Salyu×原田郁子はサウナ友達 いい歌の為に機嫌のいい時間を作る

Salyu×原田郁子はサウナ友達 いい歌の為に機嫌のいい時間を作る

インタビュー・テキスト
大智由実子
撮影:前田立 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

頭空っぽにしたいから、ただひたすらぼんやりと、何も考えないのがいい。(原田)

—サウナの入り方のこだわりとか、ご自身のサウナ作法のようなものってありますか?

原田:基本的にそれぞれのペースとか入り方があるから、3人で行ったときもみんなバラバラで、黙々と(笑)。

Salyu:単独行動だよね(笑)。

原田:そのときわかったんだけど、Salyuは水風呂に入っている時間が信じられないくらい長かった(笑)。

Salyu:そう、私は水風呂に5分くらいは入ってる(笑)。なんかすぐに出ちゃうと掴みきれないというか、水の音を聞きながら次の段階がやってくるのを待っているという感じ。そうしていると身体のバイオリズムがすごくゆっくりに感じられるんです。日頃なかなか味わうことのできないバイオリズムに向きあうのが楽しくて。

原田:ふふふ。

—そうして向き合う中で、クリエイティブなアイデアが湧いてくるということはあるものなんですか?

Salyu:実は全然ないですね。

原田:私もないですね。クラムボンの合宿のときも、サウナの中でふと、さっきまでやっていた作業のこととか曲のこととか考えそうになるんですけど、「いかんいかん!」って。

原田が持参した、クラムボンのツアーグッズで作った手ぬぐい
原田が持参した、クラムボンのツアーグッズで作った手ぬぐい

—じゃあ敢えて考えないようにしているんですね。

原田:そうですね。頭空っぽにしたいから、ただひたすらぼんやりと、なにも考えないのがいいですね。

Salyu:インナートリップだよね。言葉を発想したりするのって外とのコミュニケーションということだと思うんだけど、それよりもっと手前の自分の身体の内側、たとえば心拍数とかに気が向くよね。

原田:ただプクプクと出ては消える水の泡を見ているとかね(笑)。

Salyu:うっとりしながらね(笑)。それが楽しい。

好きなことにハマったり探求したりする時間は、「癒やし」にもつながっている。(原田)

—サウナのどんなところが魅力だと思いますか?

Salyu:私はサウナのあとに必ず水風呂に入るのですが、あたたかいのと冷たいのを繰り返すことによって、緊張と脱力の幅が広がってリラックスすることができるというところですかね。それによってリセットされる感じはあります。

あとは覚醒して敏感になっているからだと思うのですが、さっきまであまり気にしていなかった水風呂に注がれている水の音がクリアに聞こえたりとか、五感が研ぎ澄まされるところ。

Salyu
Salyu(さりゅう)
1980年生まれ、神奈川県出身。岩井俊二の映画『リリイ・シュシュのすべて』でデビュー。作中に登場する架空のシンガーソングライター「Lily Chou-Chou」としての活動を行う。ヒップホップMCである「ILMARI」とのコラボレーションなどを経て、2004年にはソロデビューを果たす。2011年7月13日に両A面シングル「青空/magic」をリリース。さらに8月10日、作曲・小山田圭吾、作詞・坂本慎太郎(ex.ゆらゆら国)が手掛けた
“INFOBAR A01”のCMイメージソングとしての書き下ろし曲「話したいあなたと」をsalyu×salyuの新曲として配信限定でリリース。

原田:うん。感度が変わる感じはあるね。サウナって密室に知らない人同士が裸でじっとしてて、よく考えたら不思議な空間ですよね(笑)。ツアー先でもサウナに行くことが多いのですが、地元の人たちが方言でしゃべっていたり、お金とか病気とか愚痴とか「こんなこと聞いていいのかな?」っていうような話を聞いてしまったりすると、この状況面白いなあって(笑)。普段の生活では出会うことがないだろう人と裸同士で居合わせるっていうのも、サウナとかお風呂ならではですよね。

あとSalyuが言っていたみたいに、「めちゃくちゃ熱い」と「めちゃくちゃ冷たい」を交互に繰り返すと、針が振り切れる感覚というか……荒治療じゃないですけど、溜まってたものがぬけていって、スッキリするんですよね。

原田郁子
原田郁子(はらだ いくこ)
1975年、福岡生まれ。1995年にスリーピースバンド「クラムボン」を結成。歌と鍵盤を担当。バンド活動と並行して、ソロ活動も精力的に行っており、これまでに4枚のソロアルバムを発表。2010年には、吉祥寺の多目的スペース&カフェ『キチム』の立ち上げに携わる。近年は、クラムボンが自身のレーベル「トロピカル」より3枚のミニアルバムを発表し、独自の販売方法を試み、ジャンル問わずの約300店舗にまで広がりを見せている。

—「サウナでリセットする」とおっしゃっていましたが、そもそもなぜリセットすることが必要なのでしょうか?

原田:なにか動物的なものかな、という感じはあります。職種は違えど、働くっていうことは、ものすごい緊張感だったり、プレッシャーだったり、人間関係においてもストレスが多いと思うんです。

たとえば、競馬の馬はレースを走り切ってもしばらく興奮状態が続いて、落ち着いてくるのに少し時間がかかるということを聞いたことがあります。自分も思い当たるんですけど、そういった「戦闘モード」というか、交感神経が研ぎ澄まされている状態があるとしたら、動物的にその反対がちゃんとないとバランスが取れなくなってくる。

人によってはスポーツだったりサウナだったり音楽だったりゲームだったりアニメだったり。好きなものに没頭できるって、ほんとに尊いなあ、って思うんですよね。いろんなことを忘れるくらい好きなことにハマったり探求したりする時間は、自分内治癒というか、「癒し」にもつながっているんじゃないかな。

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プロフィール

Salyu(さりゅう)

1980年生まれ、神奈川県出身。岩井俊二の映画『リリイ・シュシュのすべて』でデビュー。作中に登場する架空のシンガーソングライター「Lily Chou-Chou」としての活動を行う。ヒップホップMCである「ILMARI」とのコラボレーションなどを経て、2004年にはソロデビューを果たす。2011年7月13日に両A面シングル「青空/magic」をリリース。さらに8月10日、作曲・小山田圭吾、作詞・坂本慎太郎(ex.ゆらゆら国)が手掛けた
“INFOBAR A01”のCMイメージソングとしての書き下ろし曲「話したいあなたと」をsalyu×salyuの新曲として配信限定でリリース。

原田郁子(はらだ いくこ)

1975年、福岡生まれ。1995年にスリーピースバンド「クラムボン」を結成。歌と鍵盤を担当。バンド活動と並行して、ソロ活動も精力的に行っており、これまでに4枚のソロアルバムを発表。2010年には、吉祥寺の多目的スペース&カフェ『キチム』の立ち上げに携わる。近年は、クラムボンが自身のレーベル「トロピカル」より3枚のミニアルバムを発表し、独自の販売方法を試み、ジャンル問わずの約300店舗にまで広がりを見せている。

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