CHAI×エジプト考古学者が語る 日常でワクワクを発掘するために

CHAI×エジプト考古学者が語る 日常でワクワクを発掘するために

インタビュー・テキスト
飯嶋藍子
撮影:垂水佳菜 編集:飯嶋藍子、CINRA.NET編集部
2021/06/18
  • 226
  • 0

博物館や美術館で出会う数々のモノから、遠い昔、遠い国の人々の暮らしを想像する。連綿と紡がれた人々の営みに思いを馳せると、まるで時空を旅しているような気分にはならないだろうか。

今回、海外ツアーに行くと各地の博物館を巡るというCHAIと、エジプト考古学の第一人者・吉村作治の対談を実施。過去・現在・未来の関係や、過去に思いを馳せることで生まれるワクワクした気持ち、それを日常に持ち込むにはどうしたらいいかなど、盛りだくさんに語ってもらった。

CHAIが感じる博物館の楽しさ。吉村がエジプトに魅せられた理由

―以前、ユナさんからCHAIのみなさんが博物館好きということを伺って、今回この対談を実施させていただきました。

ユナ(Dr,Cho):海外ツアーに行くとみんなで博物館によく行くんです。昔のモノや作品から当時の人とか生活とかをいろいろ想像したり、それを最新のテクノロジーで掘り出して生かしていくことって、音楽とも似ているような気がしていて。

CHAI(ちゃい)<br>ミラクル双子のマナ・カナに、ユウキとユナの男前な最強のリズム隊で編成された4人組。海外の活動も活発で、2018年2月にアメリカの人気インディーレーベルBURGER RecordsよりUSデビュー、8月にイギリスの名門インディーレーベルHeavenly RecordingsよりUKデビューを果たす。2019年は2ndアルバム『PUNK』が世界中の様々な音楽サイトで軒並み高評価を獲得し、アメリカ、UK / ヨーロッパ、日本を回る初のワールドツアーを大成功に収める。そしてアメリカの老舗インディーレーベルSUB POPとの契約を果たし、2021年5月におよそ2年ぶりのアルバム『WINK』をワールドリリースした。<br>※写真は、2019年7月USツアーの際に訪れたアメリカ自然史博物館の前での1枚(画像提供:CHAI)
CHAI(ちゃい)
ミラクル双子のマナ・カナに、ユウキとユナの男前な最強のリズム隊で編成された4人組。海外の活動も活発で、2018年2月にアメリカの人気インディーレーベルBURGER RecordsよりUSデビュー、8月にイギリスの名門インディーレーベルHeavenly RecordingsよりUKデビューを果たす。2019年は2ndアルバム『PUNK』が世界中の様々な音楽サイトで軒並み高評価を獲得し、アメリカ、UK / ヨーロッパ、日本を回る初のワールドツアーを大成功に収める。そしてアメリカの老舗インディーレーベルSUB POPとの契約を果たし、2021年5月におよそ2年ぶりのアルバム『WINK』をワールドリリースした。
※写真は、2019年7月USツアーの際に訪れたアメリカ自然史博物館の前での1枚(画像提供:CHAI)

ユウキ(Ba,Cho):博物館、いろいろ行ったよね。大英博物館ではミイラも見ました。

吉村:博物館好きって嬉しいなあ。エジプトは行ったことありますか?

マナ(Vo,Key):エジプトはないんですよ。めっちゃ行きたい!

吉村:カイロ博物館に、3,400年前くらいからの歴代の王様や女王様のミイラがあるんですよ。3,000年以上も前に生きていた人がそこに寝転がっているなんて、すごいよね。

カナ(Vo,Gt):すごい、見てみたいです!

―そもそも吉村先生はなぜエジプトの研究を始められたんですか?

