魅力的な東京を取り戻すために。ストックホルムに学ぶ都市文化

魅力的な東京を取り戻すために。ストックホルムに学ぶ都市文化

2021/11/29
インタビュー・テキスト
松井明洋
編集:吉田真也

ストックホルムの「文化拠点」が、都市に良い影響を与えている

ストックホルムと東京に拠点を置き、文化の力で「都市の編集」を行なう松井明洋(MEDIASURF)のコラム。前編では、「ストックホルムの街の魅力と、クリエイティブな都市の要素」について綴りました。

後編では、都市に良い影響を与えているというストックホルムの文化拠点がどのように生まれたのか、MEDIASURFが東京に持ち込んだ拠点のなかから2つの事例をご紹介。そこから、魅力的な都市に発展する要素や、東京の可能性を考察していきます。

<b>松井明洋(まつい あきひろ)</b><br>1982年生まれ。都市の編集者集団、MEDIASURF代表。日本橋兜町のマイクロ複合施設「K5」共同運営、同エリアのビアバー「Omnipollos Tokyo」、ビアホール「B」、コーヒースタンド「SR」なども運営。コロナ以前は、東京とストックホルムをベースに世界中を回り、都市の定点観測することを趣味としていた。現在もストックホルムと東京の二拠点で活動中。
松井明洋(まつい あきひろ)
1982年生まれ。都市の編集者集団、MEDIASURF代表。日本橋兜町のマイクロ複合施設「K5」共同運営、同エリアのビアバー「Omnipollos Tokyo」、ビアホール「B」、コーヒースタンド「SR」なども運営。コロナ以前は、東京とストックホルムをベースに世界中を回り、都市の定点観測することを趣味としていた。現在もストックホルムと東京の二拠点で活動中。

これまでMEDIASURFは、ストックホルムで注目されている文化拠点をいくつか日本に進出させてきました。その代表例として、まず挙げたいのがロースター&カフェ「STOCKHOLM ROAST」(※日本での店舗名は現在「SR」)です。ビジネス面を担当するヨハン・アルグレンと焙煎士のオナー・カルベイの二人を中心に、豆の輸入から焙煎、卸販売までを行なっています。

「STOCKHOLM ROAST」の本拠地は、ストックホルム中心部から南に電車で25分ほど行った郊外にあります。最初は別の場所に構えていましたが、2年ほど前にもともと精肉工場群の一帯だった現在地に移転。現地の人々にとって突如現れた「STOCKHOLM ROAST」は、オアシスのような存在になりました。

現地の「STOCKHOLM ROAST」店内
現地の「STOCKHOLM ROAST」店内

コーヒーが、都市を魅力的にする第一歩に。STOCKHOLM ROASTの考え方

「STOCKHOLM ROAST」が誕生したのは、いまからさかのぼること約10年前。ある夜、ヨハンとオナーはワインを飲みながら、「もし願いがかなうならば、クオリティーにとことんこだわった、本当においしいコーヒーを焙煎するロースタリー(焙煎所)がやりたいね」と自分たちの将来について語り合っていたそうです。

驚くことにその翌日、Stockholm Roastというロースタリーをやっている友人から電話があり、「自分は引退をしようと思う。うちのロースタリーのビジネスを、ブランドや設備含めて買わないか?」と連絡があったといいます。映画のようなタイミングの良さが彼らの背中を押して、ほぼ即決でビジネスを引き継ぐことに。こうして現在の「STOCKHOLM ROAST」が誕生しました。

現地の「STOCKHOLM ROAST」店内
現地の「STOCKHOLM ROAST」店内

こだわりのおいしいコーヒーを提供するのは大前提として、彼らがほかのロースター&カフェと一線を画すのは、「コーヒーはあくまでもコミュニティーづくりの媒介の一つである」と言い切るところ。「会話が捗り、アイデアが生まれる」。そんな光景をつくり出すための一要素としてのコーヒーであるという考え方です。

彼らが都心ではなく、あえてストックホルムの郊外を拠点に選んだ理由にも、その考えが関係しています。そこには、「魅力的な街文化を築くにはどうすれば良いのか。まずはおいしいコーヒーを飲みながら話し合おうよ」というメッセージが込められているのです。

われわれMEDIASURFも3年前に彼らと一緒に日本法人をつくり、いまでは東京の日本橋兜町をはじめとする都内3か所で「SR」を運営中。「SR」が日本橋兜町にきたことで、コーヒースタンドとしてだけでなく、エリアのおすすめ店舗やイベント情報なども提供できる「街の小さな案内所」としての役割も微力ながら果たしているように思います。「多様な文化をつくり出すきっかけになるコーヒー」というあり方を、現在も本国の彼らと一緒に探求し続けています。

日本初出店のCommune 2nd店。最初は既存の店舗を平日の午前中のみテイクオーバーするポップアップとしてスタートした
日本初出店のCommune 2nd店。最初は既存の店舗を平日の午前中のみテイクオーバーするポップアップとしてスタートした
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プロフィール

松井明洋(まつい あきひろ)

1982年生まれ。都市の編集者集団、MEDIASURF代表。日本橋兜町のマイクロ複合施設「K5」共同運営、同エリアのビアバー「Omnipollos Tokyo」、ビアホール「B」、コーヒースタンド「SR」なども運営。コロナ以前は東京とストックホルムをベースに世界中を回り、都市の定点観測することを趣味としていた。現在もストックホルムと東京の二拠点で活動中。

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