「センスがいい人」って? 半田悠人が思うセンス、感性、デザイン

「センスがいい人」って? 半田悠人が思うセンス、感性、デザイン

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半田悠人
編集:石澤萌(CINRA.NET編集部)
2020/10/06
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建築家・半田悠人が、今もなお恋するように向き合う建築やデザインの魅力を紐解く短期コラム連載。初回ではアルヴァ・アアルトに代表される北欧建築の魅力、そして「人類総デザイナー時代」について語られたが、第二回目となる今回は、デザイナーになる上で大切だと考えられている「センス」について。

「センスいいね!」と言われたらきっと嬉しいものだが、果たして「センス」とは一体どのようなものなのか? いまいち掴みきれないその正体について、中学時代の気づき、そしてムーミンで知られるトーべ・ヤンソンを引き合いに出しながら、半田なりの「センス考」を綴る。

「センスのいい人」というけれど、そもそも「センス」って何?

「センスのいい人になりたい」。そういう相談をされることがある。自分自身「センスいいね!」とよく言ってしまうし、そう言われれば嬉しい。

前回のコラムで、私は「センスが良ければデザイナーになれる」と書いた(参考記事:「建築家・半田悠人が恋するように綴る、建築とデザインの魅力」)。しかし改めて考えてみると、「センスがいい」とは一体どういうことだろう? そもそも、センスとはなんだろう?

今回は「センス」について、私なりの考えを綴ってみる。

「SENSE(センス)」=「感覚」で、「勘」で、「審美眼」で、「観念認識思慮分別」で、その他も訳語はたくさんある。おそらくは、センスがどういうものか、日本語だと一言で語れないものなのだろう。

でも、もしかしたらどういう状態であるかは表せるのではないかと思っている。センスのよい状態に少しでも近づき、センス自体に気がつくきっかけになればと思う。

半田悠人(はんだ ゆうと)<br>幼少のころに見た大工さんに憧れ、挫折と紆余曲折を経た後、建築の道へ進む。総合芸術制作会社デリシャスカンパニー主宰。現在も建築家として数々のプロジェクトを手がける。
半田悠人(はんだ ゆうと)
幼少のころに見た大工さんに憧れ、挫折と紆余曲折を経た後、建築の道へ進む。総合芸術制作会社デリシャスカンパニー主宰。現在も建築家として数々のプロジェクトを手がける。

物事がどのように意味をなしているのかーー「make sense」の重要性に気づいた中学生時代

私は思春期真っ只中、髪の毛には漫画『ルーキーズ』の御子柴さながらワックスをつけ、眉毛をいじり出し、何がかっこいいのかなんて見よう見まねで、何となくKinKi Kidsの堂本剛は「おしゃれ」なのだろうなと思っていた。

そんな「センスの無い」中学生のころ、英語の教科書に「make sense」という熟語が出てきた。センスを、作る? 直訳だとそう思うかもしれないが、この意味は「意味をなす」。センスを作っているのではなく、意味をなしている。その文字面と響きに惹かれた。素敵な熟語だと思ったからか、それからあらゆる物事の、「意味をなしている」側面を探そうとしていた。

左利きなのに右手で習字を書かされることの意味とか、髪を染めルーズソックスを履いて怒られている女子の、怒られている意味とか、成長期には小さすぎた教室の机の意味とか。最後は靴の意味さえ疑って、裸足で校舎を歩いてもみた。何事にも意味を求め、思い込みを呪っていた。恥ずかしながら思春期だった。

しかし、そこで何となく、世の中のほとんどのものがよくも悪くもデザインされていることに気がついた。

そして今も、デザインを理解する上では、この「make sense」がとても大事だと思っている。デザインが何に、どのように意味をなしているのか、また意味をなすようにどのようにセンスを発揮するのか。そもそもそこにどんな意味があるのか。それを考えるのも、デザイナーの仕事だと思う。

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プロフィール

半田悠人(はんだ ゆうと)

幼少のころに見た大工さんに憧れ、挫折と紆余曲折を経た後、建築の道へ進む。総合芸術制作会社デリシャスカンパニー主宰。現在も建築家として数々のプロジェクトを手がける。

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