コージ・トクダが、ハリネズミのしらたまと探る心の高揚

コージ・トクダが、ハリネズミのしらたまと探る心の高揚

インタビュー・テキスト
金子志緒
撮影:角田修一 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

家に動物がいるって思うだけであたたかい気持ちになりますね。

―北欧では野生のハリネズミが街中にもいるそうですよ。

コージ:向こうにいるナミハリネズミは、日本のヨツユビハリネズミよりちょっと大きいんですよね。実はスウェーデン、フィンランド、ノルウェーに行ったことがあって、そのときにハリネズミを探してみたんですよ。ハリがチラッと見えたと思ったら、捨てられたただのブラシで(笑)。結局会えなかったですね。

―日本ではペットのハリネズミが捨てられて野生化しているのが一部で問題になっています。動物と暮らす飼い主の責任を感じることはありますか?

コージ:めちゃくちゃありますね。しらたまは僕が守ってあげないといけない。食べさせていくために仕事もいっそうがんばらなきゃっていう気持ちでいます。犬はよく、人間のパートナーのような扱いをされていますけど、しらたまは自分の「子ども」に近い存在なのかな。しらたまを部屋に放して僕が寝転がっていると、頭とか関係なく登ってくるんですよ。人に対して警戒もしないし、そういうところも子どもに似てるでしょ?

しらたま

コージ:飼い主の責任といえば、実家で飼っていた犬は、最初の飼い主に捨てられて保健所にいた犬だったんですよ。

―殺処分ゼロの活動が始まる前の保護犬ですね。

コージ:僕が小学4年生のときに、両親と一緒に保健所に犬をゆずってもらいに行ったんです。希望者が20人くらいいたけど、犬はその5倍くらいいたのを覚えています。今日選ばれなかったらもう……っていう状況ですね。希望者が抽選で順番を決めて選んでいくシステムで、母親が1番を引いたんです。それで元気な子を選んで、名前は1番だから「ラッキー」にしようって。

実はその場にラッキーを保健所に入れた家族も来てたんですよ。当時はそうした状況を理解していなかったけど、今思うとどういう感情で来ていたのか……。選ばれなかったら引き取るつもりだったのかな。

―家庭の事情はあると思いますが、無責任な印象をもってしまいますね。

コージ:それからラッキーは僕が高校を卒業して家を出るまで14年間一緒にいて、両親が看取りました。思い出して懐かしくなります。今はマンション住まいだから無理だけど、また犬を飼いたい気持ちもあるんですよね。

コージ・トクダ

―犬は「人類最良の友」とまでいわれますから。ハリネズミとコミュニケーションの方法は違いますか?

コージ:僕の完全なエゴかもしれないけど、しらたまの感情は理解できる気がするんです。言葉が伝わらない分、感情は心の部分でつながっているんだろうなって。犬みたいに吠えたりリアクションを返したりしないけど、なぜかハリネズミのほうがつながっている気がします。

犬は、しつけで人間が犬をコントロールするじゃないですか。でもハリネズミはしつけやコントロールができない。ただし、吠えたりしない分、僕がしらたまの感情を勝手に解釈できるんですよ。「コイツは喜んでいるんだろうな」とかね。同じ状況でも「もしかしたら悲しいのかも」と感じることもできるんでしょうけど。そうやって自分の気持ちを投影できるので、コントロールするのではなく、自分の感情に寄り添っているように思えて、ちょうどいい距離感の付き合いができていると思います。

しらたま

―北欧の国は幸福度が高いそうです。しらたまちゃんを迎えてコージさんも毎日が充実しているんでしょうか。

コージ:いつの間にかいるのが当たり前になっていて、強い感情が湧き上がるというより、癒やして心を満たしてくれる存在ですよね。

しらたまを飼い始めてから「いってきます」と「ただいま」をちゃんというようになりました。家に動物がいるって思うだけであたたかい気持ちになりますね。心の満足度が飼う前より高くなっていると思いますよ。

―心の満足度ということでいえば、「高揚感を再び」という目標には近づいていますか?

コージ:しらたまはあくまで癒やしで、アメフトの甲子園ボウルの瞬間を超えるためにはどうすればいいのかは、まだわからないですね。あの高揚感はなんだったんだろう。芸人として大きい会場でライブをやるとか、大金を目の前に積まれるとかではないと思います。

わからないことばかりですけど、しらたまに愛情をそそいで、今できることを一緒に楽しんでいきたいと思います。これからも僕のハリネズミブームは続きますから。もしかしたらその先になにかが見つかるのかもしれません。

コージ・トクダとしらたま
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プロフィール

コージ・トクダ

1987年12月20日生まれ、大阪府出身。ワタナベエンターテインメント所属のお笑い芸人。法政大学のアメリカンフットボール部のキャプテンを務めたのち、コンビニエンスストアのアルバイトや移動販売のクレープ屋、漫才、殺陣の舞台を経て、お笑い芸人の道へ。ブリリアン解散後、心機一転「コージ・トクダ」として活動することに。2020年、2月23日にアメフト復帰宣言を行った。ハリネズミの「しらたま」と暮らしている。

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