スウェーデン在住のふたりぱぱ。恋愛や結婚、家族のかたちを語る

スウェーデン在住のふたりぱぱ。恋愛や結婚、家族のかたちを語る

2021/08/16
インタビュー・テキスト
飯嶋藍子
写真提供:ふたりぱぱ 編集:飯嶋藍子、CINRA.NET編集部

戸籍制度の日本、個人を尊重するスウェーデン、それぞれのいいところ

―ほかの国に行って新しい暮らしを始めるタイミングで、というのはとても素敵なきっかけですね。

みっつん:本当に。実際に結婚してみて思ったのは、やっぱり結婚って便利なものだなということ。結婚すると、どこに行っても正式なパートナーとして認めてもらえて、家族として認めてもらえて、いろんな手続きが楽になって……そういう便利な制度だなって思います(笑)。

ふたりは2011年に結婚宣誓式を行なった
ふたりは2011年に結婚宣誓式を行なった

―「家族」という単位って、やっぱりとても重視されているんだなといまのお話をうかがってあらためて感じました。

みっつん:そうですね。同性カップルだと未だに珍しく見られがちではあるんですけど、実際に僕らがやっていることや生活スタイルは伝統的家族と同じですし、なんの特別感もない毎日を送っているんです。スウェーデンがちょっと違うのは、個人を大切にする社会があるということ。何かと家族で集まる文化もありつつ、それは個人の集まりでしかないというところも尊重されていて、税金や年金も個人によったかたちで算出されていきます。

たとえばスウェーデンは待機児童がいないんですけど、それは、親がちゃんと働けて、子どもは平等な教育を受ける権利があるとか、平等性と公平性を重んじて法律がつくられているからなんです。逆に日本は、たとえば扶養とか、戸籍制度によるベネフィットがありますよね。日本とスウェーデンは人口や都市の規模も違うので制度を比較できないところはありますが、それぞれが一長一短ですよね。

みっつんが両親へしたためた16枚の手紙。それぞれの家族との向き合い方

―みっつんさんは、結婚を機にご両親にカミングアウトされたそうですね。そのときご両親とはどういうコミュニケーションをとられましたか?

みっつん:両親へは手紙で伝えました。さすがに家族に黙って海外移住するわけにはいかないなと思って。それで電話したんですけど、やっぱり言えず、次の日に手紙を出しました。何度も書き直したのですが、最初のページに「僕はゲイです。来月、スウェーデン人の男の人と結婚します。3か月後にロンドンに移住します」って書いて(笑)。

―最初から全部盛りですね!

みっつん:簡潔に言ったほうがいいと思って(笑)。なんでこのタイミングで親に伝えるか、そのとき30歳だったので、この30年間抱えてきた想いをしたためたら、最終的に便箋16枚になって。すごく分厚い封筒で送りましたね。

左から:リカ、みっつん

―ご両親からどんな返事がきましたか?

みっつん:しばらく返事がなかったんです。僕は4人きょうだいの末っ子なのですが、彼らにはすでに「いま、つき合ってる人がいて」と伝えていたんです。そうしたら姉から電話がかかってきて、その電話口で上の兄が「手紙のことをみんなで話し合ってるんだけど」って。

―家族会議が行われていたんですね。

みっつん:そうなんです。あとから聞いたら両親はパニクって、「こんなの認められん!」みたいな感じだったらしいんです。僕は手紙にも「すぐには理解できないと思うからしなくていい。時間をかけてもらっていいから」って書いていたし、ほかの兄弟も、リカは悪いやつじゃないぞっていうことを伝えてサポートしてくれて。それでなんとか丸く収まりました。

それから1年半くらいして、初めてリカを両親のところに連れていったんですけど、いわゆる「子どもがパートナーを連れてきた」みたいな緊張感はありましたし、スウェーデン人であるリカとコミュニケーションできるのかって心配もしていたみたいなんですけど、リカは日本語を喋れるから普通に会話して、みんなで近所のお祭りに行ったりしました(笑)。

2019年には家族でみっつんの地元の夏祭りへ
2019年には家族でみっつんの地元の夏祭りへ

―リカさんがカミングアウトしたときはご家族とどんな話をしましたか?

リカ:僕は妹に最初にカミングアウトして、妹がお父さんとお母さんに伝えたのですが、僕の生活のことを心配していたみたいです。でも、ゲイかどうかとか関係なく、同じように僕の妹や弟のことも心配していたし、その感覚はいま自分が親になってわかりますね。

みっつん:あとになってリカの家族に聞いたんですけど、当時は1990年代で、ゲイコミュニティーのなかでは世界的にエイズパニックがあったし、子どもがいるゲイカップルがいたわけじゃないから、そういうリスクや将来が見えないことに対して心配をしていたそうです。うちの親も僕が将来海外でのたれ死なないかとか、そのときに助けたくても助けられないんじゃないかと心配になったと言っていました。でも、本当に親って子どもに対してはそういうものなんだろうなと思いますね。

左:みっつん
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書籍情報

『ふたりぱぱ:ゲイカップル、代理母出産(サロガシー)の旅に出る』
『ふたりぱぱ:ゲイカップル、代理母出産(サロガシー)の旅に出る』

2019年8月22日(木)発売
著者:みっつん
価格:1,870円(税込)
発行:現代書館

プロフィール

ふたりぱぱ

日本人のみっつんとスウェーデン人のリカのゲイカップル。2008年に東京で出会い、2011年にスウェーデンの法律のもと結婚。同年ロンドンに引っ越す。2016年、サロガシー(代理母出産)により男児を授かったことを機に、リカの故郷であるスウェーデンに移住。YouTubeでスウェーデンでの暮らしを発信している。

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