ABBAを筆頭に、1970年代からスウェーデンには数多くのポップアーティストが登場し、音楽シーンを賑わせてきた。なかでも世界的な盛り上がりを見せたのが、1990年代半ばのスウェディッシュポップブーム。「タンバリンスタジオ」を拠点に、トーレ・ヨハンソンがプロデュースしたThe Cardigansをはじめとするバンドたちは、ビンテージ機材を駆使した懐かしくも新鮮なサウンドと、ポップかつメランコリックなメロディーが特徴で、日本でもBONNIE PINKや原田知世、カジヒデキらが「その音」を求めてスウェーデンのマルメへ赴くなど空前のブームとなった。
今もスウェーデンの音楽といえば、真っ先に「スウェディッシュポップ」「The Cardigans」と答える人が絶えないほど、鮮烈な印象を残したスウェディッシュポップとは、いったい何だったのだろう。我々日本人の琴線を揺らすそのサウンドは、どのようにして生み出されたのか。今回Fikaでは、その謎に迫るべくカジヒデキにインタビューを実施した。
9月5日にEP『秋のオリーブ』をリリースしたカジは、デビューアルバム『MINI SKIRT』をトーレのプロデュースのもと「タンバリンスタジオ」でレコーディングし、その後しばらくはマルメで作品を作るなどスウェディッシュポップブームの中心にいたアーティストである。そんな彼に、当時のエピソードはもちろん、スウェディッシュポップのオススメのアルバム5選、そして久しぶりの新作についてなど、たっぷりと話してもらった。
Eggstoneには、僕が当時やりたかったこと全てが凝縮されているような気がしたんです。
—カジさんは“ミスター・スウェーデン”(1999年)というシングルをリリースし、「ミスター・スウェーデン」という愛称で親しまれるなど、スウェーデンと縁が深いイメージがあるのですが、そもそもスウェディッシュポップと出会ったきっかけはどんなものだったのでしょう?
カジ:僕が最初に聴いたスウェディッシュポップは、Eggstoneが1991年の終わりに出した“Shooting Time”というシングル曲でした。僕は当時、BRIDGEというバンドをやりながら渋谷の輸入レコード屋「ZEST」でバイトしていたのですが、友人の小山田(圭吾)くんをはじめ、僕らの周りはみんなEggstoneに夢中だったんです。
調べてみたら彼らはスウェーデンのバンドで、リリース元は「Snap(のちのSoap)」という、主にスウェーデンの音楽を紹介している英国のレーベルということがわかって。そのレーベルは、The WannadiesとかThis Perfect Dayとかも出していたんですよね。
—当時カジさんの周りの音楽仲間や音楽好きたちがEggstoneに夢中だったのは、どうしてだったんですか?
カジ:僕に関して言うと、Eggstoneには、僕が当時やりたかったこと全てが凝縮されているような気がしたんです。たとえば、“Wrong Heaven”という曲があって、(バート・)バカラックっぽいホーンが入っていて、Pale Fountainsあたりにも通じるような、メランコリックさがあって。
—当時のカジさんがアメリカやイギリスの音楽に心惹かれて自然と影響を受けていた感じと、Eggstoneをはじめとするスウェーデンのミュージシャンの感覚は近いものがあったんですかね。
カジ:そうですね。憧れるような感じというか、おそらくそういう部分もあったと思います。
“Shooting Time”と“Wrong Heaven”を収録したEggstone『At Point Loma』を聴く(Apple Musicはこちら)
カジ:Eggstoneの次に大きかったのが、やっぱりThe Cardigansでした。1994年、彼らの1stアルバム『Emmerdale』がリリースされて、渋谷のレコ屋のなかで、どこよりも早く「WAVE」が入荷させたんですよ。渋谷界隈が騒然となりました。「あのアルバム買ったか?」「これはヤバイ!」って(笑)。一般的には次の『Life』(1995年)で大ブレイクしますが、その前から本当に人気でしたよ。
それで、『Emmerdale』のクレジットを見るとレコーディング場所が「タンバリンスタジオ」となっていたんですよね。そのスタジオは、Eggstoneとトーレ・ヨハンソンが共同で設立したスウェディッシュポップの本拠地といえる場所で。僕が大好きなEggstoneの“Wrong Heaven”もトーレがプロデュースしているし、「繋がった!」と思いましたね。
撮影を担当したタイコウクニヨシは、1990年代に「WAVE」で働いており、取材の合間に当時を振り返って「『Life』は何枚売ったかわからないくらい売れた」と語ってくれた
スウェディッシュポップは、僕にとって「希望の光」だった。
—カジさんはThe Cardigansのどこに魅力を感じたのですか?
