AAAMYYYが「和の心」に抱く違和感 生まれ住む場所を愛するなら

AAAMYYYが「和の心」に抱く違和感 生まれ住む場所を愛するなら

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AAAMYYY
編集:石澤萌(CINRA.NET編集部)
2020/10/12
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日本で強調される「和」の心。「ピンチの時に一丸となって戦う」の言葉への違和感

撮影:AAAMYYY
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先のコロナ禍で「日本の民度」という言葉が少しばかり話題となった。『オリンピック』の開催延期や、新型コロナウイルス感染症への政府の対応への国内外からの批判批評は記憶に新しい。あのときに語られたのは、欧米諸国の感染死者数と比べると偶然 / 奇跡的に数値が低かった日本は、「国民の民度が高い」がゆえの結果だというものだった。

「民度」というのは、人民の知的・治安・雇用環境・道徳観・文化・行動様式などの水準を意味するが、日本で「民度」という言葉が使われるときには、日本神話から引き継がれる日本人の心にある、宗教に対するおおらかさや「禅」の教えと他者への思いやり、調和の和としての概念を尊重してきたという一種の誇りを思い出そうという意味が色濃く反映されているのではないかと感じる。

『東京オリンピック』のキャンペーンや、新年号令和の発表などの場面では、日本の「和の心」を強調することが少なくなかったし、スポーツ界では「なでしこジャパン」「侍ジャパン」と名付けられたチームも存在する。だからこの未曾有の事態においても、「和の心」で乗り切ろうというわけだ。

和の心は、日本の国内史において大きな価値観となってきた。例えば内戦では侍の士気を高めるもの、新撰組のように強い剣術で正義と教えられた道を全うさせるもの、第二次世界大戦では神風特攻隊のような洗脳的戦力をも生み出した。「ハラキリ(切腹)」も、終戦直後にいくつも起こったという「威厳のある自死」も、神話から派生したものと考えられ、その皇国史観や帝国主義的な国民性を恐れたGHQによって、戦後の学校では日本神話を教えることを禁じられることとなった。

撮影:AAAMYYY
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このことから、私がはっきりと言いたいのは、神話から派生した和の心は、時に政治的パフォーマンスとして利用されてきたということ、そして我々はそれを決して忘れてはならないということだ。「ピンチの時に国一丸となって戦おう」、この一言に我々はそろそろ疑問を抱かなくてはならない時がきている。

前述したような日本が辿ってきた歴史もあってのことか、日本の神話を、我々は詳しく知らないはずだ。『古事記』の一部を高校の現代文で少し読み解いた程度で、日本昔話を幼い時に少し読んだ程度で、神社と寺のどちらにもお参りし、手を合わせては一体何を思うのだろう?

クリスマスもハロウィンも欧米諸国の行事をひとまとめに受け入れた日本人である我々の、誇るべき真の「民度」は、実は外部の文化を受け入れてきたと言う事実なのかもれない。

「責任を取る」行動は本当に美しいのか?

撮影:AAAMYYY
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ギリシャ神話も北欧神話も日本の神話も、神秘的な物語が書いてるようなイメージがあるが、実際のところは、そんなことはない。面白おかしい神々の日常だとか、気の抜けたような神話さえあるくらい、カジュアルな物語なのである。だから神話自体は悪くはない。

罪があるとすれば、その神話から派生した善悪の考えや道徳観、価値観を作り出した人間や、社会だ。GHQに日本神話を禁じたタイミングから70年以上経つが、その間に我々の持つ和の心は、時代と共に形骸化してしまっているし、行き過ぎた美学となっているケースも散見される。

日本における「責任を取る」という行為の風潮を考えてみると、ハラキリも過去にはその方法の一つだった。しかし、本質的な意味を我々は履き違えてはいまいか。失態を犯した政治家や会社の責任者が「責任を取って辞任」するが、これが一体何の意味を成すのだろう? 問題の根本的な解決につながっていないように思える上に、後継者に後始末やすべての責任を押し付けているといっても過言ではない。だが社会ではこれが美しいとされている。

これを延々と繰り返してきた権力者たち、そして誰かの責任を追及したり、いざ辞任すると勝ち誇ったようになり、問題が解決していなくても過去を忘れる国民。我々国民こそ、この負のサイクルに盲目的に加担していることすら忘れている。

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権力者も政治家も、自分が成り上がり成功するために、国民の和の心――思いやりや調和する心――に巧みに忍び込んで、グッと手の内に引き入れるのが最初の仕事だ。「日本人が一丸となって」と言われれば簡単に信じてしまう国民を量産すれば、話は早い。「仕事だから仕方ない」の美学で終わらせるのでいいのだろうか。見事に不感のマグロとなった我々が泳ぐ世界は、果たしてどうなるのだろうか。

『ラグナロク』では物語の中で権力者の堕落が描かれているが、まさに同じようなことが世界中で起こっているのはもう誰も見て無振りをできない事実だろう。それでも日本を愛する人として、生まれ育った故郷を想って和の心を唄うのならば、自ら持つ和の概念から一度洗い直した方がよさそうだ。

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プロフィール

AAAMYYY(えいみー)

長野出身のシンガー・ソングライター / トラックメイカー。キャビンアテンダントをめざしてカナダへ留学、帰国後の22歳より音楽を制作しはじめ、2017年よりAAAMYYYとして活動を開始。2018年6月、Tempalayに正式加入。2019年2月、ソロとしての1stアルバム『BODY』をリリースした。

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