生活ゴミがストレスに。青柳文子の心地よさ重視のエコ暮らし

「エコ」と聞くと、自然派で無駄をなくした暮らしやストイックな活動をイメージする人も多いかもしれません。しかし、Instagramやライフスタイル誌で目にする海外のエコな暮らしやアイテムはとてもおしゃれ。環境にやさしいライフスタイルを楽しんでいる人たちがたくさんいます。

環境先進国と名高いスウェーデンは、欧州諸国で最もCO2の排出量が少なく、家庭ゴミのリサイクル率は99%。対して日本は、世界で最も多くのCO2を排出する国のひとつであり、リサイクル率は20%台。エコ意識の高い国に比べて、まだ追いついてないのが現状です。

普段の生活から環境に配慮した行動をとり、SNSで発信もしているモデルの青柳文子さん。「エコは精神的な余裕が生まれる『自分のため』の行動」だと話します。自分のタイミングで、より心地いい毎日をはじめてみる。そのときに役立つ、日常生活に取り入れやすい活動や愛用アイテムを紹介してもらいました。

エコはストレスを減らす「自分のため」の行動

―青柳さんはInstagramでエコグッズを紹介されたり、自身のコミュニティでWWF(World Wildlife Fund)への寄付を募ったりされています。エコに興味を持ったきっかけは?

青柳:幼いころから動物や植物が好きで、自然が破壊されてしまっていることが気がかりでした。人間のせいで絶滅していく動物たちがいるということが悲しくて仕方がなくて、どうすればいいんだろうと子どもながらに考え始めたのがきっかけです。

そこから行動に移すようになったのは、結婚をしたことが大きかったですね。家族が増えると、家で料理をする機会も、洗い物やごみ捨ての回数も増え、「生活」がよりルーティンになりました。毎日赤ちゃんのお世話で手がいっぱいで、とにかく他のことに労力を割く余裕がない。だからルーティンのなかには無駄をなくしたいと思うようになりました。

赤ちゃんが生まれたばかりの頃は、買い物にもなかなか行けずネット通販をよく利用していて、梱包資材の処理にも一苦労。「1日に何回ゴミ箱を開けるんだろう……ゴミに割いている時間を子どものために使いたい……」といつもイライラしていました。

―生活のなかで、細かいストレスが積み重なったんですね。具体的にはどのようなことが?

青柳:1日十数回もあるオムツ替えのたびにおしり拭きも含めてビニール袋に入れるし、あちらこちらがすぐに汚れるのでティッシュを使う回数も多くなり、とにかくゴミが増えました。洗い物や洗濯も増えて、排水を汚していることも気になって。

想像するんですよね。排水を汚したら海や川の動物たちに負担をかけて、でもその魚や貝を私たちは食べる。どこかにしわ寄せがいって、地球にも健康にも悪い循環が生まれてしまっていると思いました。

青柳:あとは、生活の美意識としても、スーパーのビニールパッケージやプラスチックスプーン、使い捨ておしぼりなどのプロダクト自体が好きではなくて、家にあるのも嫌でした。

目につくものはお気に入りで揃えたいし、もっと見た目が素敵な物はないかと探していたら、自然素材や海外には、かわいいアイテムがたくさんありました。機能以前に見た目が好きで使っているところもあります。家のインテリアが格段に良くなりました。

―ストイックにエコを意識しているわけではなく、自然と生活に取り入れていったんですね。

青柳:そうですね。ストレスを減らして余裕のある毎日を過ごすために、自分にとって気持ちのいい行動を選択していたら、自然とエコを取り入れていたという感じです。

青柳文子が行う、3つのエコ。大事なのは「段階的に生活に取り入れていく」こと

―実際に、生活に取り入れていることをお伺いできますでしょうか。

青柳:小さなことですが、なるべく環境に負担のない物選びや、過剰包装を避けたり、環境問題への取り組みに熱心な企業を利用したりしています。

たとえば、スーパーでは袋詰めされていない野菜を購入したり、容器のリサイクルマークをチェックしたり。ボトル入りの食器用洗剤はやめて、石鹸に変えることでゴミも減りました。賞味期限の近いものから買って廃棄を防いだりもします。