吉村:10歳のときに『ツタンカーメン王のひみつ』という本を読んだのがきっかけでした。僕は背が小さくて生意気だったから、体の大きいやつがやっつけにくるんだよね。それで逃げ込んだのが学校の図書館。

吉村作治(よしむらさくじ)<br>1943年、東京生まれ。東日本国際大学総長、早稲田大学名誉教授、工学博士(早大)。専門は、エジプト美術考古学、比較文明学。1966年、アジア初のエジプト調査隊を組織し、発掘調査を始めてから約半世紀にわたり調査・研究を続けている。電磁波探査レーダー、人工衛星の画像解析といった最先端の科学技術を駆使した調査により、数々の成果を挙げた。1974年のルクソール西岸マルタカ南魚の丘彩色階段の発見により一躍注目され、その後も200体のミイラ、太陽の船、未盗掘墓の発見など、エジプト考古学史上に数多くの足跡を残している。現在は「日本の祭り」を原点にした地域振興・創生の試み、eラーニングを活用した教育の普及にも努めている。
吉村作治(よしむらさくじ)
1943年、東京生まれ。東日本国際大学総長、早稲田大学名誉教授、工学博士(早大)。専門は、エジプト美術考古学、比較文明学。1966年、アジア初のエジプト調査隊を組織し、発掘調査を始めてから約半世紀にわたり調査・研究を続けている。電磁波探査レーダー、人工衛星の画像解析といった最先端の科学技術を駆使した調査により、数々の成果を挙げた。1974年のルクソール西岸マルタカ南魚の丘彩色階段の発見により一躍注目され、その後も200体のミイラ、太陽の船、未盗掘墓の発見など、エジプト考古学史上に数多くの足跡を残している。現在は「日本の祭り」を原点にした地域振興・創生の試み、eラーニングを活用した教育の普及にも努めている。

吉村:世界中の考古学者が「ツタンカーメンなんて王はいない、こんなものを探すのはバカだ」と言っていたなかで、イギリスの考古学者のハワード・カーターが1922年にツタンカーメンを発見した話を読んで、とてもワクワクしたんです。これはすごいと思ったし、20世紀にこんな昔のものが見つかるエジプトに行ってみたいと思うようになりました。でも、エジプト考古学をやるときに「ミイラの研究」だけはやめようって思っていたんですよ。

ユナがユーズドレコードショップで「発掘」した誰かの思い出と広がるストーリー

―吉村さんは、アジアで初めてのエジプト調査隊を組織されたり、実際にミイラをたくさん発掘されていますが、なぜミイラの研究はやめようと思ったんですか?

吉村:小学生の頃に読んだ物語で、夜中にミイラが廊下をミシッ、ミシッ、と歩いて近づいてきて襲ってくるという内容が、すごく怖かったんです(笑)。だから、最初は気味が悪くて本物のミイラを見られなかった。でも、実際のミイラは足を結われているから、そんな足音はしないと気づいてからは、ミイラに親しくなっちゃいました(笑)。調査中にミイラを200体くらい見つけたこともあるんですよ。

マルカタ南魚の丘遺跡で出土した大量の彩画片の分析と解読を進めるために、クルナ村に点在する貴族墓の調査が1980年にスタート。吉村の調査隊は1982年に約200体のミイラを発掘。一部を日本に運び込み、当時の最新技術であるCTスキャンによって検査、復元作業を行なった(写真提供:吉村作治)
マルカタ南魚の丘遺跡で出土した大量の彩画片の分析と解読を進めるために、クルナ村に点在する貴族墓の調査が1980年にスタート。吉村の調査隊は1982年に約200体のミイラを発掘。一部を日本に運び込み、当時の最新技術であるCTスキャンによって検査、復元作業を行なった(写真提供:吉村作治)
マルカタ南魚の丘遺跡で出土した大量の彩画片の分析と解読を進めるために、クルナ村に点在する貴族墓の調査が1980年にスタート。吉村の調査隊は1982年に約200体のミイラを発掘。一部を日本に運び込み、当時の最新技術であるCTスキャンによって検査、復元作業を行なった(写真提供:吉村作治)

