退職代行の生みの親・新野俊幸が肯定「幸せのために辞めていい」

退職代行の生みの親・新野俊幸が肯定「幸せのために辞めていい」

インタビュー・テキスト・編集
石澤萌(CINRA.NET編集部)
野村由芽(She is編集部)
撮影:鈴木渉

自分に合う会社が見つかるまでガンガン辞める。やりたくないことをやらなくて済むなら、それでよくない?

―「やめることは悪い」という空気感によって自己肯定感が下がってしまった人に、退職代行が寄り添うことで、新しい生き方の選択肢を提示しているように感じます。そういった実感はありますか?

新野:あります。やっぱり「辞める=キャリアに傷がつく」というイメージは未だにあるし、転職市場に出たときに前の会社を1年で辞めているのは、もしかすると多少マイナスかもしれない。でも、自分も含めて、1社目をすぐに辞めてもまた次で大企業に入れるし、大企業じゃなくても活躍している人はいっぱいいる。全然辞めても大丈夫じゃない? という空気感を作ることには貢献できていると思っています。

これは賛否両論あると思うけど、退職代行はいわゆる「筋を通して辞める」わけじゃないんです。でも、それはそれでいいんじゃない? って思ってます。結局、筋を通すってなるとあと半年頑張って結果出して……っていう話になっちゃう。それが無理だから今、辞めたいんですよ。筋を通すって一見かっこいいけど、それでつぶれちゃうなら意味がないんで、ちゃんと自分の幸せを一番に考えたほうがいいと思うんです。

―会社としても、目先の利益を優先して「辞めるな」と言ってしまうこともあると思います。でも、社員のことを深く考えたら、その人が「心理的安全性」を確保できる場所で働くことが結果的に社会全体のためになりますよね。問題は、そういった考え方があんまり浸透してないことかもしれません。

新野:おっしゃる通りです。僕も1社目、2社目では何の結果も出せなくて「使えない人間なんだ」と思っていたけど、3社目ではけっこう活躍できたんです。環境のせいにするなって言葉があるけど、それが合っているときも間違っているときもある。環境って大事なんです。世の中に企業が5万社ある中で、最初の1社目が自分に合わないのは当たり前なんですよね。何度か転職して、活躍できる場所を見つけられたほうが世の中的にもめちゃくちゃいい。

Twitterとかには「マッチョ」な考え方の人も多くて、「今の会社で成果を出せない人が、次の会社で活躍できるわけがない」という発言もあります。そういう人は、自分が成果を出しているから言えていると思うんですけど、結果が出ないのって、多少自分のせいもあるかもしれないけど確実に環境要因が大きいんです。褒められて伸びるタイプが厳しい上司の下についたらめっちゃへこむし、褒めてくれる上司の下ならすぐに波に乗れる。

新野俊幸

―たしかに、職場の制度もそうですが、人間関係もかなり重要ですね。

新野:「今いる会社でできない人は……」って言っている人は、恵まれているんですよ。その人の上司は、厳しかったかもしれないけど人間的にいい人で、なんとか乗り越えられたかもしれないけど、そもそも人間的に終わっている、何の愛もなくストレス解消のために怒鳴り散らす上司のもとで頑張る理由は1mmもない。

さらに視野を広げると、会社では成果が出なくても、友人や恋人、家族がちゃんと肯定している精神状態だと、上司に立ち向かっていって乗り越えられるパターンもあると思います。でも、そもそも家庭環境もボロボロ、友達も少ない、職場でも怒鳴られていたら、自分の価値が見つけられず自己肯定感ゼロになっちゃうんで。そういう人に、「いや、今お前が成果出せないならどこでも無理だよ」というのはちょっと違うし、発言する人は自分が恵まれていることに気づいてほしいですね。

―ちなみに、退職代行リピーターっているんですか?

新野:少ないけどいますね。1年で3回使った人もいました。「僕、やっぱり無理です」って。でも、もう彼からは連絡ないので、ようやく合う職場を見つけられたんだと思います。それはすごくポジティブなことだし、自分に合う会社が見つかるまでガンガン辞めていったほうがいいです。極論、10社20社でも。それがたとえ「辞めグセ」だとしても、やりたくないことをやらなくて済むならそれでよくないですか?

新野俊幸
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プロフィール

新野俊幸(にいの としゆき)

平成元年、神奈川県鎌倉市に生誕。大学卒業後、とりあえず大手に就職するも1年で退職。暗黒のニート時代を経て、また大手に就職するが、やはり1年で退職。会社をやめる際、両親や上司に猛反対され精神的な苦労を味わったことから、日本独特の「やめる=悪」という空気感に問題意識を持ち、「退職代行」を発明。日本中で大流行させる。この世から退職できずに悩む人をなくしたい。

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