北欧が大切にする、おやつ時間。その名もFika(フィーカ)!
本連載は、北欧文化を家庭料理から楽しむためのレシピを紹介。3回目は北欧の人々が昔から大切にしている「お茶の時間」に食べられているというパンケーキです。スローライフを楽しむ彼らの国民性から生まれた独特の時間を味わってみてはいかがでしょうか?
スウェーデンのコーヒーブレイクの時間を「Fika(フィーカ)」と言います。日本でいう「3時のおやつ」ですね。大人になると、つい「おやつ」の時間を忘れて仕事や家事に熱中しがち。北欧の人たちの忙しい毎日を支えているのは、ホッと、ひと息つける「フィーカ」の時間があるからなのかもしれませんね。コーヒーや紅茶と一緒に食べたい甘いお菓子のなかから、今回はパンケーキについてお話しいたします。
北欧のパンケーキは個性的。国や地域によって見た目や調理法が違うんです
パンケーキは日本でも根強い人気を誇っていますが、北欧の人たちも大好き。しかし、国や地域によってかたちや厚さ、大きさなどが異なるところが興味深いところ。
日本で定番の厚めパンケーキももちろんありますが、デンマークではたこ焼きのように丸く焼き上げるのが主流。フィンランドでは耐熱容器にパンケーキ液を流し入れてオーブンで焼く四角形スタイルで、スウェーデンでは少し薄めに焼いたミニパンケーキと、バリエーションが多いのです。
北欧でパンケーキが愛されている証拠に、パンケーキ専用のフライパンも作られています。スウェーデンでは「プレットパンナ」という小さいパンケーキが一気に焼けるフライパン、デンマークでは丸いくぼみがたこ焼き器のようにあいたパンケーキ用フライパンがあり、結婚のお祝いでプレゼントすることも多いのだとか。
見た目にもかわいいスウェーデンのミニパンケーキ「プレッタ」の作り方
さらにスウェーデンはパンケーキの大きさと盛りつけ方にも種類があり、1枚を大きめに焼いたものを「パンカーコル」と呼びます。こちらはスープに添える食事パンケーキにするほか、くるくるとシガレット状に巻いて砂糖をふりかけ、気軽なおやつとしても食べられています。
そして先ほど紹介したフライパン「プレットパンナ」で小さく焼いたものを「プレッタ」と呼びます。今回はフィーカの時間によく食べられている、ミニパンケーキ「プレッタ」の作り方を紹介。
<材料>
牛乳 200ml
卵 1個
薄力粉 80g
塩 ふたつまみ
溶かしバター(無塩) 20g<作り方>
1.ボウルに卵を割りいれ、ざっくり泡立て器でまぜて溶いてから牛乳を少しずつ混ぜながら加え、ザルにいれた薄力粉と塩を振りいれながらさらに滑らかになるまで混ぜる。ラップをして冷蔵庫で30分からひと晩、休ませる。2.プレットパンナのフライパンを弱めの中火にかける。温まったら、溶かしバターをキッチンペーパーに含ませ、それぞれの穴に塗って1を注ぐ。表面が乾いて焼き色がついたら裏返し、両面に焼き色をつける。これを生地がなくなるまで同様に焼く。
プレットパンナがない場合は、通常のフライパンで直径7cmほどの円形を作って一枚ずつ焼く。または直径7cmほどのセルクルをいくつかおいて、そこに注いで焼くとよい。
3.パンケーキを焼き終えたらお皿に並べ、好みのソースを添えれば完成。
きれいに焼くコツはフライパンをしっかり熱し、バターをなじませること
食事にもデザートにも変化するパンケーキはアレンジも無限
先ほどの材料に「砂糖」などの甘味が入っていないことにお気づきでしょうか? そう、じつはスウェーデンのパンケーキの特徴は「甘み」がないところ。なので、生クリームとジャムを合わせても、ほどよい甘さでペロリと食べられますよ。
北欧の家庭ではジャム作りが日常。夏になるとブルーベリー、ラズベリー、リンゴンベリーなど、たくさんの果実が市場に並びます。冬のあいだの大切なビタミン源としてジャムは重宝しているようです。手作りジャムにトライしてみるのもおすすめ。
パンケーキは冷凍保存もできるので、ちょっと小腹がすいたときに食べたり、食事のときのパン代わりにしたりと、出番は多種多様。さまざまなアレンジを楽しんでみてください。
- プロフィール
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- フルタヨウコ
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料理家・編集者。料理家としてレシピ寄稿やワークショップなどで活躍するほか、デザイン関係の書籍やウェブで編集・執筆なども手がける。ウェブメディア『北欧、暮らしの道具店』を運営するクラシコムで社員食堂を担うほか、自由大学にて「朝ごはん学」の教授を務める。また、制作&プロデュースをするオリジナルジャムは毎回、即完売する人気アイテム。著者は『北欧のおいしいスープ』(新星出版社)など。
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- 連載『北欧レシピ』
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現地の暮らしを知るには、その土地の食文化や伝統料理にふれることが一番の近道ではないでしょうか。伝統を重んじる北欧諸国では、100年以上受け継がれている食習慣やレシピがたくさんあります。そんな北欧の家庭料理を日本の食卓で味わえるレシピを紹介していきます。