カジ:彼らの初期の代表曲というと、『Emmerdale』に入っている“Sick and Tired”だと思うんですけど、あの曲ってFrance Gallの“夢見るシャンソン人形”(1965年発表、原題は“Poupée de cire, poupée de son”)をベースにしていると言われていて。
僕もFrance Gallは大好きで、BRIDGEでカバーしたからこそ、あのすごくオシャレなアレンジには「一枚上手だな」と思わされました。しかもトーレは機材もこだわっていて、ビンテージ機材を使ったあたたかいサウンドがとてもよかったんです。
The Cardigans『Emmerdale』を聴く(Apple Musicはこちら)
—たとえばレニー・クラヴィッツがヴァネッサ・パラディをプロデュースして、ビンテージっぽいサウンドのアルバムを作るなど、1990年代前半には世界中で同時進行的にそういう動きがありましたよね。レニー・クラヴィッツが愛用していたウォーターフロントスタジオ(充実したビンテージ機材が有名で、Mr.Childrenのアルバム『深海』なども録音された)でレコーディングされた作品が注目を集めたり。
カジ:そうですね。日本でスウェディッシュポップがウケた背景として、「古今東西、いい曲であればOK」みたいな認識があったのは大きいと思います。「渋谷系」という言葉が生まれる前から、ピチカート・ファイヴの小西(康陽)さんやフリッパーズ・ギターの2人(小山田圭吾と小沢健二)、ORIGINAL LOVEの田島(貴男)さんとか、みんなレコードを掘りまくっていて。
そういう音楽の聴き方が1980年代後半にはあって、リスナーの興味がアメリカやイギリス以外の国にも向くようになっていった。ちなみにスウェディッシュポップ界隈の人たちはみんな、フリッパーズ・ギターやピチカート、カヒミ(・カリィ)さんが大好きだったんです。BRIDGEのことも、すごく気に入ってくれていたりして。
—のちに世界中で大ブレイクするThe Cardigansとその周辺の音楽が、東京の渋谷界隈の音楽と強く共振し合っていたというのは不思議な感じがしますね。カジさん自身も、Eggstoneを聴いて「やりたい音楽はこれだ!」と思い、彼らの拠点である「タンバリンスタジオ」でレコーディングして、ご自身の「居場所」のようなものを見つけた気持ちはありましたか?
カジ:それはものすごくありましたね。1995年にBRIDGEが解散して、当時の自分はこの先何をやったらいいのかがわからなかったんです。ギターポップは全然元気がなくなって、みんなフリーソウルへ向かっていってて。
カジ:もちろん、当時所属していた「Trattoria Records」(小山田圭吾が主宰したレコードレーベル)は居場所の1つではあったし、バンドもスタッフも大好きで仲はよかったんです。でも音楽的には、たとえばCorneliusが『69/96』(1995年)というアルバムを出したりと、小山田くんを筆頭にみんなギターポップからどんどん変化していって。
—BRIDGEの解散、Cornelius『69/96』とThe Cardigans『Life』のリリースは、どれも1995年のことなんですね。
カジ:そうなんですよね。ギターポップから違う音楽性に移っていく流れに僕がついていっても、単なる真似になるし自分が本当にやりたいことでもない、って悩んでいたときに現れたのがスウェディッシュポップ。僕にとっては「希望の光」というか、「僕はこういう音楽が好きだったんだ」と、心から思えたのは大きかったですね。
カジヒデキ『THE BLUE BOY』(2016年)を聴く(Apple Musicはこちら)
「こういう街に住んでいる人たちだからこそ、ああいう音楽になるんだな」って思わず納得しました。
—スウェーデンにはレコーディングなどで何度も訪れていると思いますが、どんな印象をお持ちですか?
カジ:スウェーデンはとにかくオシャレだなって思います。自分の好みと近いのもあると思うんですが、色使いがとてもキレイなんですよね。たとえばIKEAって、日本だと比較的日本人向けにしているところはあるんですけど、特に1990年代のIKEAは本当にカラフルなんですよ。基本原色ですし、発色もいい。お皿も家具も、「赤! 黄色! 青!」みたいな(笑)。
特にマルメ(スウェーデン第3の都市)という街が、すごくオシャレだったんですよ。「タンバリンスタジオ」も、スタジオの壁を(ピエト・)モンドリアンっぽくDIYでデコレートしたりして。レトロっぽいというか、60sっぽいかわいさに溢れていた。「こういう街に住んでいる人たちだからこそ、ああいう音楽になるんだな」って思わず納得してしまいました(笑)。
—スウェーデンは「フィーカ」というコーヒーブレイクを大切にする文化があるそうですね(参考記事:北欧のおやつ&休息習慣「フィーカ」を体験するパンケーキレシピ)。カジさんは、実際に現地で「フィーカ」を経験しましたか?
