LicaxxxとTEPPEIが語る、性別の枠組みから自由になるファッション

LicaxxxとTEPPEIが語る、性別の枠組みから自由になるファッション

インタビュー・テキスト
松井友里
撮影:玉村敬太 編集:吉田真也(CINRA)
2020/05/12
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男女平等の考え方が浸透していることで知られる北欧。歩みの速度は異なるものの、世界各国でも旧来的なジェンダーの捉え方に対して、人々の意識が変わりつつある。そうした社会状況を照射するように、ファッションにおいてもジェンダーの垣根を超えた装いが注目を集めている。

今回は、普段からレディース、メンズ問わずコーディネイトに取り入れることがあるというDJのLicaxxxと、スタイリストのTEPPEIを招いて対談を実施。昨今のファッション業界においてよく耳にする「ジェンダーレス」「ユニセックス」というキーワードを、どのように捉えているのだろうか。服を愛する二人の哲学からジェンダーレスファッションについて考えたい。

※この取材は東京都の外出自粛要請が発表される前に実施しました。

男性物のセットアップをだらっと着てるほうが「女性らしさ」を感じます(Licaxxx)

左から:TEPPEI、Licaxxx
左から:TEPPEI、Licaxxx

―まずお二人の関係性からうかがいたいのですが、普段からお会いする機会は多いのでしょうか?

Licaxxx:そうですね。共通の知り合いも多いですし。最近は、仕事の現場でも一緒になることが増えてきました。

TEPPEI:自分はハマさん(OKAMOTO’Sのハマ・オカモト)のスタイリングをさせていただいているので、『MELLOW DOWN EASY』の現場では毎回お会いしてますね。

McGuffinが配信する動画番組『MELLOW DOWN EASY』。Licaxxx とOKAMOTO’Sのハマ・オカモトがMCとなり、同世代のゲストとお酒を飲みながらゆるく語る番組

TEPPEI:かっちゃん(Licaxxx)は、お仕事に対して本当にストイックだから、この対談が決まってからも絶対いろいろ予習してきたと思う(笑)。

Licaxxx:バレてる……。とりあえず、TEPPEIさんのインスタとか片っ端から見直しました(笑)。

TEPPEI(てっぺい)<br>1983年生まれ、滋賀県出身。スタイリスト。専門学校を卒業後、原宿のヴィンテージショップ「Dog」のプレスに就任するとともに『FRUiTS』、『TUNE』といったスナップ誌の常連として掲載され、国内外でカルト的な存在として注目を集める。その後スタイリストとして本格的な活動を開始。RIP SLYME、星野源、OKAMOTO’S、SIRUPなど多くのミュージシャンのスタイリングのほか、数多くのブランドのファッションショーのディレクションなどに携わっている。
TEPPEI(てっぺい)
1983年生まれ、滋賀県出身。スタイリスト。専門学校を卒業後、原宿のヴィンテージショップ「Dog」のプレスに就任するとともに『FRUiTS』、『TUNE』といったスナップ誌の常連として掲載され、国内外でカルト的な存在として注目を集める。その後スタイリストとして本格的な活動を開始。RIP SLYME、星野源、OKAMOTO’S、SIRUPなど多くのミュージシャンのスタイリングのほか、数多くのブランドのファッションショーのディレクションなどに携わっている。

―お二人のSNSを拝見すると、異性のブランドアイテムも違和感なく取り入れている印象があります。ユニセックスなお洋服でも、抵抗なく着こなせるようになったきっかけを教えてください。

TEPPEI:それすごく気になりますね。何年か前にとある企画でかっちゃん(Licaxxx)と共演する機会があったんですけど、その頃って今と違ってガーリーな服装をしていたよね。

Licaxxx:たしかに! 髪も長かったし、よくロングスカートを履いていましたね。選ぶアイテムがレディースかメンズかを意識しなくなったきっかけは、モードな服にハマりだしてからだと思います。

たとえばCOMME des GARCONSってスカートでもあまり性別を感じさせないし、TOGAとかFACETASMのスカートも、ボリュームがあって履いたときに少しメンズっぽいのもありますよね。袴みたいな感覚があるというか。そっちのほうが自分には合っていると感じるので、今はメンズライクなデザインの洋服ばかり着ています。

Licaxxx(りかっくす)<br>東京を拠点に活動するDJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。マシーンテクノ / ハウスを基調にしながら、ユースカルチャーの影響を感じさせるテンションを操る。『FUJI ROCK FESTIVAL』など日本国内の大型音楽フェスや、『CIRCOLOCO』などヨーロッパを代表するイベントにも多数出演。日本国内ではPeggy Gou、Randomer、Mall Grab、DJ HAUSらの来日をサポートし、共演している。さらに、NTS RadioやRince Franceなどのローカルなラジオにミックスを提供するなど幅広い活動を行っている。ビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰。
Licaxxx(りかっくす)
東京を拠点に活動するDJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。マシーンテクノ / ハウスを基調にしながら、ユースカルチャーの影響を感じさせるテンションを操る。『FUJI ROCK FESTIVAL』など日本国内の大型音楽フェスや、『CIRCOLOCO』などヨーロッパを代表するイベントにも多数出演。日本国内ではPeggy Gou、Randomer、Mall Grab、DJ HAUSらの来日をサポートし、共演している。さらに、NTS RadioやRince Franceなどのローカルなラジオにミックスを提供するなど幅広い活動を行っている。ビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰。

TEPPEI:じゃあ、最近は洋服を選ぶときに「女性らしさ」とかあまり意識しない?

