AAAMYYYがNetflix作品を愛でる 連載初回は『ザ・レイン』を紹介

AAAMYYYがNetflix作品を愛でる 連載初回は『ザ・レイン』を紹介

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編集:山元翔一、石澤萌(CINRA.NET編集部)

本作のテーマは、いきすぎたテクノロジーの発展が呼び起こした「人間の浄化」?

『ザ・レイン』では、②終末の鍵を握る権力者も描かれている。主人公たちは、どうやら彼らの住む世界を崩壊させた雨には、彼らの父親が研究員をしていたアポロン社が関係しているということを突き止める。ウイルスへの抗体は未だ見つかっておらず、アポロン社の施設では人体実験が繰り返し行われていた。抗体を見つけるためには手段を問わず、上層の役員の指示で社員を巧妙に操り、残虐に人々を陥れてゆく。

先に、人間は平穏に生きるために秩序と暴力を必要とするらしいと書いたが、どの場合でも必ずリーダーという存在が浮かび上がる。過去の歴史から挙げるとすれば、恐怖政治で有名なヒトラーだとかスターリンなどだ。終末の鍵を握る権力者、とはそういった人間である。民族浄化は戦争における戦術であったが、『ザ・レイン』で行われたのはずばりこれで、度を越したテクノロジーを手にする者による「人間の浄化」がテーマなのではなかろうか。

Netflix『ザ・レイン』より
Netflix『ザ・レイン』より(サイトを開く

テクノロジーというものはそもそも、起源を辿ればエジソンが発明した電気だとか、車や飛行機などの機械、水道や排水設備、医療など、全て人間の生活をよりよくするために発明されてきた技術である。そしてテクノロジーは戦争に応用され、無線や精密な武器、原子爆弾が生まれた。テクノロジーは強大な武力になり、それを有する者は②と同じ権力者である。『ザ・レイン』においてはアポロン社がそうである。政治家や富豪もこの立場になり得る。

2100年までに110億人になると言われている世界人口。環境保護のためには、人間の浄化が必要なのか?

さらにテクノロジーが発展するのに比例して、環境破壊が進んだ。石炭や森林を燃やして機械産業のエネルギー源としてきた副作用は、特に産業革命以降の酸性雨による森林破壊や健康被害として北欧で顕著になった。『ザ・レイン』で描かれた殺人ウイルスの雨という設定はそこから来ているのかもしれない。

撮影:AAAMYYY
撮影:AAAMYYY

デンマークはドイツやスイスのような環境先進国である(Netflixオリジナルシリーズの『ザ・クラウン』でも、産業革命の副作用が描かれている。皇室の話であるが、当時の様々な事実隠蔽や情報操作についても触れられているので観て欲しい)。

環境破壊が人間の所為なのは紛れもなく事実で、環境破壊による世界の終焉も数多くの映画のテーマとなっている。食糧難や温暖化による自然災害の増加、挙げればきりがないほど環境問題は深刻だ。世界人口は2100年までに110億人になるとまで言われているが、明確な環境保護の方法は未だほとんどない状態である。

Netflix『ザ・レイン』より
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②の終末の鍵を握る権力者は、そんな地球のピンチのときに一体どうするのか。様々な映画では、地球脱出計画が水面下で行われていたり、ノアの箱船計画なんかもあったが、『ザ・レイン』ではずばり人口的殺人ウイルスの雨を降らせることによって、環境破壊を食い止める目的があったと私は考察する。

「The Greater Good」という言葉があるが、大義のために犠牲は厭わないという意味だ。言い換えると我々のような市民は必要な犠牲であり、①「たまたま生き残った人間」は、②「終末の鍵を握る権力者」の大いなる計画のための駒に過ぎないのである。それが私が『ザ・レイン』から感じ取った「人間浄化」というテーマである。そして、想像がつくだろうが、その先に美しい未来は恐らくないのである。なぜなら本当に恐ろしいのは人間自身だからだ。

もし世界が終焉を迎えたとして、あなたがなぜか生き残っていたとしたら、「人間」には気を付けたほうがよさそうだ。

AAAMYYY
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作品情報

Netflixオリジナルシリーズ『ザ・レイン』シーズン1~2

Netflixにて全世界独占配信中

原作・制作:
ヤニック・タイ・モショルト
エスベン・トフト・ヤコブセン
クリスティアン・ポタリヴォ

リリース情報

AAAMYYY
『BODY』

2019年2月6日(水)発売
価格:2,547円(税込)
PECF-3222

1. β2615
2. GAIA
3. 被験者J
4. Z(Feat.Computer Magic)
5. ポリシー
6. ISLAND(Feat.MATTON)
7. 愛のため
8. All By Myself(Feat.JIL)
9. 屍を越えてゆけ
10. EYES(Feat.CONY PLANKTON)

プロフィール

AAAMYYY(えいみー)

長野出身のシンガーソングライター / トラックメイカー。キャビンアテンダントをめざしてカナダへ留学、帰国後の22歳より音楽を制作しはじめ、2017年よりAAAMYYYとして活動を開始。2017年の『WEEKEND EP』を皮切りに、『MABOROSI EP』『ETCETRA EP』と3作品をカセットテープと配信でリリースしている。さらに、RyohuのゲストボーカルやTENDREのサポートシンセ、DAOKOへの楽曲提供やCMソングの歌唱、モデル、ラジオMCなど多方面に携わるなか、2018年6月からはTempalayに正式加入。2019年2月、ソロとしての1stアルバム『BODY』をリリースした。

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