デンマークでの冬の過ごし方 甘いミルク粥を頬張るクリスマス

デンマークでの冬の過ごし方 甘いミルク粥を頬張るクリスマス

テキスト・イラスト
MIKA TAKAHAMA
編集:石澤萌(CINRA.NET編集部)

子どもも大人も楽しむ、デンマークのクリスマス。アーモンド入りの甘いミルク粥や、クリスマスに訪れる小さな妖精のこと

そういえば、日本ではクリスマスにフライドチキンを食べる(もちろん家庭による)と話したところ、デンマーク人からの笑いがしばらく収まらなかったことがある。半信半疑だった彼らにお馴染みのテレビCMを見せると、またどっと笑いが起きた。デンマークのクリスマスでは、丹精込めて作った家庭料理が食卓に並ぶので、まさか家族でファストフードを食すとは思ってもみなかったらしい。

デンマークでの定番はというと、鴨のロースト、もしくはフレスカスタイ(Flæskesteg)という豚肉を皮の部分までしっかりと焼き上げたポークステーキ。ヨーロッパ屈指の養豚大国な、デンマークらしいご馳走だと思う。ステーキには飴色に炒めた主食のポテトと彩り豊かなレッドキャベツが添えられる。

食後のデザートとして出されるリスアラマン(Risalamande)は、ミルク粥にホイップクリームとバニラ、砕いたアーモンドを加えたもの。チェリーソースをかけて食べるこのお粥は、日本人にとっては不思議な味だ。面白いのが、ミルク粥の中に一粒だけホールアーモンドが入っていること。これを食べ当てた人は、プレゼントを貰えることになっている。子どもはプレゼントを逃すまいといっぱいに粥を頬張り、大人たちはホールアーモンドを誤って砕いてしまわないよう、神妙な顔をして食べているのが面白い。

デンマークでのクリスマスを語るうえで欠かせないクリスマスの妖精ニセ(Nisse)も、この日のミルク粥を心待ちにしている。彼らは赤い三角帽子を被り、時に白い髭をたくわえた小人として描かれる、さながら小さいサンタクロースのような存在だ。スウェーデンやノルウェーでも違った名前で親しまれており、言い伝えによると、彼らは家や納屋に住み着き、いたずらをすることもあるが、きちんともてなせば幸運を運ぶと言われている。

そのためデンマークではクリスマスイブにニセの好物であるリゼングロ(Risengrød)と呼ばれるシナモンと砂糖たっぷりのミルク粥を用意し、翌年の幸せを願う。

食事の後は皆が手を繋ぎ合ってクリスマスツリーを囲み、誰ともなく<Nu' er det jul igen(またクリスマスがやってきた)>と歌い始める。18世紀頃から歌遊びとして北欧で親しまれてきたという、デンマーク人なら誰もが知っている歌だ。これを繰り返し口ずさみ、ぐるぐるとクリスマスツリーを回っていると、その内の誰かが手をほどき、手を繋いだまま一列になって今度は家中を駆け回る。リビング、寝室、キッチン……。息を切らしながら歌っていると、自然と笑いが込み上げてくる。デンマークに来て、楽しむ心に年齢は関係ないのだと私は何度も教わった。

ほがらかなデンマーク人の気質は、厳しい冬を越す私の心を温めてくれる。デンマークでの二度目の冬がもうそこまで近づいている。

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プロフィール

MIKA TAKAHAMA(みか たかはま)

海外の暮らしを綴るイラストレーター。訪問先の国では観光地そっちのけで市場やスーパーマーケットを覗き、暮らすように旅をするのがモットー。2019年よりデンマーク滞在中につき、北欧の日々を切り取った絵日記をInstagramにて更新中。また、自然をミニマルに表現する版画家としても活動中。

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