クリエイティブ都市の特徴は? ストックホルム在住の編集者が語る

クリエイティブ都市の特徴は? ストックホルム在住の編集者が語る

2021/11/19
テキスト
松井明洋
編集:吉田真也

ストックホルムと東京の二拠点生活。「都市の編集者」として感じる文化の重要性

現在こちらの気温は9℃。11月のストックホルムはカラッと晴れることもあれば、霧雨が延々と降り続くこともあるのですが、ここ最近は生憎の曇り空で優柔不断な天気が続いています。

思い起こせば、「ストックホルムにも拠点をつくろう」と8年前にこちらに来たのも11月で、まさに空が雨を降らせようか決めかねているような日でした。

松井明洋(まつい あきひろ)<br>1982年生まれ。都市の編集者集団、MEDIASURF代表。日本橋兜町のマイクロ複合施設「K5」共同運営、同エリアのビアバー「Omnipollos Tokyo」、ビアホール「B」、コーヒースタンド「SR」なども運営。コロナ以前は、東京とストックホルムをベースに世界中を回り、都市の定点観測することを趣味としていた。現在もストックホルムと東京の二拠点で活動中。
松井明洋(まつい あきひろ)
1982年生まれ。都市の編集者集団、MEDIASURF代表。日本橋兜町のマイクロ複合施設「K5」共同運営、同エリアのビアバー「Omnipollos Tokyo」、ビアホール「B」、コーヒースタンド「SR」なども運営。コロナ以前は、東京とストックホルムをベースに世界中を回り、都市の定点観測することを趣味としていた。現在もストックホルムと東京の二拠点で活動中。

そもそも、東京をこよなく愛するぼくがなぜストックホルムに行くことになったのか。それは、当時の彼女、つまり現在の妻との出会いがきっかけでした。

東京で出会ったストックホルム出身の彼女。東京駐在の任期が切れるタイミングで、「家族で長い時間を過ごすならストックホルムも良いね。寒いだろうけど、自然も多そうだし。何度かぼくも行ったことあるしね」という何気ない会話から、二拠点生活を決意。仕事がある東京に居を構えつつ、ストックホルムにも年の半分ほど滞在する生活が始まりました。

冬は長く、降雪が多いストックホルムの風景
冬は長く、降雪が多いストックホルムの風景

東京とストックホルムを行き来する生活は、仕事においても役立っています。われわれMEDIASURFは自分たちを「都市の編集者」と位置づけ、エリアを文化の力をもって編集し、活性化する、ということを行っています。

「都市の編集」とは具体的に、対象エリアの目に見えない文脈を読み解き、レストラン、バー、カフェ、ショップ、ホテル、ギャラリーなどさまざまな文化コンテンツ=「点」をキュレーションしエリアに散りばめ、情報や人の流れでそれらをつなぎ「線」にして、最終的にそのエリアをユニークな「面」にしていく行為です。

そのためには、世界中で起きている大きなトレンドや流れ、時代のうねりのようなものを自身の体験を持って理解し、解釈することが大事。そうした感覚を東京や日本各地に照らし合わせて、新たな都市文化を創造していきたいと考えています。

ですから、世界有数の魅力的な都市として知られるストックホルムという街で起きているさまざまな事象を体験しながら東京と比較できる状況は、プラスに働いていると実感しています。

皆違ってそれで良い。ストックホルム特有の価値観と街の魅力

さて、そんな二拠点生活を送る私が、今回「Fika」で前後編のコラムをお届けすることになりました。この前編では「ストックホルムの街の魅力と、クリエイティブな都市の要素」について。近日公開予定の後編では、「ストックホルムを参考に、東京に活かす理想の都市づくり」をテーマに綴ります。

ストックホルムの都市をヒントにMEDIASURFが手がけてきたプロジェクト事例などは後編に譲るとして、話をストックホルムの魅力に引き戻しましょう。

スウェーデンは人口が約1,000万人。ストックホルムだけで見ると約97万5,600人で、日本だと千葉市(約97万1,900人)と同じくらいのようです。そんなストックホルムですが、まずは完全に個人的見解に基づく「グッドなポイント」をいくつか挙げたいと思います。

・かもめが多い

ストックホルムはよく「水の都」といわれますが、小さな島の集合なので、水が非常に近く、かもめが飛んでいるのをよく目にします。『かもめのジョナサン』や『かもめが翔んだ日』などといった本を愛読する、かもめ好きの私にとっては非常にポイント高し。憧れの港町感もあって素敵です。

14の島々が橋で結ばれた水上に浮かぶ街「ストックホルム」
14の島々が橋で結ばれた水上に浮かぶ街「ストックホルム」

・言葉に(そこまで)困らない

スウェーデンは北欧で一番の人口を誇る国とはいえ、世界的に見れば小国です。国内のマーケットが限定的であることから近隣他国への文化輸出(音楽や映画)ないし、輸入に頼ることが多く、かつ移民を多く受け入れています。ですから、スウェーデン語という母国語がありながら、同時に英語でのコミュニケーションが円滑です。

・デザインが良い

東京もデザインで溢れていますが、こちらも同様です。やはり気候的に冬は暗く寒い、という厳しい条件下で過ごすことが求められるので、家のなかにいる時間が少しでも豊かになるよう、素敵なデザインの家具や照明が多いです。たまに街のビンテージショップや蚤の市で良い家具や陶器、ラグなどを見つけることが密かな楽しみです。

先日、現地のビンテージストアで購入したスウェーデンにまつわる雑貨たち。エリック・ホグランがデザインしたものやホガネスの水差し、伝統工芸品である木彫りの馬「ダーラナホース」など
先日、現地のビンテージストアで購入したスウェーデンにまつわる雑貨たち。エリック・ホグランがデザインしたものやホガネスの水差し、伝統工芸品である木彫りの馬「ダーラナホース」など

・寛容性が高い

個人的には、これが最も大きなアドバンテージだと思います。さまざまな出自やバックグラウンド、考え方、指向性に対する受容度は高く、「皆違ってそれで良い」という考え方が広く一般に普及しているのです。ただ、なんでもありかというとそうでもなくて、集団としての一体感、みたいなものを重視している風潮がある。言葉では説明しづらいのですが、個性を尊重しつつも、より良い社会や文化をともにつくっていこうという意識が根づいている気がします。

Page 1
  • 1
  • 2
次へ

プロフィール

松井明洋(まつい あきひろ)

1982年生まれ。都市の編集者集団、MEDIASURF代表。日本橋兜町のマイクロ複合施設「K5」共同運営、同エリアのビアバー「Omnipollos Tokyo」、ビアホール「B」、コーヒースタンド「SR」なども運営。コロナ以前は東京とストックホルムをベースに世界中を回り、都市の定点観測することを趣味としていた。現在もストックホルムと東京の二拠点で活動中。

感想をお聞かせください

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
回答を選択してください

ご協力ありがとうございました。

Category カテゴリー

What's "Fika" ? フィーカとは

「Fika」はCINRA.NETとVOLVOが送る、北欧カルチャーマガジンです。北欧デザインの思想の基盤を「クラフトマンシップ×最先端技術」と捉え、そこに学びながら、これからのカルチャーやライフスタイルにまつわるコンテンツをお届けします。