あと食品宅配サービスもいくつか試した結果、「生活クラブ(生協)」は特に環境に配慮されていて、瓶や卵の容器から梱包資材までも回収してくれたり、野菜やお肉の生産過程まで環境に配慮されていたりするものが多い。再生可能エネルギーの販売もしているので、利用していて気持ちがいいので続けています。

―身の回りの気になったことから始められているのですね。

青柳:とにかくゴミが出ることが嫌で(笑)。なので、ラップやアルミホイル、キッチンタオルも使っていません。どうしても必要な場面があれば使うけど、なるべく使い捨ての物は使わずに、代用できる商品を探しています。

多少の値が張っても、長い目で見たらコスパがいいこともあります。それに、ひとつの物を長く使うことがいちばんなので、たとえば、タオルなら厚手の品質の良いものを買って、お手入れ方法について書かれた本で勉強しています。なかなか捨てられない性格なので、いっそのこと、物を買わないようになってきました。

―ラップやホイルがある生活が当たり前になっているから、使っているだけかもしれませんよね。

青柳:エコに暮らしをシフトしていくには、段階を踏む必要があると思っています。急に、身の回りの物をすべて変えると、慣れなくて逆にストレスがたまるはず。まずは、いま使っている洗剤を使い切って、買い足すタイミングで見直すことを繰り返せば、次第に生活に取り入れることができます。

私も、一度台所用スポンジをへちまに変更したのですが、あまり使い心地が良くなかったので、いまは洗剤不要のスポンジと天然素材のブラシを試しています。ダメだと思ったら無理をせずに、自分にとっていい商品を探したり使い方を見直したりするといいと思います。

木製でできたホウキとタタキ。カトラリーも木製を愛用(青柳さん私物)

―「環境に配慮した商品や企業の物を購入すること」「使い捨て商品は使わず代用する」、そのほか意識されていることはありますか?

青柳:いざとなったら「自然に還ることができる素材を選ぶ」というのも、大切にしています。あとはガラスや琺瑯、鉄、竹など長く使えて、環境に負担のない素材を選ぶようにしていて、カトラリーや子どものおもちゃは木材が多いです。

ワニ型の木製おもちゃは、いただきもの。木製のおしゃぶりはドイツで購入(青柳さん私物)

―長く使うためにはお手入れも大変だと思うのですが、手間がかかってストレスにはなりませんか?

青柳:手間がかかるものはあります。だけど、大切なことは「自分自身」の心地よさと「地球」のバランスを考えて選択することだと思っています。スピードや効率を優先すると、使い捨ては本当に便利ですよね。でも、地球のことを考えると胸が痛む。いろんな面から納得がいって、気持ちが上がるようなお気に入りを選べば、手入れの時間も楽しいですよ。

ただ、いまは社会全体の状況が変わっているので、お店へマイボトルの持参もできなくなっています。衛生面は最重要だと思うので、仕方のないこと。なるべく家でごはんをつくり、テイクアウトするにしてもバッグの持参を徹底したり、他にもネットショッピングの際に、「梱包は最小限で大丈夫です」と一言コメントをつけてオーダーしたりすることで、バランスをとっています。

先進国ドイツで感動した、暮らしに根づく環境スピリット

―昨年夏には、環境への取り組みや子育てについてドイツの暮らしを体験したいと、1か月住んでいらしたそうですね。滞在してみて、いかがでしたか?