Licaxxx:いえ、「女性らしさ」をまったく意識しないわけではないんですよね。「女性らしさ」も人によっていろいろな解釈があると思いますが、私の場合は媚びずにクールでありつつも、華やかさを感じるスタイルが好きです。

だから私が思う「女性らしい洋服」は、動いたときにしなやかで品を感じるもの。その感じは、メンズの服でもレディースの服でも出せると思っていて。たとえば、女性物のパンツスーツをぴたっと着るよりも、男性物のジャケットとパンツのセットアップをだらっと着てるほうが「女性らしさ」を感じるんです。ラフな格好のほうが気負わず自然体でいられますしね。

LEMAIREのセットアップ、COMME des GARCONSのシャツ、Maison Margielaのシューズ。セットアップとシャツはメンズライン(すべて本人私物)
LEMAIREのセットアップ、COMME des GARCONSのシャツ、Maison Margielaのシューズ。セットアップとシャツはメンズライン(すべて本人私物)

TEPPEI:自分の場合は、着たいと思う女性物の服って過去にもたくさんあったけど、肩幅がきつかったり、腰の位置が違ったりするものが多くて断念することも結構ありました。

ただ、女性物を着ることに対しての抵抗感は昔からなかったですね。シャツのボタンのかけ合わせが男女で逆でも、まったく気にならない。だから、デザインが好きでサイズが合えば、レディースでも気にせず購入します。

最近は全体的にいろいろなブランドのサイズ感が大きくなってきているし、昔よりもレディースの服を取り入れやすくなった気がします。今日着ているマルジェラのジャケットもウィメンズラインのXSサイズだけど、だいぶ大きめなサイズ感。男性でもゆったり着られるくらいです。

COOTIEのニットキャップ、Maison Margielaのライダースジャケット、PRADAのプルオーバー、Alexander Wangのデニム、Hender Scheme × Dr.Martensのシューズ。ライダースジャケットとデニムはレディースライン(すべて本人私物)
COOTIEのニットキャップ、Maison Margielaのライダースジャケット、PRADAのプルオーバー、Alexander Wangのデニム、Hender Scheme × Dr.Martensのシューズ。ライダースジャケットとデニムはレディースライン(すべて本人私物)
背中にインパクトのあるグラフィックが描かれたMaison Margielaのレザーライダースジャケット
背中にインパクトのあるグラフィックが描かれたMaison Margielaのレザーライダースジャケット

Licaxxx:選択肢の幅が増えている時代の流れは良いですよね。AcneやAcne出身のデザイナーが立ち上げたHOPEも、サイズだけ変えてメンズもレディースも着られるようなアイテムを出していたり、最近のOff-Whiteはメンズのほうがぴったりしていて逆にレディースはふわっとしていたり。そういう意味ではファッションにおいて、メンズとレディースというカテゴリーの境界線は薄れてきているのかも。

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プロフィール

Licaxxx(りかっくす)

東京を拠点に活動するDJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。マシーンテクノ / ハウスを基調にしながら、ユースカルチャーの影響を感じさせるテンションを操る。『FUJI ROCK FESTIVAL』など日本国内の大型音楽フェスや、『CIRCOLOCO』などヨーロッパを代表するイベントにも多数出演。日本国内ではPeggy Gou、Randomer、Mall Grab、DJ HAUSらの来日をサポートし、共演している。さらに、NTS RadioやRince Franceなどのローカルなラジオにミックスを提供するなど幅広い活動を行っている。ビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰。

TEPPEI(てっぺい)

スタイリスト。1983年生まれ、滋賀県大津市出身。専門学校を卒業後、原宿のヴィンテージショップ「Dog」のプレスに就任するとともに『FRUiTS』、『TUNE』といったスナップ誌の常連として掲載され、国内外でカルト的な存在として注目を集める。2006年公開の映画『間宮兄弟』では、演技未経験にも関わらず俳優デビューを飾る。その後スタイリストとして本格的な活動を開始。RIP SLYME、星野源、OKAMOTO’S、SIRUPなど多くのミュージシャンのスタイリングのほか、数多くのファッションビジュアル、ショーのディレクションなどに携わっている。

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