ユナ:200体も! 昔の人の生活背景ってわからないものだけど、博物館に行ったら当時のものが目の前にあって、そこから情景をイメージできるのがすごく楽しいですよね。

―ひとつの発掘物から想像が広がっていくというのは、博物館に行く醍醐味のひとつですよね。

吉村:まさにそうです。じつは、現代は古代と比べ約1,000倍のモノや道具があると言われているんです。博物館も基本的に人が持っていたモノが展示されているわけで、数量的には1,000倍の差があると言えど、古代にも生活に必要なモノはすべてそろっていたんですよ。

CHAI、吉村作治
初対面の2組。CHAIからは最新アルバム『WINK』、吉村からは自身の歩みをまとめた冊子とエジプトグッズをプレゼントし合った
初対面の2組。CHAIからは最新アルバム『WINK』、吉村からは自身の歩みをまとめた冊子とエジプトグッズをプレゼントし合った

吉村:たとえば、古代には包丁が1本しかなかったけど、いまは果物用、肉用、パン用とかたくさんありますよね。そういう生活の質を知ることによって、我々はどういう世界に生きていて、どうやって生きていったらいいかということを考えるきっかけになるんです。

ユナ:私、とあるユーズドレコードショップに行ってETのレコードを買ったんです。ユーズドだからもちろん前の持ち主がいて、それが私の手元にやってきたんですけど、そのレコードを開いたら、私が生まれた年くらいの渋谷の映画館の半券が2枚入っていたんですよ。

ユナ
ユナ

ユナ:2枚ってことは、カップルなのかデートに誘ったのか、親子なのかとかいろいろ考えて。そのとき買ったであろう映画のパンフレットや新聞の切り抜きも入っていたので、その人の思い出を託されたような気がしました。

吉村:それはまさに考古学ですよ。ユナさんは発掘したんだね。

吉村の活動をまとめた冊子を興味津々に眺める
吉村の活動をまとめた冊子を興味津々に眺める
Page 1
次へ

リリース情報

CHAI『WINK』
CHAI
『WINK』

2021年5月21日(金)発売

1. Donuts Mind If I Do
2. チョコチップかもね (feat. Ric Wilson)
3. ACTION
4. END
5. PING PONG! (feat. YMCK)
6. Nobody Knows We Are Fun
7. It’s Vitamin C
8. IN PINK (feat. Mndsgn)
9. KARAAGE
10. Miracle
11. Wish Upon a Star
12. しょっぱい

プロフィール

CHAI(ちゃい)

ミラクル双子のマナ・カナに、ユウキとユナの男前な最強のリズム隊で編成された4人組、『NEO – ニュー・エキサイト・オンナバンド』、それがCHAI。1stアルバム「PINK」が、音楽業界を超え様々な著名人からも絶賛を受ける。2020年には世界で最も成功した架空バンドGorillazの新作アルバムヘ参加し、USの老舗レーベル、SUB POPと契約するなど、世界的な活躍を加速させる。彼女たちに触れた君の21世紀衝撃度No.1は間違いなく『NEOかわいい』バンドCHAIだよ!

吉村作治(よしむらさくじ)

1943年、東京生まれ。東日本国際大学総長、早稲田大学名誉教授、工学博士(早大)。専門は、エジプト美術考古学、比較文明学。1966年、アジア初のエジプト調査隊を組織し、発掘調査を始めてから約半世紀にわたり調査・研究を続けている。電磁波探査レーダー、人工衛星の画像解析といった最先端の科学技術を駆使した調査により、数々の成果を挙げた。74年のルクソール西岸魚の丘彩色階段の発見により一躍注目され、その後も200体のミイラ、太陽の船、未盗掘墓の発見等、エジプト考古学史上に数多くの足跡を残している。現在は「日本の祭り」を原点にした地域振興・創生の試み、eラーニングを活用した教育の普及にも努めている。

Category カテゴリー

Latest Articles 最新の記事

What's "Fika" ? フィーカとは

「Fika」はCINRA.NETとVOLVOが送る、北欧カルチャーマガジンです。北欧デザインの思想の基盤を「クラフトマンシップ×最先端技術」と捉え、そこに学びながら、これからのカルチャーやライフスタイルにまつわるコンテンツをお届けします。