青柳:あらゆる面で環境に配慮されていて、すごく感動しました。生活のなかに使い捨ての物がほとんどなかったんですよね。ドイツの方々はビールをたくさん飲むんですけど、飲み終えた瓶をお店に返すとキャッシュバックされるというデポジット制でした。市販のドリンク瓶も、受けつけているお店であればどこに返してもいい。街のいたるところに細かく分別されたゴミステーションがあり、リサイクルへの意識が徹底されていました。

スーパーで売られているほとんどの野菜やお肉がパッケージフリーでしたし、レストランでは、持参容器に料理を入れて小脇に抱え颯爽と街に消えてゆくお洒落な若い人も多く見かけました。プラスチック袋をぶら下げている人なんて一人も見かけなかった気がします。欲しくてもどこで手に入るかわからないほどでした(笑)。

レジ横で購入できるのは紙袋や丈夫なエコバッグのみだし、友人の家にあったプラスチック袋は「全部日本から持ってきたもの」と言っていました。ティッシュや使い捨ての紙製品は贅沢品扱いらしく、値段が高いので大切に使っていました。

ドイツの野菜売り場と、自然のなかで遊ぶ様子 (写真提供:青柳さん)

―日本にも普及してほしい取り組みはありましたか?

青柳:パッケージフリーや量り売りを推奨するお店が増えてほしいですね。ある海外の人に言わせると、日本ではスーパーで野菜が袋詰めされている光景は可笑しく見えるそうです。あとは、ドイツのデポジット制も魅力的ですよね。日本でも畜産が環境に与える影響を懸念するヴィーガンが増えてきているし、それに対応するbioスーパーやヴィーガンレストランの充実も追いついて欲しいところです。

―海外のエコ意識は日本よりも数段高いですよね。スウェーデンでは街のいたるところにリサイクル回収のボックスがあり、家庭から出るゴミの99%がリサイクルされています。また、学校教育で環境問題を取り扱うなど子どもから大人まで徹底されています。

青柳:私も環境への意識がまったく違うことを目の当たりにして、日本では当たり前になっていることをもう一度見直して、彼らの姿勢を見習ったほうがいいんじゃないかなと思いました。

「おしゃれで機能的、長く使える物」を選ぶ。青柳文子の愛用グッズ

―普段から愛用されているエコグッズを紹介いただけますか?

青柳:「Bee’s Wrap」は、手放せないです。使い捨てラップの代用として、野菜や食品を保管するために使っているのですが、見た目も使い勝手もよくて気に入ってます。コットン生地に蜜蝋やホホバ油など食品の保存に備えた加工がされていて、繰り返し使用できます。使いかけの野菜を包んだり、器の蓋代わりにしたり、大小10枚ほど持っています。

繰り返し使用できるエコラップ(青柳さん私物)

青柳:詰替容器のゴミもなくしたいと思っていたなかで出会ったのが「ethique」という固形シャンプーバーです。普通のシャンプーは中身の大半がじつは水で、その水分をなくすことで、大きなプラスチックボトルが不要になり、コンパクトなこれ一つで液体シャンプー3本分と同じだけ使えるんだそうです。紙の包装で、原料も100%サスティナブル。

「ethique」による、固形のシャンプーバーとコンディショナーバー(青柳さん私物)

青柳:洗い場については、洗剤不要のスポンジを使っています。カレーなど油汚れが強いお皿のときは、まず布で拭き、できるだけ洗剤の使用量を減らして、排水を汚さないようにしています。

その布は使い物にならなくなった服やタオルを切って、少しずつ使っていきます。洗濯も、自然に還りやすい洗剤を使い、服をネットに入れてマイクロプラスチックの流出を抑えるようにしたり、そもそも天然素材の服を選ぶようにしたりしています。

ドイツ発のオーガニック洗濯洗剤「sonett」(青柳さん私物)

SNSは情報だけじゃなく、エコ意識を取り戻せる大切なツール

―エコへの取り組みや商品を探されるときの情報収集は、どのようにされていますか?

青柳:情報収集はインターネットや本がメインです。環境問題全般だと、「グリーンピース・ジャパン」「IN YOU」などを参考にしながら、すべてを鵜呑みにするわけではなく、他からの情報とも照らし合わせて、正確な情報を探しています。

ゴミ問題だと、『ゼロ・ウェイスト・ホーム─ごみを出さないシンプルな暮らし』(ベア・ジョンソン著)という、家族4人で1年間に1リットルのゴミしか出さない暮らしぶりが書かれている本が、おもしろいです。訳者の服部雄一郎さんが、実際に日本でゴミゼロの暮らしにチャレンジされていて、その様子を記したブログも参考になります。自然と都市の共存といったところだと、「東京アーバンパーマカルチャー」のウェブサイトも面白いです。

―グッズを探すときは、いかがでしょう?

