マイブラとシューゲイザーの30年 全ては1枚の傑作から始まった

マイブラとシューゲイザーの30年 全ては1枚の傑作から始まった

テキスト・撮影
黒田隆憲
編集:山元翔一

現代に息づくマイブラの遺伝子。北欧の美しきシューゲイザーたちに想いを馳せる

さて、そんなマイブラが30年前のアルバム『Isn't Anything』で全世界に撒いた「シューゲイザーの遺伝子」は、北欧のバンドたちにも受け継がれ、独自の進化を遂げてきている。ここでは北欧シューゲイザーの代表格をいくつか紹介していこう。

北欧諸国のなかで、最もシューゲイザーが発達しているのはスウェーデン。1995年に結成されたThe Radio Dept.は、ソフィア・コッポラ監督による映画『マリー・アントワネット』(2006年)で起用されたことにより、世界中で話題になったバンドだ。淡いエレクトロビートにシンセやエレキギターを塗り重ね、囁くように歌われる甘いメロディーを包み込んだそのサウンドは、煌びやかだが儚げなソフィアの映画世界とも深く共鳴する。

The Radio Dept.『Clinging to a Scheme』(2010年)を聴く(Apple Musicはこちら

2016年の通算4枚目『Running Out of Love』をリリース以降、あまり目立った動きはないがマイペースに活動を続けているようだ。近年スウェーデンでは、「Luxury Records」が良質なバンドを次々と紹介しており、なかでもThe Sun DaysやWestkustあたりは注目株。

The Sun Days『Album』(2015年)を聴く(Apple Musicはこちら

Westkust『Last Forever』を聴く(Apple Musicはこちら

ノルウェーの代表的なシューゲイザーといえば、Serena-Maneeshだ。「4AD」から2010年にリリースされた彼らの2ndアルバム『No 2: Abyss in B Minor』は、新世代シューゲイザーの傑作。エミル・ニコライセンのカリスマティックなボーカルと、Sonic Youthの暴力性とCocteau Twinsの耽美性を併せ持ったギターサウンドが特徴だ。

Serena-Maneesh『No 2: Abyss in B Minor』を聴く(Apple Musicはこちら

最近だと、大阪の「Flake Sounds」から日本デビューを果たした、Teenage Fanclub的なポップネスも併せ持つStrange Hellos、Mogwaiあたりにも通じる大所帯のポストロックバンド、Spurvなどが注目株である。

Strange Hellos『Chromatic』(2017年)を聴く(Apple Musicはこちら

Spurv『Myra』(2018年)を聴く(Apple Musicはこちら

音楽大国・アイスランドにも、シューゲイザーの遺伝子を受け継ぐバンドは多い。Sigur RosやMumはその筆頭だが、最近「Rimeout Recordings」から日本デビューしたVarも、Sigur Ros経由でシューゲイザーの要素を取り入れている。

Sigur Ros『Von』(1997年)を聴く(Apple Musicはこちら

Var『Vetur』(2017年)を聴く(Apple Musicはこちら

フィンランドからは、哀愁漂うメロディーがHouse of Love辺りにも共振するNeøvや、Slowdiveと比較されることの多いScarlet Youth、メランコリックなメロディーと美しいコーラスがRideに通じるMumrunnerなど、良質なシューゲイザーバンドが次々と頭角を現している。

Neøv『Orange Morning』(2013年)を聴く(Apple Musicはこちら

Scarlet Youth『Goodbye Doesn't Mean I'm Gone』(2011年)を聴く(Apple Musicはこちら

Mumrunner『Gentle Slopes EP』(2016年)を聴く(Apple Musicはこちら

そして、Mewを生んだデンマークからは、ウサギの仮面を被ったブライアン・バッツのソロプロジェクト、Sleep Party Peopleが日本でも人気だ。

Sleep Party People『Lingering』(2017年)を聴く(Apple Musicはこちら

こうやって改めて聴いてみると、雄大な自然や、メランコリックな音楽を好む国民性、ヨーロッパに影響された構築美など、北欧にはシューゲイザーと相性のよい要素が数多くある。北欧の固有の風土や文化と組み合わさることにより、シューゲイザーは独自の進化を遂げてきた。まもなく上陸するマイブラを目撃する前に、そんな北欧シューゲイザーにも想いを馳せてみてはいかがだろうか。

My Bloody Valentine

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イベント情報

『SONICMANIA 2018』

2018年8月17日(金)
会場:千葉県 幕張メッセ

出演:
[CRYSTAL MOUNTAIN]
NINE INCH NAILS
MY BLOODY VALENTINE
CORNELIUS
電気グルーヴ

[SONIC WAVE]
MARSHMELLO
CLEAN BANDIT
PETIT BISCUIT
UNKLE
中田ヤスタカ

[SPACE RAINBOW]
『Brainfeeder Night In SONICMANIA』
FLYING LOTUS
THUNDERCAT
George Clinton & Parliament Funkadelic
Dorian Concept
Jameszoo
Ross From Friends

料金:前売12,000円 プラチナチケット20,000円

『My Bloody Valentine単独公演』

2018年8月15日(水)
会場:東京都 豊洲 PIT
料金:8,500円(ドリンク別)
※未就学児入場不可

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