プロスケーター森田貴宏の遊びの美学 のめり込むのもほどほどに

プロスケーター森田貴宏の遊びの美学 のめり込むのもほどほどに

インタビュー・テキスト
中島晴矢
撮影:沼田学 編集:今井大介(CINRA.NET編集部)

否定されようが馬鹿にされようが、ひたすらやる。一貫したコンセプトに裏付けられたDIY精神

―大海を知ってから地元に戻り、こうしてお店を運営してるのがすごくカッコいいなと思うんですが、このラボではクルーザーデッキを自ら制作されていますよね。映像、クルーザーデッキ、そしてアパレルまで、なんでも自分で作ってしまう。そんな森田さんのものづくりへのこだわりはどんなところにあるのでしょう?

森田:ファッションで言えば、たとえば僕は子どもの頃、あるニューヨークのストリートブランドが好きで着ていたんです。当時はそれでよかったんですが、大人になるにつれて感覚が変わっていった。「なぜ東京でニューヨークの服を着なきゃいけないんだろう?」って。それで先輩の作った服とか着ていたんですけど、すでに自分の中でビジョンがあったから、「自分が着たい服を着よう」と思って「LIBE BRAND UNIVS.」を立ち上げたんです。

―自分が欲しいものを自分で作る、DIY精神が根本にあるんですね。

森田:結局、ブランド意識って「〇〇の代表者」みたいにレプリゼントする感覚だと思うんですよ。だから僕はその後ニューヨークに行ったときも、向こうで売ってるヤンキースのキャップとか全然買う気が起こらなくて、逆に読売ジャイアンツのキャップを被ってましたから(笑)。シューズもナイキじゃなくてアシックスを履いて、自分で作った坂本龍馬のTシャツを着てたら「そのTシャツ超ヤバイね!」「そのサムライ誰?」ってみんなから言われましたよ。だから、海外でのそういう体験が自分のベーシックを広げてくれましたね。「この考え方でいいんだ」と思えたんです。

―ボードや映像の制作に関してはどのようなスタンスなのでしょうか?

森田:2014年からボード作りを始めてるから、もう7年目。はじめからいきなりすごい人なんていないし、僕の場合は不器用だから「とりあえずたくさん作ってみよう」からはじまります。まずは「1年で300枚作ろう」と決めました。1日1枚くらいのペースで作っていけば自然と上手くなるだろう、と。そのスタンスは今も変わらないですね。

森田貴宏

―そこはまさに職人的なクラフトマンシップで制作されてるんですね。

森田:ビデオも一緒です。とにかくたくさん撮る。否定されようが馬鹿にされようが、ひたすらやる。そうすれば誰でも上達しますよ。みんなやらないから不安なんでしょうけど、僕は別に不安とかないですもん。はじめは見よう見まねで作り始めても、だんだん自意識が芽生えていって、自然と自分のオリジナリティが出てきますから。ただ、「東京ならではのモノを作りたい」「日本のスタイルを形にしたい」というコンセプトは最初から一貫していました。今こうして作っている自分の店も、「これが東京のスタイルだ」と思ってやっていますね。

森田貴宏
Page 3
前へ 次へ

店舗情報

FESN laboratory

住所:〒164-0001 東京都中野区中野3丁目33−15
営業時間:14:00~20:00
定休日:木曜日
電話:03-6382-5406

プロフィール

森田貴宏(もりた たかひろ)

東京都杉並区松ノ木出身のスケーター。極東最前線から斬新な映像作品を発表するビデオプロダクション、FESNの代表。2008年に発表した《overground broadcasting》は、国内だけでなく世界各国で賞賛を得た代表作。アパレルブランド、LIBE BRAND UNIVS.の代表も務める。現在は、ホームベースでもある中野でスケートボードをオリジナル制作するFESNラボラトリーを運営。

Category カテゴリー

Latest Articles 最新の記事

What's "Fika" ? フィーカとは

「Fika」はCINRA.NETとVOLVOが送る、北欧カルチャーマガジンです。北欧デザインの思想の基盤を「クラフトマンシップ×最先端技術」と捉え、そこに学びながら、これからのカルチャーやライフスタイルにまつわるコンテンツをお届けします。