暴力を捨てたC.O.S.A.は、ラッパーとして言葉で人を動かす

暴力を捨てたC.O.S.A.は、ラッパーとして言葉で人を動かす

インタビュー・テキスト・編集
久野剛士(CINRA.NET編集部)
撮影:西田香織
2020/01/09
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音楽や映画といったアートから料理まで、ものを作る上で重要になってくる作り手の「こだわり」。北欧の「クラフトマンシップ×最先端技術」をテーマにした『Fika』では、さまざまな作り手の「クラフトマンシップ」、ものづくりに対する「こだわり」の姿勢に触れる。

今回、インタビューしたのは、人の心を突き刺す「リリシスト」として知られる愛知県知立市出身のラッパー、C.O.S.A.。<孤独な一昨日から来ている男>というリリックが表すように、常に孤独さがつきまとっている印象がある彼。趣味だという釣りの話から、徐々に彼のラップの根源でもある「孤独さ」へと、話は進んでいった。

小学生の頃から、どう人と接していいかわからなかったんです。

―C.O.S.A.さんは、釣りが趣味とのことですが、いつ頃から釣りはお好きなんですか?

C.O.S.A.:子どもの頃から好きだったんですけど、1回離れて、2年前くらいからまたハマりはじめました。

C.O.S.A.(こさ)<br>1987年生まれ、愛知県知立市出身のヒップホップMC。キャデラックのローライダーに乗っていた6歳上の姉の影響で深くヒップホップにのめり込み、12歳の時にリリックを書き始めて、16歳からラッパーとしての活動を開始。同時にビートも手掛ける。その後、ビートメイカーとしての活動を経て、2013年よりラッパーとして再始動。精力的に楽曲制作とライブを行なう。
C.O.S.A.(こさ)
1987年生まれ、愛知県知立市出身のヒップホップMC。キャデラックのローライダーに乗っていた6歳上の姉の影響で深くヒップホップにのめり込み、12歳の時にリリックを書き始めて、16歳からラッパーとしての活動を開始。同時にビートも手掛ける。その後、ビートメイカーとしての活動を経て、2013年よりラッパーとして再始動。精力的に楽曲制作とライブを行なう。

―どんなところに魅力があるんでしょう?

C.O.S.A.:釣りには、俺が好きな要素がそろっているんですよ。まず、道具を買いそろえるのが楽しい。自分の場合はいろいろな海に行くので、遠くまで出掛けるっていう魅力もありますね。

あとは、そもそも俺が海好きってこともあります。海って、土地によって全然違う。それが面白いんですよ。たとえば静岡の沼津辺りでは海岸から5m先の深さはもう20~30mくらいあるんです。でも俺の地元では、120m先でも3~4mくらいの水深しかなくて。

日本海のほうへ行くと、潮の動きが太平洋側とまるで違って、潮が動かないんですよね。それが、太平洋側で育った自分には謎で。そうすると、釣り方も、釣れる魚も全く違うから、地元で通用していたことが全然通用しなくて、歯がたたないんです。

―それは、困らないんですか?

C.O.S.A.:そういうときは、その場所で釣れている人の真似をするんです。俺は、あまり人に直接聞きにいかないで、ひたすらじっと観察します。どんな道具を使っているか、どれくらい獲物を待つかとか。

でも、これまで3回一緒に釣りに行った田くん(田我流)は、すぐに地元の人に話しかけますよ。「どうやって釣ったんですか?」って。田くんは釣り場でもいろいろな人とコミュニケーションを取って、すぐに仲良くなってます。あれはすごい。だから、彼には横の広がりも生まれて、人脈がたくさんあるんだろうなって。田我流が慕われる理由をいつも垣間見ていますよ。

C.O.S.A.
田我流と釣りについてラップした“Wave”を聴く(Spotifyを開く

―C.O.S.A.さんは、そういうタイプではないんですか。

C.O.S.A.:性格的な問題だと思いますが、俺は人に聞くことが得意じゃないんです。このタイミングで聞いても大丈夫か、面倒くさくないかなどが気になってしまって……。それで、自分で調べて解決してしまうので、結構なんでも1人でできちゃうようになったんですよ。

―人に聞くことができないということが、ポジティブな方向に転換して、「自分でできる」ことになっているんですね。

C.O.S.A.:積み重ねの結果ではありますが、そうだと思います。いままで、大抵のことはできてきたので、これからもできるだろうという思いもあります。

でも、そういう人間って先輩から見ればかわいくないだろうな、って。なにも聞いてくることもなく、ある日突然1人でできるようになるので、昔から先輩にかわいがられた経験がなくて、寂しさを感じていましたね。

―C.O.S.A.さんのリリックには、「孤独」の空気が張り付いている感じがしますよね。いま仰られた「寂しさ」も関係しているんでしょうか?

C.O.S.A.:小学生の頃から、どう人と接していいかわからなかったんです。どうすればその人と友達になれるのか、なぜその人から嫌われているのか、って分からないときがありますよね。そういうときに、仲良くなる方法が全く分からず、ぶっ飛ばして自分のいうことを聞かせようとしてきたんです。

―仲良くなるというよりは、自分のいうことを聞かせていたんですね。

C.O.S.A.:それは小学校から中学くらいまでですが、当時の俺としては悪いことをしているつもりは全くありませんでした。

ただ、中学までは友達が同じ学区にいるので、みんな俺のいうことを聞いてくれていたのですが、高校になると話は違ってきます。地元にいる必要がないし、自由に動けるようになる。そのうちに、徐々に俺のいうことを聞かなくなって、気付いたら、周りに友達がいなくなっていました。そのときに、みんな俺の態度が嫌だったのだということに気付きました。

C.O.S.A.×Kid Fresino『Somewhere』を聴く(2016年 / Spotifyを開く

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プロフィール

C.O.S.A.(こさ)

1987年生まれ、愛知県知立市出身のヒップホップMC。キャデラックのローライダーに乗っていた6歳上の姉の影響で深くヒップホップにのめり込み、12歳の時にリリックを書き始めて、16歳からラッパーとしての活動を開始。同時にビートも手掛ける。その後、ビートメイカーとしての活動を経て、2013年よりラッパーとして再始動。精力的に楽曲制作とライブを行なう。2015年、自身初となるラップアルバム『Chiryu-Yonkers EP』を発表。2016年のKID FRESINOとのコラボレーション作『Somewhere』を経て、2017年にミニアルバム『Girl Queen』を発表。2019年にはシングル『Death Real』をリリースした。

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