フォロワー100万人超のミスターヤバタンが追い求める笑いの高み

フォロワー100万人超のミスターヤバタンが追い求める笑いの高み

インタビュー・テキスト
柳澤はるか
撮影:鈴木渉 編集:飯嶋藍子
2020/02/19
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「日本の芸人」になりたいから、日本人になるつもりで文化に寄り添わないといけない。

―ノルウェー人の国民性、ちょっと日本人に通ずるところがありそうですね(笑)。逆に、日本の価値観や文化に関して、戸惑ったり苦労したりすることはありますか?

ヤバタン:いちばん大変なのは、動画を撮る時です。私は「日本の芸人」になりたいから、日本人になるつもりで文化に寄り添わないといけない。つまり日本の文化もちゃんと守りたいんです。でも、動画を撮る時のヤバタンは、うるさいし、みんなのパーソナルスペースに侵入するから、それを不快に思う人もいるのが表情からわかります。そういう時は、私、すごく弱くて、「すみません……」ってなっちゃいますね。昔はあまり気にしなかったけど、最近はすごい気にしてしまって。

ミスターヤバタン

―日本人の気持ちを理解しようとするからこそ、大胆に振る舞えなくなってしまった?

ヤバタン:そう。本当は、いちばん面白いのは、突然、私が誰かにカメラを向けてハイテンションで話しかけた時の相手のリアクションです。でも当然、それをやったら嫌な人もいる。だから何回もトライして、最後にやっと、良かったと思えるものが撮れる。そこにたどり着くまでが大変です。

―相手は一般の人ですから、どんな反応をされるかわからないですよね。

ヤバタン:そうなんですよね。テレビロケの時は日本人スタッフがいるからスムーズなんですけど、私ひとりで撮っている時は、「変な外国人」「何やってるの?」と思われてしまいます。でも、もし最初に「動画を撮っていいですか?」と説明したら、みなさんのリアクションが自然じゃなくなってしまいますよね。ヤバタンの動画では、あくまで自然なリアクションがほしいんです。それが最近、悩ましい……。

―難しいですね。

ヤバタン:難しい。でも、しょうがない! 私は、日本の文化を全部ちゃんと勉強したいんです。だから日本のルールをきちんと理解して守ることは、本当に気をつけています。そのために、ネタをちゃんと考える。たとえば、お寺では絶対に動画は撮らないと決めています。

ミスターヤバタン

―かなり気を配りながら撮影をしているんですね。

ヤバタン:編集したあとも、日本人にとって不快になるものではないか、異文化を間違ったかたちで伝えることにならないか、周りの日本人にチェックしてもらっています。面白いと思ってやっていることが、間違っているということもあり得ますからね。そういう問題が起こらないようにしっかり確認します。

―そこまで入念にされているから、ヤバタンさんの動画は安心して笑えるのかもしれません。

ヤバタン:そうだといいなと思います。日本語もすごく勉強しているんですけど、「ヤバタンが日本語上手になったら面白くないよ」ってよく言われていて……。

日本ではSNSからテレビ業界に入るのがすごく難しい。

―その葛藤はどう乗り越えていくんですか? ヤバタンのキャラクターは、今後さらに変化していくのでしょうか?

ヤバタン:どうでしょう……でもやっぱり、私は「芸人」になりたいので、日本語を話さないと。ゆくゆくは、ヤバタンではなく、本名のクラウドとして芸人になりたいんです。でも、私はSNSから人気になったから、事務所にも所属していないですし、でも、日本では事務所に所属していないとテレビに出ること自体が難しい。やっぱり「SNSの人」とか「外国人」として声をかけられてしまいます。

ミスターヤバタン

―そういうオファーは実際多かったんですか?

ヤバタン:そうですね。ヤバタンが人気になってから、「ヤバタン」という名前は置き去りに、単純に外国人としてコメントするテレビのオファーがたくさんあったんですけど、それをやったら普通の外国人タレントになってしまうから全て断っていたんです。周りはみんな「何でもいいからテレビ出たほうがいいよ!」と言っていたんですけど、私はあくまで芸人としてテレビに出たいので、やりませんでした。

そうやってずっと待ってたら、ついに『スッキリ』から、ヤバタンとして出演してほしいとオファーが来て。その時はとても誇らしかったです。でも、まだまだ。日本ではSNSからテレビ業界に入るのが個人的にはすごく難しいと思うからこそ「やってみよう!」と思います。

ミスターヤバタン

―ヤバタンさんにとって、テレビに出ることはどんな意味を持つのでしょうか?

ヤバタン:今の時代、やろうと思えば誰でも自由に動画を作ってインターネットにアップできますし、YouTuberになるチャンスは誰にでもありますけど、でもやっぱり、テレビに出ている芸能人は本当にプロフェッショナルだと思っていて。だから私もテレビに出たい、ちゃんとプロになりたいんです。

―常にチャレンジしていたいという気持ちが強いんですね。

ヤバタン:そうですね。母国語以外の言葉でお笑いをやること自体が、すごいチャレンジじゃないですか。でも、満足せずにチャレンジしている状態が、いつもすごく面白いし、大好きなんです。もちろん、テレビに出るようになってもInstagramの動画は毎週やり続けます。

あと、ヤバタンの旅行番組も作りたいですし、Netflixの番組にも出たい、YouTubeももっと頑張りたい。この「ミスターヤバタン」というキャラクターをたくさん使いながら、「クラウド」としても見てもらえるように、これからもいろんなチャレンジを、ずーっとしていきたいです。

ミスターヤバタン

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プロフィール

ミスターヤバタン

コメディアン / 動画クリエイター。ノルウェー出身、日本在住。日本のお笑い文化に惚れ込み、来日。Instagramを中心にSNSで、日本各地をレポートするコメディ動画などを投稿し話題に。現在、NHK WORLD『Kawaii International』などにも出演中。

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