カジ:もちろん。1996年にスウェーデンでの初レコーディングがあって、そのときに、「やたらとみんな休憩するなぁ」って思ったんですけど、それが「フィーカ」との出会いでした。
朝9時からレコーディングがはじまるんですけど、初めて1~2時間で「ちょっと休憩」って。スタジオにキッチンがあって、コーヒーが常時いれられた状態で置いてあるんです。あと、スイーツとかも買ってきてあって、それをみんなで食べます。で、レコーディングが再開したと思ったら、また1~2時間で休憩になる(笑)。もう、何度も何度もコーヒーを飲むんですよね。「レコーディング終わらないんじゃないか?」って心配になったくらいです(笑)。
カジ:とにかくみんなで休憩を取って、そこでは仕事の話は抜きで雑談して、10分くらいしたらまた集中するっていう。それがスウェーデンの人たちの集中力を養っているんですよね。スウェーデンの人たちにとって「フィーカ」は、ただのコーヒーブレイクではなく、自分たちの3大発明のうちの1つっていうくらい大事な文化みたいです。
あの頃はよく「世界同時渋谷系化」現象って言われましたが(笑)、まさにその象徴が『Life』だと思います。
—ここからは「『ミスター・スウェーデン』が選ぶスウェディッシュポップ名盤5選」と題して、カジさんのオススメの5作品をお伺いしたいと思います。
カジ:せっかくなので、定番中の定番を。まずはEggstoneが1992年にリリースしたデビューアルバム『In San Diego』。「スウェディッシュポップの金字塔」といってもいい作品ですね。
The Jamやエルヴィス・コステロ、The Beatlesなど、米英のロックやパンク、ニューウェーブ、ネオアコに影響を受けた、本当にエヴァーグリーンないいメロディーが詰まっています。僕の人生でも、一番好きなアルバムじゃないかというくらい好きです。ちなみに、初期シングルもすごくよくて、日本盤を買うとボーナストラックとして入っているので、日本盤を買うのがオススメですね(笑)。
Eggstone『In San Diego』を聴く(Apple Musicはこちら)
—では、2枚目の作品をご紹介お願いします。
カジ:2枚目はThe Cardigansの『Life』(1995年)ですね。もちろん1stアルバムは最高だし、3rdアルバムの『First Band on the Moon』になるとロック色を強めに出すなど、新機軸のサウンドもすごくいいんですけど、やっぱり『Life』は彼らの魅力が最も詰まった最高傑作だと思います。
—『Life』は先ほども話に出たように、日本でも空前のヒットを記録しました。カジさんから見て、この作品にはどんな魅力が?
カジ:不思議と、渋谷系ともすごく通じるところがあるのは大きいですね。このときのプロモーションビデオは東京で撮影したものもあって、カヒミさんが出てきたりもするんですよ。あの頃はよく「世界同時渋谷系化」現象って言われましたが(笑)、まさにその象徴が『Life』だと思います。アートワークなども、間違いなく信藤三雄さんの影響を受けていますしね。
The Cardigans『Life』を聴く(Apple Musicはこちら)
—続いての作品を教えてください。
カジ:3枚目は、Cloudberry Jamの2ndアルバム『Providing the Atmosphere』(1996年)です。この作品は彼女たちの最充実期の1枚ですね。それこそ当時流行っていたフリーソウル的なエッセンスも入っていて、ブラックミュージックやハウス、ヒップホップが好きな感覚と、ギターポップが絶妙なバランスでミックスされているんですよね。
—彼らは本当に人気がありましたよね。彼女のアルトボイスがとても魅力的で、エイミー・マンあたりをも彷彿とさせます。
カジ:たしか初来日公演は、追加公演が2回くらい出るほど人気者でしたよね。渋谷のCLUB QUATTROが連日、超満員。このときのバンドのグルーヴもすごくよかったのを覚えています。
ただ、同時期にスウェーデンのフェス会場で彼女たちのライブを観たんですけど、お客さんが全然いなくて。彼女たちに関していえば、ビッグ・イン・ジャパン的なところはあったかもしれないですね。でも、それってある意味、「日本人はすごいんだな」とも思うんですよ。本国や世界での評価に左右されず、この感覚がわかるのは、日本人のセンスがいい証拠ですよ。
Cloudberry Jam『Providing the Atmosphere』を聴く(Apple Musicはこちら)
イェンス・レークマンは、これからもずっと聴き続けていきたいアーティスト。
—4枚目はいかがでしょうか?
