映画『ストックホルム・ケース』のロバート・バドロー監督のインタビュー映像が公開された。
カナダとスウェーデンの共作映画となる同作は、誘拐事件や監禁事件などの被害者が、犯人と長い時間を共にすることで犯人に連帯感や好意的な感情を抱く心理学用語「ストックホルム症候群」の語源となった「ノルマルム広場強盗事件」をもとにした作品。アメリカに逃れるためにアメリカ人に扮装して銀行強盗を実行したラースは、人質のブリジッタたちと引き換えに金と逃走車を要求するが、警察と報道陣によって銀行の中に封じ込められたことで、次第にブリジッタたちとの間に不思議な共感が芽生え始めるというあらすじだ。何をやっても上手くいかないラース役にイーサン・ホークがキャスティング。11月6日から公開。
インタビュー映像でバドロー監督は、脚本について「実際に起きた事件を映画化するにあたり、脚本は自由に手を加えた。(アル・パチーノ主演の名作)『狼たちの午後』も参考にしたよ。例えば『狼たちの午後』では登場人物の名や小道具の位置を変えた。僕も同様に名前を変え人物像を変えたけど主な出来事は事実に基づく。実際の事件は6日間だったけど、映画では3日間、だから焦点を合わせて時間を短縮した。物語の舞台がストックホルムでも、多くの人に共感を覚えてもらう必要がある」とコメント。
ラースについては「ニューヨーカー誌の記事は彼のことを“優しく狂暴な男”と説明した。二面性がある男を表現することにとても興味を持ったんだ。銀行強盗やスリラーを含む物語ではあるけど、僕は登場人物の性格や心理的な動きを描写したかった」と明かす。
作品の時代背景については「本作は1973年に特定の国で本当に起きた出来事で、犯人が人質と立てこもる事件だ。だけど救助する側より、むしろ犯人のほうが人質に近い。世界の政治も、1973年のアメリカはニクソン政権だ。保守的な右派で同年、ベトナムから撤退した。スウェーデンは当時、社会民主労働党のパルメが政権を握っていた。現在の状況と似ていると思う。70年代とトランプ時代の偏執性は近いと思う。僕にとって多くの内容は、現在と通じるものがある」と語った。