巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』(1971年)で主人公を破滅に導く少年タジオを演じたビョルン・アンドレセンの衝撃の真実を描いたドキュメンタリー映画『世界で一番美しい少年』が2021年12月17日より公開される。
高名な老作曲家の苦悩と恍惚を描いた映画『ベニスに死す』は、1971年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され「25周年記念賞」を受賞、日本でも1972年の「キネマ旬報ベスト・テン第1位」になるなど、圧倒的に高い評価を得て長年に渡り多くの人に愛され続ける名作。
同作の公開当時、「世界で一番美しい少年」として一大センセーションを巻き起こしたのは、ヴィスコンティに見出されたスウェーデン出身の少年、当時15歳のビョルン・アンドレセンだ。彼は観る者の目を釘付けにする圧倒的な存在感を放ち、日本のカルチャーにも大きな影響を及ぼした。劇中では、マンガ『ベルサイユのばら』の作者・池田理代子氏が、彼が主人公「オスカル」のモデルであったという事実を語るシーンも。
『ベニスに死す』を機に伝説的なアイコンとなった彼は、50年後、日本でも大ヒットしたアリ・アスター監督の『ミッドサマー』(2019年)で老人ダン役を演じ、その驚愕の変貌ぶりが話題となった。本作の中で彼は、熱狂の「あの頃」に訪れた東京、パリ、ベニスへ向かい、ノスタルジックにして残酷な自らの栄光と破滅の軌跡をたどる。「世界で一番美しい少年」が見た天国と地獄、そして心の再生への道のりがいま明かされる――。