退職代行の生みの親・新野俊幸が肯定「幸せのために辞めていい」

退職代行の生みの親・新野俊幸が肯定「幸せのために辞めていい」

インタビュー・テキスト・編集
石澤萌(CINRA.NET編集部)
野村由芽(She is編集部)
撮影:鈴木渉

何かを続けてない人がダサく見える社会なんですよ、日本は。

新野俊幸

―そもそも、どうしてこんなに退職がよくないことだと認識されているのでしょうか。

新野:会社に限った話ではなくて、昔から部活を辞めることですらタブー視されていたじゃないですか。何かを続けてない人がダサく見える社会なんですよ、日本は。社会人1年目で辞めるのも、逃げた感がある。僕も辞めたとき、みんな口では何も言わないけど、きっと「あいつ結局何もやってないよな(笑)」と思われてた。

―さきほど「会社の構造が引き起こしてしまう」ということをおっしゃっていましたが、そういう「辞めることは逃げ」という空気感も、構造の問題のひとつなんでしょうか。

新野:そうですね。たとえば営業マンを教育するときに、目標達成させるためには目の前のことから絶対に逃げるなよ、売ってこいよということを伝えたりする。それは教育の一環ではあると思うけど、仕事を辞めることに対しても圧になっていると感じるんです。やっぱり上司には逆らえない。フラットなベンチャー企業は増えてきたけど、いまだに上司に物申すことが恐ろしい。大企業の会議で、偉い人が話しているときに発言しづらいですよね。

たとえば、辞めたいなと思って相談しても、「お前を採用するためにいくらかかったと思ってるんだ」と言われてしまったりする。ある意味、日本人ってまじめだから、それを言われると申し訳ないし頑張らないとって思ってしまうけど、そこにもつけ込まれているんです。

新野俊幸

―日本人の性質と、会社の構造が結びついているんですね。最近は働き方改革によって、リモートワークOK、深夜残業禁止など労働環境が改善されてきていると思いますが、退職代行でもっと現場の人を見つめ続けてきた新野さんから見て、どのようなアップデートをしたら、よりよくなると感じますか?

新野:いろんな観点があるけど、Googleのリサーチチームの言葉を借りると「心理的安全性」が大事だと思っています。一言で言えば、誰にでも何でも言える空気を作ること。たとえばうちの会社では、「いつでも辞めていい」って社員に周知してるんですよ。

―えっ! 明日でもいいんですか?

新野:退職代行をやっている会社だから、うちが辞めさせないと(笑)。従業員が辞めたければ2秒で退職どうぞ! って感じです。本人が辞めたいって言った時点でOK。

―本当に、去る者後を追わずですね。

新野:そういうスタイルなので、かなりフラットな空気なんです。あと、僕は絶対に怒らないんです。もしミスが起こっても、理由を深掘ると構造に問題があるので、逆に謝ります。教育方法が悪かったのかもしれないし、顧客対応が悪い場合も、普段からレビューしてない俺がいけなかったなって。

―人のせいにしない。

新野:ミスはミスで起きてしまったら仕方ないので、そこで怒鳴ったりせず、一緒に「次どうやってミスが起きないようにするか」を考えるスタンスでやってます。そういう話をすると、「社員がなまけちゃうんじゃないですか」と言われますけど、実はそうはならない。入社初日で1時間遅刻した人もいたけど、まったく怒らなかったし、結局その社員はいい成績をだすようになりました。

―そういうふうに、フラットに言い合える職場はすてきですね。経営者という、会社の構造を作る側の工夫で変わっていくのでしょうか。

新野:そう思います。でも、もしかしたら小さい組織にしか当てはまらないかもしれません。大企業になればなるほど、指揮命令系統がしっかりしてないと、社長の考えは下に伝わらないので。

でも、大企業であれば、たとえば課のメンバーとはそういう空気感を共有しようとか、できるところから働きかけるだけでも全然違う気がします。

新野俊幸
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プロフィール

新野俊幸(にいの としゆき)

平成元年、神奈川県鎌倉市に生誕。大学卒業後、とりあえず大手に就職するも1年で退職。暗黒のニート時代を経て、また大手に就職するが、やはり1年で退職。会社をやめる際、両親や上司に猛反対され精神的な苦労を味わったことから、日本独特の「やめる=悪」という空気感に問題意識を持ち、「退職代行」を発明。日本中で大流行させる。この世から退職できずに悩む人をなくしたい。

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