
結成10年のミツメが証明。インディ、DIY、マイペースな活動の幸せ
- インタビュー・テキスト
- 渡辺裕也
- 撮影:垂水佳菜 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
僕たちは、とにかくずっと話し合うんです。(川辺)
―ミツメがDIYで活動していくうえで、いろんなヒントや知識を与えてくれた先輩のミュージシャンもきっと大勢いますよね。たとえばde.te.ri.o.ra.tion(東京のインディペンデントレーベル)の橋本竜樹さんはそうだと思うのですが。
須田:それこそミツメの1stと2ndのレコードって、de.te.ri.o.ra.tionとWhite Lily Recordsのダブルネームで出してるんですよ。
nakayaan:竜樹さんの提案がなかったら、もしかしたら「自分たちの作品を必ずアナログ化していく」というその後の流れはなかったかもしれないですね。インディペンデントでもレコードが作れるっていう方向性を示してもらったというか。
川辺:刺激を与えてもらったという意味では、同世代の存在も大きいです。同い年のスカートの澤部くんとか、Teen Runningsの金子くんにも勇気をもらっていましたし、タッツ(仲原達彦。ミツメのマネージャー)もそうですね。
仲原:客観的に見ていると、ミツメってめちゃくちゃ民主主義的という感じで、誰かひとりの意見を通すってことがなくて、4人が納得できない限りは前に進まない。メンバーの誰かひとりが「うーん……」みたいになってたら、とにかく話し合う。そういう、わりと時間のかかるバンドではあるんです(笑)。こういうバンドって、じつはけっこう珍しいんじゃないかな。我を通す人がいないというか。
―バンド活動の中身については、メンバー間の意思統一を徹底的にやるんですね。
大竹:それはすべてにおいてそうですね。なにかイベントの誘いがあったときとか、アー写を決めたりとか、「Tシャツのデザインとボディ、どうする?」とか、バンドに関することはすべて話し合うし、全員が「うん」と言わない限り、いつまでも決まらない(笑)。
仲原:ツアー先のどこで飯を食うか、くらいですね。ミツメに関することで勝手に僕が決めていいことは(笑)。
川辺:とにかくずっと話し合うんです。それで最終的にみんなが納得できたら、それでようやく決定みたいな。
このバンドに関わるすべてのことが、この4人にとっては他人事じゃない。(須田)
―それで雰囲気がピリピリしたりは?
川辺:みんな無言、みたいな時間はあるかな(笑)。
大竹:その場はピリピリすることもあるけど、遺恨は残さないっていうのはありますね(笑)。
仲原:必ずメンバー全員が納得できるところにいつも持っていくし、その決定に対してあとから文句をいうメンバーもいないんですよ。「あのとき、本当はあっちのほうがよかったんだよなー」みたいな話は、まず出てこないので。
川辺:言われてみると、たしかに愚痴は出ないかもね。
仲原:たとえば3対1の局面でも、強い1があると3は負けるってことも、この4人のなかにはあるんですよ。
―理想的な民主主義じゃないですか。
川辺:でも、きっととことん付き合ってくれる人は限られると思います。「そんなささいなこと早く決めてくれ」と思う人も当然いるだろうし。
仲原:これが他のバンドだったら、たとえばメンバー内にひとりグッズ担当を立てて、その人が決めたらOKみたいなやり方もあると思うんです。でも、ミツメはそういう感じではないんですよね。基本的には担当を分業させないというか、すべてにおいて決定権がメンバー全員にあるんです。
川辺:最近は、まずタッツとかグンパン(ミツメのマーチャンダイズ担当)にだいたいのことを決めてもらうっていう方向性にもなってきてるんですけど、それでも最終的なことは4人で決めるっていうのは、いまだに続いてて。
須田:ありとあらゆる選択肢があるなかで、その一つひとつを4人で検討していくっていうのは、やっぱり必要な作業だと思うんです。
グッズひとつにしたって、そこにバンドの名前が付けられている以上はメンバーがちゃんと関わるべきだと思うし、そういうことをないがしろにしてると、ちぐはぐになっていくんじゃないかなって。
リリース情報

- ミツメ
『Ghosts』(CD) -
2019年4月3日(水)発売
価格:3,080円(税込)
MITSUME-020 / PECF-11681. ディレイ
2. エスパー
3. ゴーストダンス
4. エックス
5. ふたり
6. セダン
7. なめらかな日々
8. クロール
9. タイム
10. ターミナル
11. モーメント
プロフィール

- ミツメ
-
2009年、東京にて結成。4人組のバンド。2019年4月にアルバム「Ghosts」をリリース。国内のほか、インドネシア、中国、台湾、韓国、タイ、アメリカなど海外へもツアーを行い、活動の場を広げています。オーソドックスなバンド編成ながら、各々が担当のパートにとらわれずに自由な楽曲を発表し続けています。そのときの気分でいろいろなことにチャレンジしています。