フォロワー100万人超のミスターヤバタンが追い求める笑いの高み

フォロワー100万人超のミスターヤバタンが追い求める笑いの高み

インタビュー・テキスト
柳澤はるか
撮影:鈴木渉 編集:飯嶋藍子
2020/02/19
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緻密なお笑いに慣れている日本人を笑わせることに挑戦したかったんです。

―世界でバズっても、なぜ日本人を笑わせたいと思っていたんですか?

ヤバタン:日本のお笑いの特別なポイントは、アメリカやヨーロッパに比べて、下ネタが少ないことだと思っていて。下ネタで笑わせるのは簡単ですけど、日本のお笑いは、下ネタなしでどうやってみんなを笑わせるか、ちゃんとネタを練って考えないといけない。

私はそこが好きなんです。そういった緻密なお笑いに慣れている日本人を笑わせるのは、私にとってとてもハードルの高いことだから、あえてそこに挑戦したかったんです。

ミスターヤバタン

―そこからどのようにして日本人にウケる動画にたどり着いたのでしょうか?

ヤバタン:イギリス人の動画がバズったことで、「じゃあいろんなキャラクターをやってみよう」と思い、フランス人とイタリア人の動画を続けて作りました。私、もともとモノマネが好きで、日本語学校の頃に、いろんな国のクラスメイトたちのモノマネをしてたんです。みんなの発音がユニークで特徴があって、僕は面白いと思ったから。

そしたら、奈良公園で撮ったフランス人の動画が、イギリス人の動画よりももっとウケて。だから、このキャラクターで色々やってみよう、と思いました。

―それが現在の「ミスターヤバタン」につながるんですね。その後公開された「イルミネーションに感動する外人!」という動画は、2017年12月にSNS上で大きな反響を呼びました。

ヤバタン:これはずっと前からあたためていたネタで。イルミネーションの場所はたくさんの人で賑わっていて、私がカメラに向かって「本当にびっくりしたー!」と言ったら、周りの人がすごい笑ってくれたんです。この時初めて、動画を撮影しながら日本の人たちと会話をしたら、日本の方たちのリアクションとかもすごく面白くて。

11月に撮影したあと、イルミネーションのネタだし、これはクリスマス向けの動画だと思ったので、12月まで待ってからInstagramにアップしたんですけど……何も起きなかった。

―え? 何も?

ヤバタン:何も。でもそのあと、突然Instagramで日本人のフォロワーがめっちゃ増えたんです。「すごい面白いです」とか「大好きです」とかDMもめっちゃ来て。で、DMをくれた人に、どうやって私の動画を見つけたのか聞いたら、「Twitterでバズってますよ」と教えてくれました。

「私、Twitter全然やってない、動画もアップしてないけど……」と思ったんですが、どうやら誰かが私の動画を勝手にアップして、それがバズってたんです(笑)。Twitterでも日本人のフォロワーがいっきに15,000人増えて、世界中のメディアから動画の使用申請が来て、ノルウェーのニュースメディアでも取りあげられました。

ミスターヤバタン

―すごい爆発力ですね。

ヤバタン:ね、本当にびっくりした(笑)。そのあと、1月に「雪が好きすぎる外国人」という動画をあげたら、またすごくウケて。Twitterの日本人のフォロワーはさらに10万人増えました。でも、当時はウケる動画ってよくわからなかったから、とにかくいろんな人と会っていろんな動画を撮って、その中で、日本人にウケるポイントを学んでいった感じです。

昔のヤバタンはもっと声も低いし、ゆっくり喋っていたけど、今は、声が高くて、速く喋るし、ハイテンションでしょ。そっちのほうがみんな好きなんだなっていうのは、やっていくうちにわかっていきました。

―「あ、こういうのがウケるんだ」と印象的だった発見はありますか?

ヤバタン:ヤバタンが日本語を間違えると、みんな、すごく楽しいみたいですね。たとえば、おみくじで「吉」を引いた時、私が「キッチン」って勘違いしたやりとりが、すごくウケました。あとは、ヤバタンの笑顔とハイテンションが、見ていていつも楽しいと言われます。

―はい、笑顔の絶えないヤバタンさんの動画を見ると、ハッピーな気持ちになります。

ヤバタン:あ、それは良かった。まさにそれが私の狙いなんです。私の家族のクリスマス動画見ました? みんな明るいでしょう。

―はい、みなさんとてもノリが良いです。ノルウェーの国民性としては、シャイで静かだと聞いたことがありますが、ヤバタンさんのご家族はそうではない?

ヤバタン:そうですね。実は父もコメディアンなんですよ。もともとミュージシャンで、音楽と笑いを融合させたパフォーマンスですごく人気があったんです。そのあと、テレビのプロデューサーになってノルウェーで初めてスタンドアップコメディを始め、今は芸人のプロデュースもしています。いとこもお笑い芸人で、ノルウェーではとても人気があるんです。

―人を笑わせるのが好きな家系なんですね。

ヤバタン:そうなんですよ。でも、ノルウェー人がシャイなイメージは、たしかにありますよね。日本人に少し似てるかな。ノルウェー人はパーソナルスペースがすごく広いから、バス乗り場では、めっちゃスペースを空けて並びます(笑)。

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プロフィール

ミスターヤバタン

コメディアン / 動画クリエイター。ノルウェー出身、日本在住。日本のお笑い文化に惚れ込み、来日。Instagramを中心にSNSで、日本各地をレポートするコメディ動画などを投稿し話題に。現在、NHK WORLD『Kawaii International』などにも出演中。

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