加賀美健ととんだ林蘭による創作企画。2人に学ぶ「ひらめき方」

加賀美健ととんだ林蘭による創作企画。2人に学ぶ「ひらめき方」

インタビュー・テキスト
松井友里
撮影:相澤有紀 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)

Instagramは、ひらめきを忘れないためのメモ。フォロワーからの反応で気づくことも

とんだ林:昔は、毎日何か作ってInstagramに載せていたんですけど、最近は仕事として依頼された制作ばかりになってしまってて。仕事で時間をかけてものを作ることもすごく楽しいし、やっていることは自分の中で変わらないんですけど、誰にも依頼されずに、ただただ作ることが最近できていなかったんです。

またやりたいなと思っていたけど、そういうことって習慣にしないと、なかなか出来なくなるんですよね。だから、今日はリハビリのような気持ちでした。加賀美さんの部屋はいろんなものがあるから、ものづくりに向き合いやすい環境ですね。

加賀美:そうだね。起きたらまず、用もないのにあの部屋に行くもん。

とんだ林:何か作ろうと思って行くんですか?

加賀美:いや、そういうわけじゃないんだけど、とりあえず行くと「じゃあ、お面でもかぶって写真撮るか」って思いつく。思いついたアイデアはなるべくその場で形にして残すか、メモに書くようしていて。写真に撮ったらその場ですぐSNSにあげることは心がけているかな。

加賀美のInstagram

―それはどうしてですか?

加賀美:飽きちゃうから。次の日見ても面白くなくなっちゃったりするしね。別にSNSにあげる必要はないといえばないんだけど、投稿する癖がついていて。その日に思いついたアイデアとか、外で見つけた面白いものをアップしておいて、あとで自分が見返すためのメモみたいに使っているんです。とんださんは物忘れってする?

とんだ林:あとでやろうと思ってメモしておいて、読み返して何がしたかったかわからなくなることはありますね。

加賀美:僕は物忘れもするから、「犬に噛まれたビリビリのパンツおもしれえな」って思ったら、すぐビリビリにして貼っておかないと忘れちゃう(笑)。

―すぐ作るのは物忘れ対策でもあるんですね(笑)。加賀美さんはメモがわりにInstagramを使っているということですけど、とんだ林さんはどうですか?

とんだ林:私も見る人に向けてというよりは、「このときはこれにハマっていたな」とか「こういうことをしていたな」って、自分の思いつきや行動をメモするためにやっているので、あまり時間をかけずにぱっと出しています。

とんだ林蘭のInstagram

加賀美:僕は自分が面白いなと思ってInstagramにあげたものには全然「いいね」がつかないんだよね。でも、そういうものにたくさん「いいね」がついてくるようになったら危険だなとも思ってる。

―危険というのはどうしてですか?

加賀美:理解され始めちゃったのかなって。自分ですごく面白いなと思ってあげたものに「いいね」が少ないという状態を、自分では大切にしていますね。

とんだ林:私も、自分ではいいかどうかわからないけれど、とりあえず作ったから載せてみたものに対してすごく反応があると「これって面白いんだ」と、思ってもみなかったよさに気付くことは結構あります。

―人からの反応というのは、ものを作って発表するうえでどんな風に考えていますか?

加賀美:アーティストって、大体みんな孤独だと思うんですよ。(おたまじゃくしを指して)こんなのを家でちまちま作ってるなんて、端から見たら「何やってんだよ」って感じだろうしね(笑)。じゃあなんでこんなことをしているかというと、説明できない。作ったものに対して反応があることは、嬉しくはあるんだけど、基本的にはやっていることや、作っているものがすべてなんですよね。

とんだ林:作ったものに対する解釈を聞くのは面白いですけどね。「こう見えるんだ」とか思います。

加賀美:いまはSNSがあるから反応をダイレクトに得やすいけど、昔はそういうものがなかったからね。雑誌に載ることだって難しかったし、発表する場もそんなになかった。

でも、これから何かを作って発表していこうとする人は、かえって難しいのかもしれないよね。みんなが同じことをできるんだから。だってとんださんがInstagramをやっているように、とんださんのことが好きな子やフォロワーもInstagramで発信できるんだもんね。

とんだ林:ときどきInstagramで作品の売り込みをされたりするんです。でも何もしてあげられないし、「むしろライバルなんですけど……」と思う。みんなが発信できる時代だからこそ、逆にどう発表したらいいのかわからないのかもしれないですね。

―「どうやったらアーティストになれますか?」とか聞かれたりしますか?

加賀美:そんなのしょっちゅう聞かれるよ。「10年ぐらいやってみたら11年目に仕事が来るかもしれないよ」って言うと「えーっ、10年もやるんですか! なんとか来年くらいにすぐ仕事にならないですかねえ?」とかね(笑)。とんださんは若い子に真似されたりもするでしょう?

加賀美健

とんだ林:なんとなく自分の作品に近い感じがする作品をアップしている人に、Instagramでタグ付けされたことはありますね。

とんだ林蘭
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プロフィール

加賀美健(かがみ けん)

現代美術作家。1974年東京都生まれ。東京を拠点に制作活動を行う。国内外の数々の個展・グループ展に参加。ドローイング、スカルプチャー、パフォーマンスまで表現形態は幅広い。アパレルブランドとのコラボレーションも多数手掛ける他、自身の「STRANGE STORE(ストレンジストア)」を構え、店内では自身のコレクションや若手アーティストの展示なども行っている。

とんだ林蘭(とんだばやし らん)

1987年生まれ、東京を拠点に活動。コラージュ、イラスト、ぺインティング、立体、映像など、幅広い手法を用いて作品を制作する。猟奇的でいて可愛らしく、刺激的な表現を得意とし、名付け親である池田貴史(レキシ)をはじめ、幅広い世代の様々な分野から支持を得ている。

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