才能に負け続けたパンサー向井慧 不向きな世界での戦い方を語る

才能に負け続けたパンサー向井慧 不向きな世界での戦い方を語る

インタビュー・テキスト
宇治田エリ
撮影:大畑陽子 編集:青柳麗野(CINRA)

「一個ぐらいは勝ちたい」。天性を努力で上回るために

―お笑い芸人として本気で戦える場に居られるようになったことで、今後やりたいことは見えてきましたか?

向井:ラジオが自分のなかですごく楽しくて。僕が思うに、テレビでガンガン活躍されている方が、ちょっとオフっぽさを出せるのがラジオの魅力。だからそこで自分が全力を出せば、めっちゃ面白い人といい勝負ができるんじゃないかなと思えてきて。僕もやっぱり一個くらいは勝ちたいです。

同時に、負け続けたからこそ、見えるものがあると思っていて。勝ち続けた人に、他の負けた人の気持ちはわかりにくいはず。大勢の芸人のなかで前に出られない人の気持ちが痛いほどわかるから、自分がその人を助けられるポジションになったときは、なんとかしてあげたいと思いますね。

―最近は後輩から相談されるようになりましたか?

向井:うーん、それはまさにいまの課題ですね。先輩にやってもらったことを返さなきゃいけない時期にきているなと。そもそも飲み会とか嫌いなんですよ、僕。家にいたいし、誘われたけど行きたくないときもある。そんな気持ちを後輩に背負わせたくなくて、いままでなにもしてこなかったんですよね。

でもいまは先輩にやってもらったことを返していきたいので、「本当に行きたいです」という目をした人だけ誘ってみたいと思います(笑)。

向井慧

―向井さんと同じように「才能がない」と悩みを持つ後輩がいたら、何を伝えますか?

向井:もしワードとかで勝負できないとツッコミの人が言うのなら、僕のなかで究極のツッコミは「爆笑している」ってことだといまは思っていて。だから、「ボケの人がめちゃくちゃ面白いことを言っているから笑っちゃう」というのが、なによりのツッコミになるはず。僕の場合そのくらい単純なこと。あとはお笑いをやめずに続けてコツコツと積み重ねていけば、信頼されて選ばれる人になる。

お笑いが最強に好きで、自分にできることを突き詰めていけば、もともとの才能がなくても飯は食っていけるようになる。自分なりに必死にもがけば、自然といい仲間に出会う機会にも恵まれて、好きな人だけが残っていって、自分の足りないところを埋めてくれる人に出逢って、この世界で生きていくことができるのだなと感じています。

―最後に、これだけは大切にしたいと思う信条を教えてください!

向井:「お金が欲しいわけでも、有名になりたいわけでもない」っていうことですね。もちろん、お金もほしいし、有名にもなりたいんですけど(笑)、テレビやラジオ以外でも自分で発信できる時代だからこそ、「なんでもあり」なのは、僕は怖い。

この世界だとカリスマ性はどうしても大切だから、俺ってすごいですよねってアピールしたほうがついてくる人も増える。ときどき有名になりたい気持ちに負けて、見失いそうになる瞬間があるけれど「それホントにやりたいか?」って問いかけています。僕が1番好きで居たい世界は、なによりもお笑いの世界ですから。

向井慧
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プロフィール

向井慧(むかい さとし)

1985年12月16日生まれ、愛知県出身。2005年にNSCに入校。2008年に菅良太郎と尾形貴弘とともに「パンサー」を結成。舞台やバラエティー番組を中心に活躍中。現在は『王様のブランチ』(TBS)、『潜在能力テスト』(CX)、『#むかいの喋り方』(CBCラジオ)などに出演中。

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