高円寺メタルめし・ヤスナリオが語る、北欧文化とメタルへの愛

高円寺メタルめし・ヤスナリオが語る、北欧文化とメタルへの愛

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:伊藤惇 編集:山元翔一

激しく過激なメタルを奏でている人ほど、ベジタリアンだったりビーガンだったりするのも興味深いですよね。

—メタラーだったらきっと一度は訪れたいお店なのかなと思いますが、有名なメタルミュージシャンも遊びに来ます?

ヤスナリオ:Arch Enemy(スウェーデン出身のメロディックデスメタルバンド)のマイケル・アモットさんというギタリストの方が来てくださいましたね。

2014年に『メタルめし』(DU BOOKS)の本を出したんですけど、そのときにArch Enemyをもじった料理を掲載したら、本人が気づいてくださって。「日本に行ったときは、ぜひ店に遊びに行くよ」みたいなことを、Twitter経由で言ってくれたんです。「社交辞令でも嬉しいなあ」と思ってたら、今年の6月に本当に来てくださって。そのあとも何度かご来店していただいているんですよ。

マイケル・アモットの壁画とサインとともに
マイケル・アモットの壁画とサインとともに

ヤスナリオ:アモットさんはベジタリアンで、前もって「ベジタリアン用のメニューはできますか?」って問い合わせがあったので、初めて挑戦してみました。大豆ミートを使ったミートボールを使って、名前は、Arch Enemyの“As The Pages Burn”(2014年)という曲をもじって、「アズ・ザ・ベジズ・バーグ」にしました。ダジャレもちゃんとウケたのでよかったです(笑)。料理も気に入っていただけて、「家で作るからレシピ教えてくれる?」って言ってくださいましたね。

アズ・ザ・ベジズ・バーグ
アズ・ザ・ベジズ・バーグ

—北欧のメタルミュージシャン、それもとりわけブラックメタルをやっている人たちにはベジタリアンが多いみたいですけど、なぜなんですかね?

ヤスナリオ:ブラックメタルは「死」がテーマの歌詞が多いんですけど、動物の死についてなど調べていくうちに、動物愛護の精神が芽生えるみたいで。「動物をわざわざ殺して食べなくたって、いいじゃないか」という考えに行き着くらしいです。

激しく過激なメタルを奏でているミュージシャンほど、ベジタリアンだったりビーガンだったりするのも興味深いですよね。たとえばCarcass(イングランド出身のエクストリームメタルバンド)というバンド名は、「死体」とか「死骸」っていう意味なんですが、メンバーは全員ビーガン。Arch Enemyのメンバーも革製品は一切身につけず、合皮にしているみたいです。

—徹底しているんですね。

ヤスナリオ:きっと、メタラーってオタク気質な人が多いんじゃないかと思いますね。なにかひとつのことを極めたいというか、追求したくなる人たちなんでしょうね。

アモットさんの他にも数々のアーティストが来店し、サインを寄せている
アモットさんの他にも数々のアーティストが来店し、サインを寄せている

高円寺にはゆるい感じのお店があることを知って。「この感じだったらやれるかもしれない」って思っちゃったんです(笑)。

—そもそものお話なんですけど、「メタルめし」を考案されたのは、どんなキッカケがあったんですか?

ヤスナリオ:今から7~8年くらい前に、男子ブロガーが流行ったので、それに便乗しようと思って料理ブログを始めまして(笑)。でも料理ブログといっても、小洒落た感じの料理っていうのは自分には合わなかったんですよね。それで、「もっと自分の好きなものに寄せていこう」と考えたときに、中学生の頃から大好きだったヘヴィメタルと料理を、無理やり結びつけることを思いついたんです。

—料理も昔からお好きだったんですか?

ヤスナリオ:学生の頃に自炊していて、「お金をかけず、いかに美味しい料理が作れるか?」ということを考えながらいろいろ工夫してたら、面白くなってきて。冷蔵庫のなかにある、あり合わせの食材だけで作れるような料理を、最初はブログに上げていたんです。それを読んだ出版社の方から書籍のお話をいただいて、『深夜特急めし109』(2013年 / 主婦と生活社)というレシピ本を出しました。そのあと「メタルめし」が書籍化したのは、そのレシピ本がキッカケとも言えますね。

ヤスナリオ

—高円寺にお店をオープンしたのは、どんな経緯だったのでしょうか。

ヤスナリオ:『メタルめし』の本を出して1年経った頃にはもう、自分のなかでやり尽くした感があったんですよね。メニューを考えレシピを検討し、ブログに上げて書籍化して、っていう一連のことに「飽きた」というわけではないんですけど、「これをこのまま続けていても、きっと面白くないな」と。

だったら、「次は店しかない!」と思って奥さんに相談したら、「やったほうがいいよ」と即答してくれたんですね。そのとき縁あって高円寺に引っ越してきたタイミングだったんですけど、ご飯を食べるところを探しつつ散歩してたときに、結構ゆるい感じのお店がいろいろあることを知って。「この感じだったらやれるかもしれない」って思っちゃったんです(笑)。それが2015年の始めくらい。それでその年の6月にはオープンしていました。

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プロフィール

ヤスナリオ

三度のメシよりヘヴィメタル好き!かもしれない、自称「料理勉強家」。「ホントはこういうのが一番ウマいんだよねぇ」と唸らせる、シンプルでカンタンな料理をブログで発信。雑誌、WEB、TV番組などへのレシピ提供も行う。2015年6月より、「高円寺メタルめし」をオープン。

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