カジ:The Wannadiesの4枚目のアルバム『Bagsy Me』(1997年)ですね。とにかくThe Wannadiesは大好きすぎて、ラジオでどれだけかけたかわからない(笑)。音はスウェーデンのギターポップ / パワーポップの代表でもあるし、ちょっとツイストする感じというか、ひねくれたポップさもあって、そこがまた面白いなと思います。
—このアルバムはジャケットもいいですよね。
カジ:アートディレクターはラース・サンドという人で、Eggstoneも手がけています。The Wannadiesはこの、寝転がっているのか死んでいるのかわからない(笑)、女性シリーズが何枚かあって面白かったですね。どれも欲しくなってしまう。僕の2ndアルバム『TEA』のジャケットは、このラースとフォトグラファーのイルメリーのコンビにやっていただきました。
The Wannadies『Bagsy Me』を聴く(Apple Musicはこちら)
—では、最後の1枚のご紹介をお願いします。
カジ:5枚目は、イェンス・レークマンの2ndアルバム『Night Falls Over Kortedala』(2007年)です。2000年代以降、スウェディッシュポップが落ち着きますが、それでもいいアーティストがたくさん出てきました。そのなかでも僕が最も好きで、信頼を寄せているシンガーソングライターがイェンスです。
サウンドの感触はBelle and Sebastianで、歌声はエドウィン・コリンズ(Orange Juice)っぽい。でも、アティチュードとしてはジョナサン・リッチマンに近いのかな。ライブを何度か観たんですが、割と「語り」でお客さんを掴むところがあって。セットリストも気分でいろいろ変えたりしてるところとか、かなりジョナサンと通じるんですよね。バンド編成のときもあれば、ソロのときもあり、とにかくいろんな形で表現し続けているんですよ。昨年出たアルバム『Life Will See You Now』もよかったし、これからもずっと聴き続けていきたいアーティストです。
イェンス・レークマン『Night Falls Over Kortedala』を聴く(Apple Musicはこちら)
—このアルバムはスウェーデンでチャート1位を獲得しているようですね。彼はブラックミュージック、とりわけ1960年代のノーザンソウルからの影響が大きいのかなと感じました。
カジ:そういう要素を思いっきりサンプリングしちゃうところとか、今っぽいセンスだなって思いますね。この人、ヨーテボリ(スウェーデン第2の都市)の出身なんですけど、自分の生まれた街についてもよく歌うんですよ。それもなんかいいなぁって。
ヨーテボリのアーティストって、そういう人が結構多いと思う。第2の都市で、大学もすごく多くて、ユースカルチャーが盛んなところなんです。僕も何度かヨーテボリでレコーディングしたことがあるんですけど、とにかく若者が生き生きとしている街だなという印象。しかも親日家が多く、すごくフレンドリーに話しかけてくれましたね。
メランコリーとカラフルさがミックスされているところが、スウェディッシュポップの魅力。
—ここまでスウェディッシュポップの名盤5選をお伺いしましたが、改めて、カジさんはスウェディッシュポップの特徴や魅力をどのように定義しますか?
カジ:一番は、ポップなんだけど、メランコリックで哀愁漂うメロディーですね。それは日本人の琴線に触れる要素でもあると思います。あと、スウェーデンは冬が長くて夏が短いので、その短い夏を謳歌しようという気持ちが本当に大きいんですよね。「思いっきり日焼けして楽しみたい!」みたいな(笑)。そういう、夏に憧れる気持ちがカラフルさやポップさに表れているんじゃないかなと。メランコリーとカラフルさがミックスされているところが、スウェディッシュポップの魅力なのかなと思いますね。
エンジニアのステファン(左)、スウェーデンの4人組バンド・Ray Wonderのルードウィグ・ボス(右)とともに。写真は2004年ごろのもの
—カジさんのEP『秋のオリーブ』がリリースされましたが、ジャケットは岡崎京子さんの『恋人たちⅡ』のイラストで、アーティスト写真やジャケットのインナーの写真は、1990年代に雑誌『Olive』で活躍していた天日恵美子さんが撮影しています。
カジ:サニーデイ・サービスが、昨年春に出したEP『桜 super love』のジャケットが岡崎さんだったじゃないですか。それに、映画『リバーズ・エッジ』の主題歌“アルペジオ”が小沢くんだったりして、なんとなく岡崎さんのことが頭の隅にあったんですね。
—今作には“夏の終わりのセシルカット”という楽曲も収録されていて、ジャケットも岡崎さんが描いたセシルカットの女性です。セシルカットというモチーフは、どこから出てきたのですか?
