもこれってまぜてパンをつくったら気づかないですよね。煮干しのほうが昆虫食べましたって人に言える。

三浦:何食べてるかわからないと言われるのも専門店としては難しいところで(笑)、たとえばカブトムシを乾燥したものって不味いんですよね。でも昆虫食として楽しんでもらえる。まずくても昆虫食なんですよね。見た目もあって昆虫食というところがあるのかなと。

榎本:昆虫食が普及してない今はコオロギらしさという意味ではコオロギの形をしたものがいいのかも。お母さんが虫を料理するような時代になったらパウダーのほうが使いやすそう。

昆虫食の歴史を紐解く。なぜ「ゲテモノ」扱い?

―そもそも何でこんなに虫に対して抵抗があるんでしょうかね?

榎本:私、人類が農業を始めて、虫が「害虫」扱いされてから食べるのにも嫌悪感を抱くようになったって映像見たことがあります。

三浦:そうですね。農業で邪魔者になった歴史はありました。猿は昆虫を食べますが、そのときから昆虫食は始まってるという考え方もありますね。虫は昔から世界各地で食べられていて、アリストテレスが好物だったとか、それこそ聖書でもイナゴを食べることが書かれているんです。

でも、エビやシャコもよくよく見ると気持ち悪くなったりしますしね。発酵もそうですけど、人間が食べるものと拒絶するものって境目が曖昧ですよね。いきなりはむずかしいと思うんですけど、食べてみたらOKだったり、徐々に徐々に慣れて広まっていく可能性はあります。

―世界各地で昆虫を食べる文化があるんですかね?

三浦:日本でいうと長野のイナゴ、蜂の子、蚕(かいこ)、ざざむし。青森あたりまでは、田んぼがあるところはイナゴを食べてたという話も聞きます。世界でもアジア圏は昆虫食文化の根付いた国は多いですし、食品として流通してなかったヨーロッパでも2018年にEUで解禁になってからは、流行ってるのかなと思っていています。

榎本:デンマークにある世界一のレストラン「Noma」がアリを食材として使ったのも話題になりましたね。

三浦:蟻酸ですごいすっぱいアリとか高級食材になってます。めちゃくちゃ酸っぱいんですよ。たった一匹でレモンの果汁を吸うくらいの酸味。

左から:三浦みち子、榎本美沙
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店舗情報

TAKEO

営業時間:13:00~18:00
定休日:土曜日
住所:東京都台東区松が谷1-6-10

プロフィール

三浦みち子(みうら みちこ)

TAKEO実店舗店長。2017年ひょんなことからTAKEOと昆虫食の魅力に出会い入社。2018年4月からは昆虫食を専門とした実店舗の運営責任者に。TAKEOでは実店舗店長の他にも昆虫料理レシピ開発や商品パッケージデザインを担当。店舗やSNSを通じて、ゆるりと昆虫食の楽しさ、おいしさを発信中。

榎本美沙(えのもと みさ)

広告会社勤務の傍ら、夫婦で一緒に料理を作るレシピ紹介サイト「ふたりごはん」を開設。その後、調理師学校を卒業し独立。「発酵食品、旬の野菜」を使ったレシピ開発が人気。雑誌や書籍、WEBへのレシピ提供、企業のレシピ開発、料理教室、イベント出演などを行う。著書『野菜のべんり漬け』(主婦の友社)発売中。

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