オアシズ光浦靖子へ吉住が訊く。30代からの人生・恋愛・芸のこと

オアシズ光浦靖子へ吉住が訊く。30代からの人生・恋愛・芸のこと

インタビュー・テキスト
松井友里
撮影:大畑陽子 編集:青柳麗野(CINRA)

彼氏の理不尽な要求をどれだけ許せるか、「己を鍛える修行」がおつき合いよ

【吉住さんからの質問】
31歳なのですが、いまのうちにやっておいたほうがいいこと、心に留めておいたほうがいいことがあれば教えていただきたいです。

光浦:それは恋愛だけですよ。だって彼氏というだけで、半分家族みたいに理不尽な要求をしてくるじゃん。それをどれだけ許せるか、己を鍛える修行がおつき合いよ。

吉住:まさにおつき合いって、お互いに改善しあったり、自分の気持ちを人に伝えたりするような、人との深いコミュニケーションを学べるものじゃないですか。そういう恋愛をしてこなかったので、人間関係の築き方がわからないんですよね。それが仕事のコミュニケーションにも影響しているような気がしていて。

養成所に通っていたときに、何人か女の子がいたんですね。ほかの子たちは恋愛をしていたんですが、私だけ全然せずにきて、『THE W』で優勝したんです。恋愛に時間を割かなかった分、ご褒美をもらったのかなと思いながらも、もしあのときに恋愛していたらどういう人生になっていたのかなと考えることもあります。この年齢になると、結婚していたり、子どもがいる子もたくさんいます。もちろんいろんな幸せがあるとは思うんですけど。

吉住

光浦:いま私がどちらかを選べと言われたら、『THE W』で優勝する人生かもなあ。だって、そっちのほうが楽しそうじゃん。

―光浦さんが31歳の頃は、振り返るとどういう時期でしたか?

光浦:忙しかったし、楽しかったです。愚直な性格だもんで、とにかく言われたことを全部まっすぐにやっていたけど、もうちょっと賢く、うまいことやっていたら、もう少し売れていたかも(笑)。でも敵ばかりつくる私を見て、1割の人は私のことを本当に愛してくれるから、どっちもどっちだよね。どういう道を選ぶのも正解だと思う。

吉住:いままでがむしゃらにやってきて、ここからまた頑張らなきゃいけないんですけど、私はいったん「ふう」ってなっちゃって……。

光浦:優勝しちゃったもんねえ。

吉住:『THE W』で優勝するまでは、ネタを頑張ればその先に幸せがあると思っていたんですけど、一つ目標をクリアして、「芸能界」というものが見えてきたときに、自分がどこに向かって歩いていけばいいのか、迷い始めてしまって。かと言って、自分はものすごく大きな会場でコントをやったり、全国を回れるほど好かれる芸人じゃないような感じもして(笑)。幸せってなんだろうと考えることがよくあるんです。

吉住
光浦靖子

私のダメな部分すべてを、絶対に肯定してくれる友達が一人でもいるといいよね

【吉住さんからの質問】
光浦さんが人生のなかで大切にされていることについてお聞きしたいです。

光浦:今日ここにくる前、私はテニス教室で1時間半ほどテニスをやってきたの。

吉住:えーっ、かっこいい。

光浦:全然上手にならないけど、超楽しいよ。最近はエッセイと手芸の両方で出版の予定があるからてんてこまいなんだけど、ものをつくっているときも楽しい。たまにテレビに出て、緊張感とスリルとへこんで帰ってくることを味わって、家で自分のテンポでできることをするのが、私にとっては理想的。

―文章を書くことや手芸など、ものをつくることは光浦さんにとってご自身のリズムをつくるための大切な要素なんですね。

光浦:それがないと罪悪感で溺れちゃう。無為に時間を潰していると、どうしても悪いほう、悪いほうに考えがいっちゃうもんで。電車で移動して、スーパーに寄って、晩御飯つくって、原稿書いて、手芸の作品つくって、英会話のオンラインレッスンを受けて、Netflixを見てから寝る。そういうときこそ「ああ幸せだなあ」と思うし、『文春』についてきてほしいよね(笑)。こんなに普通に生きている芸能人がいるんだって記事にしてほしいですよ。

光浦靖子

吉住:私は息抜きがすごく下手なんですよ。一つ気になることがあると動けなくなっちゃうんです。いまはそれが仕事になっていて、だから恋愛もうまくできなくて。ネタを書かなきゃいけないのに、人を好きになって、デートをするってすごくないですか……。

光浦:真面目だなあ(笑)。自分より人としてだめだと思う親友をつくればいいのよ。

吉住:おお……。

光浦:「自分より上の人たちと一緒にいて影響されましょう」ってよく言われるけれど、私は子どもの頃からどうにも納得できなくて。性格が悪いのかもしれないけど、私は自分よりだめな子と一緒にいるときのほうがいい成績を残せるんですよ。自分より優れた人と一緒にいると、劣等感が膨らんでいっちゃう。

仲良くしている大好きなお友達がいるんだけど、その人とはお互いに「相手のほうが不幸だわ」って思いながら生きてるの。でも、その友達だけは、私が「現場でまた喧嘩したよ」って言うと「やったねー」って褒めて、笑ってくれる。私のだめな部分すべて、絶対に肯定してくれるの。こっちもこっちで、向こうが失敗すると笑うしね。そういう感性の合う友達が一人でもいるといいよね。

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プロフィール

光浦靖子(みつうら やすこ)

1971年生まれ。愛知県出身。同級生だった大久保佳代子とお笑いコンビ「オアシズ」を結成。国民的バラエティー番組『めちゃ2イケてるッ!』(CX系)のレギュラーなどで活躍。現在は、ラジオ番組などに出演するほか、手芸作家・文筆家としても活動。新聞、雑誌などへの寄稿のほか、著書には『靖子の夢』(スイッチパブリッシング)、『傷なめクロニクル』(講談社)などがある。

吉住(よしずみ)

1989年生まれ。福岡県出身。『新しい波』(フジテレビ系)のレギュラーメンバーになるほか、注目の若手芸人として各番組に出演中。『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』で優勝。『R-1グランプリ2021』決勝進出。初のベストネタDVD『せっかくだもの。』が3月31日に発売。

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