Ryu Matsuyamaが向き合う、ポップ / オルタナティブ、国籍の境界線

Ryu Matsuyamaが向き合う、ポップ / オルタナティブ、国籍の境界線

インタビュー・テキスト
三宅正一
編集:川浦慧、矢島大地(CINRA.NET編集部)
2020/04/30
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曲を書くときにイタリアにいたときの感覚を思い出そうとしているんだと気づいて。それがわかって吹っ切れられた。

―歌詞を書いてるときの自分は、どちらかに比重を置いてるという自覚はあったりしますか?

Ryu:中間ではいたんですよ。でも、歌詞の愛情表現はジャパニーズ感覚なのかなと思います。歌詞ではそこまで情熱的ではなくて、ちょっと日本人っぽさが出るというか。一方で、人生観を語ってるときはイタリア人っぽいかもしれない。「べつにそれはいいんじゃない?」って楽観的になったり。

―中間地点に立つという意味でも、英語の作詞が一番自然に筆が進みますか?

Ryu:そこまで意識はしてないんですけど、歌詞を書き始めたのが英語だったのでそのまま英語で書き続けてるところもあります。でも、歌詞を書いてるときは意識的なアイデンティティ探しはしてないんですよね。自分であとで読み返してみて「なるほど!」ってなることが多いんです。今作は特に過去曲が多いので読み返してみると「あぁ……」みたいな。

―過去曲ってそんなに古いんですか?

Ryu:古いっす。ラスト、9曲目の“Friend”という曲はドラムのJacksonと一緒にバンドをやりましょうってなったときに書いた曲なんですよ。だから、6年くらい前の曲で。

Ryu Matsuyama『Borderland』収録曲“Friend”を聴く(Apple Musicはこちら

―オルガンを象徴的に使ってるけど、構成としてはギミックなしのシンプルなグッドソングですよね。

Ryu:そう、何もギミックはなくて。この曲をレコーディングしたことで、あのときの自分の感情に戻れた気がしますね。

―<親愛なる隣人 君の名は孤独>というフレーズが象徴的だなと。

Ryu:このときのほうがポジティブだったなと思うんですけどね。まだこのときは孤独を隣人として、親友として捉えているから病んではいない(笑)。時系列としてはそのあとに書いてる曲ほうが精神的に参ってますね。

“Friend”はイタリアに帰りたいと思っていたピークのころに書いた曲で、そこから自分の孤独を理解したうえで書いていった曲のほうがネガティブだなと。今はもう完全に吹っ切れて、日本にいたいと思ってますけど。

―吹っ切れるタイミングがあった?

Ryu:ありましたね。僕が日本に感情移入できないのは、日本で生活していなかったからだと気づいて。少なくないミュージシャンが、青春時代に得た感覚や恋愛観を軸にして曲を書いてると思うんですけど。やっぱり僕は曲を書くときにイタリアにいたときの感覚を思い出そうとしているんだと気づいて。それがわかって吹っ切れられたというか。

Ryu Matsuyama

―Ryuくんが青春時代に享受した感覚において、一番大きな影響は何だと思いますか?

Ryu:やっぱり親父が画家であることですよね。画材道具に囲まれて育って、僕自身は絵を描くのは上手くないんですけど、その中でペイントであったり、子どものころから自分の感覚を表現することはやってきたのかなと思うんですよね。

兄弟とする遊びといったら、ゲーム以外では親父のアトリエに遊びに行くという感じだったので。親父は僕とまったくルートが逆で、僕はハタチのときに急に日本に来たけど、親父はハタチのときに急にイタリアに移住したんですね。そこも自分と重ねるところがあって。アーティストとして親父を見習いたいなと思うし、アーティストの親に育てられた影響は大きいと思います。

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リリース情報

Ryu Matsuyama『Borderland』
Ryu Matsuyama
『Borderland』(CD)

2020年4月29日(水・祝)発売
価格:3,000円(税込)
VPCC-86309

1. Step over
2. Boy
3. Go Through, Grow Through
4. 愛して、愛され feat. 塩塚モエカ(羊文学)
5. Blackout feat. mabanua
6. Sane Pure Eyes (Alternative Mix)
7. No. One
8. Heartbeat
9. Friend

プロフィール

Ryu Matsuyama
Ryu Matsuyama(りゅう まつやま)

ピアノスリーピースバンド。イタリア生まれイタリア育ちの Ryu(Pf,Vo)が2012年に「Ryu Matsuyama」としてバンド活動をスタート。2014年、結成当初からのメンバーであるTsuru(Ba)にJackson(Dr)を加え現メンバーとなる。

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