カジ:もともと着想のきっかけは、サニーデイのアルバム『the CITY』(2018年)に入っている“ジーン・セバーグ”という曲なんです。ジーン・セバーグといえば映画『勝手にしやがれ』(1960年公開、監督はジャン=リュック・ゴダール)のセシルカットだなって思っていたら、“夏の終わりのセシルカット”というタイトルがまず思い浮かんで。それで、セシルカットといえば岡崎さんしかいないなと思って、ジャケットにイラストを使わせてもらいたいとご相談したところ、ご快諾をいただいたんです。
カジヒデキ『秋のオリーブ』ジャケット(Amazonで見る)
カジ:天日さんは、僕が1998年から2年間『Olive』のエッセイ(「半魅力的な僕の生活 - Semi-Charmed Life」)をやらせてもらっていたときに、毎回僕を撮ってくれた方で、タイトルも『秋のオリーブ』だし、せっかくだからアーティスト写真を撮ってもらおうと。
天日さんには、そのとき以来にお会いしたんだけど、全然変わってなくて。撮影スタイルも当時のままで。いろいろリクエストをされる方なんですけど、なんかノせられてしまって(笑)。「かわいい」って言われながら撮ってもらいました。そういうのって、いくつになっても嬉しいもんなんですよね(笑)。
—“秋のオリーブ”のホーンセクションなどに、トーレっぽさを感じますね。
カジ:自分的にはそんなに意識してなかったんですけど、この曲をプロデュースしてくれた堀江(博久)くんのなかには、きっとあったのかもしれないですね。「カジヒデキといえば、スウェディッシュポップ」みたいなものが(笑)。
—同じように、「カジヒデキといえば、渋谷」と思う人も多いと思うんですよね。今、野宮真貴さんと「渋谷のラジオ」で番組も持っているし。さっきイェンス・レークマンが地元のことを歌うアーティストだとおっしゃっていましたが、カジさんは渋谷を「第2の地元」みたいに感じるところはありますか?
カジ:たしかに1990年代は本当に渋谷で遊んでもいたし、そこからムーブメントが生まれたりもしたから、自分にとってはすごく大きな意味のある街だと思っていました。ここ数年は渋谷区基本構想の歌(“夢みる渋谷”)を書かせてもらったこともあって、おっしゃるように第2の故郷的な気持ちはありますね。それはきっと野宮さんにもあると思います。
だから、今また渋谷といい感じで付き合えている気がします。恩返しというほどのことはできてないですけど、これからも何かしら貢献できたらいいなとは思っていますね。
- リリース情報
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- カジヒデキ
『秋のオリーブ』(CD) -
2018年9月5日(水)発売
価格:1,620円(税込)
DDCB-121041. 夏の終わりのセシルカット
2. 秋のオリーブ
3. きみはちから
4. 大好きな街 -My Fav City -
5. ピーキャン音頭
- カジヒデキ
- イベント情報
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- 『LIVE「秋のオリーブ」』
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2018年11月20日(火)
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
カジヒデキ
おとぎ話
堀江博久
※レコーディングに参加したおとぎ話、堀江博久のサポートで行うスペシャルライブです
- プロフィール
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- カジヒデキ
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千葉県富津市出身。1989年、BRIDGE結成。1992年にメジャーデビューし、1995年7月に解散。1996年にソロデビュー。「ラ・ブーム ~だって MY BOOM IS ME~」など数々のヒット曲を放ち、90年代の渋谷系を牽引した。2008年には映画『デトロイト・メタル・シティ』の音楽を担当。主題歌「甘い恋人」がスマッシュヒット。またDJイベント「BLUE BOYS CLUB」主宰やTBSラジオ『オーディナリーミュージック』、bayfm『SPACE SHOWER MUSIC RADIO』、渋谷のラジオ『渋谷のラジオの渋谷系』パーソナリティ、音楽フェス『PEANUTS CAMP』キュレーションなど、 音楽の紹介者としても幅広く活躍中。