子どもの質問、どう答える?天文学者・本間希樹×てぃ先生が語る

子どもの質問、どう答える?天文学者・本間希樹×てぃ先生が語る

インタビュー・テキスト・編集
飯嶋藍子
撮影:前田立

NHKで毎週日曜日に放送されているラジオ番組『子ども科学電話相談』をご存知だろうか。全国の保育園・幼稚園児から小中学生から、動植物や天体・宇宙、心と体、科学などに関する質問を募集し、専門家の先生が子どもたちと直接電話を繋いで回答していく番組だ。

子どもたちから投げかけられるのは、大人が聞いていてもハッとするような質問ばかり。そんな質問を聞いていると、大人はいつの間に、子どもの頃より様々なことに対しての好奇心が薄れていってしまったのだろう? とふと考えてしまう。

番組で天体・宇宙の分野の回答を担当しているのは、昨年ブラックホールの撮影に成功したことでも知られる天文学者・本間希樹。「子どもたちの質問は科学の本質をついている」と語る本間に加え、TwitterやYouTubeで子育てについて発信している保育士・てぃ先生を招き、子どもたちの無垢な質問に大人はどう答えていけばいいのか? 子どもの好奇心を潰さないためにはどうしたらいいのか? そして、大人が子どものようにわくわくし続けるためにはどうしたらいいのか? などなど、子育て世代もそうでない世代も考えたいトピックを……というのは後回しになり、てぃ先生の宇宙と科学に関する質問から取材は始まった。

※この取材は、換気・手指の消毒等新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策を十分に行った上で実施しました。

常識が通用しないような世界への理解が深まると、宇宙の根源につながる発見があるかもしれない。(本間)

―まず、本間先生はどんなお仕事、研究をされているんでしょうか?

本間希樹:国立天文台・水沢VLBI観測所の所長をしています。電波望遠鏡ってわかりますか? ベランダに立ってるパラボナアンテナを巨大化したようなやつ。そういうもので、目で見えない宇宙を明らかにする研究をしています。そのひとつが去年撮影されたブラックホールの研究です。

本間希樹(ほんま まれき)<br>国立天文台教授・水沢VLBI観測所所長。1971年、テキサス州生まれ、横浜育ち。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了。超高分解能電波観測による銀河系天文学、特に銀河系の構造研究と、巨大ブラックホールの研究を行っている。巨大ブラックホールに関するEHTプロジェクトに日本チームの責任者として参加。2019年4月には同プロジェクトチームによってブラックホールの撮影に成功した。
本間希樹(ほんま まれき)
国立天文台教授・水沢VLBI観測所所長。1971年、テキサス州生まれ、横浜育ち。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了。超高分解能電波観測による銀河系天文学、特に銀河系の構造研究と、巨大ブラックホールの研究を行っている。巨大ブラックホールに関するEHTプロジェクトに日本チームの責任者として参加。2019年4月には同プロジェクトチームによってブラックホールの撮影に成功した。

てぃ先生:あー! 知ってる! ニュースで見たやつだ。

本間:これは総勢200名くらいで行なった国際プロジェクトのひとつで、僕が日本チームの責任者をしていました。地球上のあちこちにある望遠鏡を組み合わせ、地球と同じ大きさの望遠鏡を作って、ブラックホールの写真を撮ったんです。

本間が日本チームの代表を務める国際プロジェクト「EHT」が観測したM87銀河の中心にあるブラックホールシャドウの画像。 / ©EHT Collaboration
本間が日本チームの代表を務める国際プロジェクト「EHT」が観測したM87銀河の中心にあるブラックホールシャドウの画像。 / ©EHT Collaboration

てぃ先生:僕、本間先生に質問があるんです。この世の中って全部仮想空間なんじゃないか、みたいな話を最近よく聞くんですけど、どう思います?

本間:ははははは。仮想空間の科学的な定義からしなければならないですね。実際に僕らの生きている世界には物質があって、僕らの身体も細胞があって、モノでできているわけじゃないですか。そういう物質がちゃんと存在している以上、やっぱりそれを僕らは実体と定義するわけです。なので、僕らが生きているのは実空間じゃないですかね。

てぃ先生:なるほど。

本間:ただ、精神的な世界もあるんですよ。人間にはちゃんと感情があって思考があって。それはモノの実体とは離れたものですよね。だからそういうものを切り離して、実世界とは違うんだという捉え方をするのは自由だと思います。

てぃ先生:へえ。その理論で言うと、死んだあとってどうなりますか?

てぃ先生(てぃせんせい)<br>保育士。子どもの日常をつぶやいたTwitterが人気。著書に『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)、Twitter原作のマンガ『てぃ先生』(KADOKAWA / メディアファクトリー)、『きょう、ほいくえんでね…!!』(マガジンハウス)など。現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演活動も年間50本以上。他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。
てぃ先生(てぃせんせい)
保育士。子どもの日常をつぶやいたTwitterが人気。著書に『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)、Twitter原作のマンガ『てぃ先生』(KADOKAWA / メディアファクトリー)、『きょう、ほいくえんでね…!!』(マガジンハウス)など。現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演活動も年間50本以上。他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。

本間:死んだあとはやっぱりいなくなる。無になる。

てぃ先生:そっかあ。宇宙って無から始まったって言うじゃないですか。僕、「無から始まる」「無があった」って意味がわからないんですけど、どういうことなんですか?

本間:すごく根源的な質問ですね。科学者もまさにそれを疑問に思っていて。宇宙には始まりがあって、始まる前は無だったはずなんです。なにもないってことですね。そこから宇宙がなぜ始まらなければいけなかったのか、どうやって始まったのかって、みんな知りたいんですけど、まだみんなを納得させられるような説明はないんです。

左から:本間希樹、てぃ先生

てぃ先生:それって、本間先生の研究を進めていくとなにかわかるかもしれないんですか?

本間:僕は宇宙のなかでも近くのブラックホールを見ているので、宇宙の果てだとか宇宙の最初にはなかなかたどり着けないんです。でも、ブラックホールっておかしな場所で、重力が強すぎて時間が止まったりする。我々の常識が通用しないような世界への理解が深まると、もしかしたら宇宙の根源につながる発見があるかもしれないです。

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番組情報

NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』

毎週日曜10:05~

プロフィール

本間希樹(ほんま まれき)

国立天文台教授・水沢VLBI観測所所長。1971年、テキサス州生まれ、横浜育ち。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了。超高分解能電波観測による銀河系天文学、特に銀河系の構造研究と、巨大ブラックホールの研究を行っている。巨大ブラックホールに関するEHTプロジェクトに日本チームの責任者として参加。2019年4月には同プロジェクトチームによってブラックホールの撮影に成功した。

てぃ先生(てぃせんせい)

保育士。子どもの日常をつぶやいたTwitterが人気。著書に『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)、Twitter原作のマンガ『てぃ先生』(KADOKAWA/メディアファクトリー)、『きょう、ほいくえんでね…!!』(マガジンハウス)など。
現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演活動も年間50本以上。他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。

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