世界が注目の19歳、BOY PABLO 孤独でもハッピーな音楽を作る

世界が注目の19歳、BOY PABLO 孤独でもハッピーな音楽を作る

インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:伊藤惇 通訳:安江幸子 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2018/12/25
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ノルウェー・ベルゲン出身の19歳、パブロ・ムニョスのプロジェクト、BOY PABLO。彼が去年、YouTubeにアップした楽曲“Everytime”のミュージックビデオは、2018年12月現在、再生数が1500万回を超えるという大ヒットを記録している。地元の海辺で、眩しそうな表情を浮かべながら仲間たちと楽器を演奏するパブロ。そうした光景を、淡々と、でもどこかシュールに映し出すその映像には、わかりやすい目新しさがあるわけではない。しかしながらこのビデオは、その美しいメロディーと、満たされないリレーションシップが描かれた歌詞とともに、世界中に拡散された。素朴な、懐かしさすら感じさせるこの映像には、優れたポップミュージックが持ちうる「3分間の魔法」が、たしかにあったのだ。

今年11月、初めての来日公演を行ったBOY PABLO。そこで、パブロ・ムニョスに直接話を聞く貴重な機会を得ることができた。今年は北米やヨーロッパもツアーで回り、パリで行われた『Pitchfork Music Festival』にも出演したパブロだが、世界を魅了する彼のバックグラウンドを紐解いてみた。

「いい人生を送っているけど、なんだか寂しい」みたいな感覚を抱くことは、人間にはよくあることだと思う。

―去年、公開された“Everytime”のミュージックビデオは、もう1500万回を超える再生数を記録していますね。ご自身の楽曲が、こうやってインターネットを通して世界中の人々に受け入れられているという現状を、パブロさんはどのように受け止めていますか?

パブロ:クレイジーだよ。曲が出た当初はあまりパッとしなかったけど、そのあと、YouTubeにビデオをアップしたら一気に爆発したんだ。現実を超越しているような感じだね。すごく感謝しているよ。

BOY PABLO
BOY PABLO
BOY PABLO『Roy Pablo』(2017年)収録曲。<As you can see she hasn’t met him yet. She already fell in love I bet.(ご存知の通り彼女はまだ彼に会っていない。彼女はもう恋に落ちている、間違いなく)>という歌い出しではじまる

―“Everytime”で歌われているのは、相手のことも、そして自分のことすら見えなくなってしまう、インターネットを介した不完全なコミュニケーションの在り様なのではないかと僕は思ったんです。だからこそ、この曲がインターネットを通して多くの人々に受け入れられたことは、とても印象的で。

パブロ:たしかに! 面白いよね。

―実際、“Everytime”の歌詞はネット上でのコミュニケーションがモチーフになっている?

パブロ:まぁ、そんな感じだね。インターネット上ではいろんな人と話すし、インターネットで出会った人に恋に落ちる人たちもいるけど、スクリーンの向こう側にいる人の本当の姿はわからないからね。だけど、この曲で歌われていることは、決してネット上だけのことではなくて、一般的な恋愛の話でもあると思う。自分で歌詞を書くときは、できるだけ多くのことに関連づけられるような書き方を心がけているんだ。

―なるほど。“Everytime”だけでなく、今年リリースされたEP『Soy Pablo』に収録された曲の多くも、自分の気持ちが他の誰かに伝わらないことから生まれる孤独感や喪失感が歌われているように感じたんです。なぜ、パブロさんの書く歌詞には、このようなフィーリングが刻まれるのだと思いますか?

パブロ:うーん……自分では、あまりわからないな。ただ「孤独感」というのは、自分が共感できるフィーリングなんだと思う。

BOY PABLO

パブロ:だって、友だちがたくさんいたって孤独を感じることはあるからね。でも、孤独になることって、そんなに悪いことじゃないと思うよ。たまには孤独を感じるのもいいことだと思う。「いい人生を送っているけど、なんだか寂しい」みたいな感覚を抱くことは、人間にはよくあることだと思うし。

―たしかに、そうですね。

パブロ:でも、曲作りという点においては、僕は、悲しい曲は作らないようにしているんだ。ハッピーなインストゥルメンタルを作りたいんだよね。

BOY PABLO『Soy Pablo』(2018年)収録曲

パブロ:音楽は魂に語りかけてくるものだから、ネガティヴな音楽を聴いて、悲しくなったり、落ち込んだりするのって、すごく容易なことだと思うんだ。だからこそ僕の曲は、いくら孤独について歌っていても、曲自体はアップビートだったりする。人を簡単に憂鬱にしてしまうような曲は作りたくないんだ。その辺は、曲を作るうえですごく意識しているね。

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リリース情報

BOY PABLO
『Soy Pablo』(CD)

2018年12月5日(水)発売
価格:1,620円(税込)
OTCD-6579

1. Feeling Lonely / フィーリング・ロンリー
2. wtf / wtf
3. Sick Feeling / シック・フィーリング
4. t-shirt / Tシャート
5.Limitado / リミタド
6.Losing You / ルージング・ユー
7. tkm / tkm

プロフィール

Boy Pablo(ぼーい ぱぶろ)

Boy Pabloはノルウェーのベルゲン出身のシンガーソングライター、Pablo Muñozのプロジェクトだ。現在19才のPablo Muñozはチリ人の両親のもと、1999年に生まれた。10才の頃から兄の影響で音楽に興味を持ち始め、2015年12月、Boy Pabloとしての活動を開始。2016年2月にシングル「Flowers」、同年6月にシングル「Beach House」をリリース。ノルウェーのフェスティヴァルにも出演し、注目を浴びるようになる。2017年5月、まだ高校生であった前年に制作した6曲入りEP『Roy Pablo』をリリース(2018年8月に日本のみでCD化)。同EPに収録された「Everytime」のビデオが大きな注目を浴び、YouTubeで1200万回のヴューを獲得する(2018年9月現在)。2018年3月にはシングル「Losing You」をリリース。「ノルウェーからの素晴らしいインディ・ロック」とPitchforkで絶賛される。また同年の3月から4月にかけ、ヨーロッパをツアー。初めてノルウェー以外の国でライヴを行う。2018年夏の全米ツアーも成功をおさめ、10月にはUKツアーを実施。11月にはパリで行われるPitchfork Music Festivalにも出演し、その後、初来日公演も実施した。

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