みうらじゅん×サンリオ対談 日本のキャラ文化を支える二者の情熱

みうらじゅん×サンリオ対談 日本のキャラ文化を支える二者の情熱

インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:垂水佳菜 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
2019/06/04
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日本が誇るキャラクター産業の雄といえば、泣く子も顔をほころばすハローキティを生み出した、サンリオ。最近では2.5次元ミュージカルなど、キャラクター好きの日本人にとっても斜め上の発想で、次々と新戦略を打ち出している。

そんなサンリオと、キャラクターを生み出すもう1人の天才をぶつけてみよう、というのが今回の主旨。「マイブーム」や「ゆるキャラ」など、独自の視点と発想でカルチャー界に旋風を巻き起こしてきたみうらじゅんは、サンリオにどんな思いを抱いているのだろうか? 聞くところによると、かつてみうらはサンリオに入社する夢を抱いていたとも聞く。

みうらと、サンリオでシナモロール、ぐでたまといったメガヒットキャラを手がけた奥村心雪、Amyを迎え、日本のキャラクター文化のこれまでと最先端について考える。

サンリオの面接官に、「牛グッズを出したい」と答えたら「それは自分でやってください」と言われてしまい。(みうら)

―みうらさんが、就職活動で入社試験を受けた数少ない会社のひとつがサンリオだそうですね。

みうら:数少ない、というより2つだけです。もう1つは『ミュージック・ライフ』って雑誌を作っていたシンコーミュージックです。

美大(武蔵野美術大学)で一応、グラフィックデザインを勉強したんだけど、デザインってものがそもそも好きじゃなくて(笑)。フリーハンドでゆるっと描くのが好きで、学校で教えてもらう製図とか、既存の商品パッケージをデザインしてみよう、みたいな課題が大の苦手でした。授業もほとんど出てなかったですし(笑)。でも「キャラクター」は好きで、「キャラクター+デザイン」っていう概念があることに驚いたんですよ。それがサンリオに興味を持った最初です。

サンリオの会社説明会のとき、社内にある小さなキノコの家でデザイナーたちが仕事してる写真が紹介されていたんですよね。「これはヤバいぞ!」と興奮したのを覚えています(笑)。

みうらじゅん<br>1958(昭和33)年京都府生まれ。イラストレーターなど。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。1997(平成9)年「マイブーム」で新語・流行語大賞、2004年度日本映画批評家大賞功労賞を受賞。
みうらじゅん
1958(昭和33)年京都府生まれ。イラストレーターなど。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。1997(平成9)年「マイブーム」で新語・流行語大賞、2004年度日本映画批評家大賞功労賞を受賞。

奥村:たしかに昔の写真を見るとありますね。いまはなくなってしまいましたが……。

みうら:残念だなあ(笑)。

ところが、面接のほかにマークシート式の筆記試験があって、ビビりました。そんなものあるなんて思ってもみないから、まったくわからないわけですよ。それでやったのが、マークシートを無理矢理つないでキティちゃんの顔にしちゃうこと。ぐっちゃぐちゃな顔だったんですけど、面白い人だと思われるんじゃないかと思ったんですけどね。まあ、落ちますよね、そりゃ(笑)。

奥村:(苦笑)。面接では「牛のキャラクターを作りたい」とおっしゃったんですよね?

奥村心雪(おくむら みゆき)<br>株式会社サンリオの執行役員 / キャラクタークリエイション室長。サンリオのキャラクター制作の新カテゴリーを担っている。「シナモロール」のデザイナー。
奥村心雪(おくむら みゆき)
株式会社サンリオの執行役員 / キャラクタークリエイション室長。サンリオのキャラクター制作の新カテゴリーを担っている。「シナモロール」のデザイナー。

「シナモロール」©'01, '19 SANRIO 著作(株)サンリオ
「シナモロール」©'01, '19 SANRIO 著作(株)サンリオ

みうら:そうなんです。面接官の方に「弊社で希望することは?」と質問されたので、「牛グッズを出したい」と答えました。そうしたら「それは自分でやってください」と言われてしまい(笑)。

でも、よくよく考えると、いいことを言っていただいたんです。そうか、自分でやればいいんだと。その一言が、僕の「ひとり電通」への道の始まりでした。あれを言われてなかったら、今、何をしていたか想像もつきませんので。

―みうらさんの転機ですね。『プロジェクトX』的な。

みうら:ですね。まあ僕がサンリオに入れるわけないですよ、そもそも。僕が好きなフリーハンドと、じつはものすごくきちっとデザインされたキャラクターってまったく違うものですからね。だからこそ、最近のサンリオが「ぐでたま」に代表されるゆるいキャラを出し始められたのは、すごく気になってます。

「ぐでたま」©'13, '19 SANRIO S/D・G 著作(株)サンリオ
「ぐでたま」©'13, '19 SANRIO S/D・G 著作(株)サンリオ

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プロフィール

みうらじゅん

1958(昭和33)年京都府生れ。イラストレーターなど。武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。1997(平成9)年「マイブーム」で新語・流行語大賞、2004年度日本映画批評家大賞功労賞を受賞。著書に『アイデン&ティティ』『青春ノイローゼ』『色即ぜねれいしょん』『アウトドア般若心経』『十五歳』『マイ仏教』『セックス・ドリンク・ロックンロール!』『キャラ立ち民俗学』など多数。

奥村心雪(おくむら みゆき)

株式会社サンリオの執行役員 / キャラクタークリエイション室長。サンリオのキャラクター制作の新カテゴリーを担っている。「シナモロール」のデザイナー。

Amy(エイミー)

株式会社サンリオ キャラクタークリエイション室 クリエイター。「ぐでたま」のデザイナー。

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