青柳:SNSが多いですね。そういう情報を常に発信しているアカウントをフォローしておけば、アイテムを探していて見つけられずにいたときでも、忘れた頃にぱっとタイムラインに理想的な物が現れたり、こんなアイデアもあるんだ! と、新たな発見があったり。

おすすめアカウントは、日本でゴミゼロを実践している人のアカウント(@zerowaste_japan)や、ブルックリンにあるライフスタイルショップ(@packagefreeshop)は、直接買えるし、かわいいものばかりで見ているだけで楽しいです。

あとは、ハッシュタグ「#エシカル」や「#zerowaste」で探すことも多いですね。最近は、衛生面を重視した自粛生活でどうやってゼロウェイストに近づけるかについてよく調べています。

思考の整理と、心の余裕。エコは自分にとっても地球にとっても、いい循環が生まれる

―青柳さんはオーストラリアの森林火災があった際に、自身のオンラインコミュニティを通じてWWFへの寄付を募っていらっしゃいました。小さなことから始めていくのが大事ですよね。

青柳:環境問題を自分ごとに捉えるのは、とても難しいと思います。極端な活動ばかりを目にして、重く捉えてしまいますよね。でも、自分と世界の結びつきについて、少しだけ想像を広げて、なにか一つでも行動を変えてくれるだけでいいんです。

他人に強要するものでもないし、やっていない人が悪いわけではなく、知らないからやっていない人も多いはず。私のコツコツと発信していることがだれかに届いて、「なんかいいな」と思うきっかけになれたらうれしいです。やってみると必ず自分に良い影響が返ってくるはずなので。

―地球のためでもありますが、自分のための活動でもありますね。

青柳:無駄のない暮らしを意識していると部屋に物が減り、思考までスッキリするんです。物を買わないからお金も減らないし、物を管理するための時間も浮いて、子どもや大切にしたい人のためにもっと時間を使える。それは自分にとってかなりの喜びになるし、心に余裕も生まれ、精神的にもいい循環が生まれるのでやっている、というのが一番の理由かもしれません。

ただ、個人レベルの発信では限界があるので、ドイツのように国として、もっと前のめりに環境問題に取り組む必要もあると感じています。

―お聞きしていると、青柳さんは自分の心地よさを大切にしながら楽しくエコに向き合っているなと感じました。

青柳:結局は全部、自分のためなんです。きれいな空気を吸いたいし、きれいな海で育った魚を食べたい。想像の範囲を広げて地球を想ったら、巡り巡って自分にも還ってくることがわかる。

都会を離れて暮らしたほうがいいのかもしれませんが、私は都会的な生活や文化も好きなので、都会にいながら無理なくエシカルなライフスタイルを確立できるように、日々暮らしをブラッシュアップしていきたいです。

<紹介してもらったおすすめアイテム>

Bee’s Wrap
ethique
sonett(食器用洗剤)

プロフィール
青柳文子 (あおやぎ ふみこ)

1987年生まれ。モデル・女優。青文字系読者モデルとして、独創的な世界観とセンスで同世代女性から支持を集め、雑誌、映画、ドラマ、アーティストMVなどに出演。映画や旅行についてコラムを執筆するなど、様々な分野で才能を発揮している。ママ雑誌でも表紙を飾り、新たな一面も見せている。



フィードバック 4

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

  • HOME
  • Life&Society
  • 生活ゴミがストレスに。青柳文子の心地よさ重視のエコ暮らし
About

「幸福度が高い」と言われる北欧の国々。その文化の土台にあるのが「クラフトマンシップ」と「最先端」です。

湖や森に囲まれた、豊かな自然と共生する考え方。長い冬を楽しく過ごすための、手仕事の工夫。

かと思えば、ITをはじめとした最先端の技術開発や福祉の充実をめざした、先進的な発想。

カルチャーマガジン「Fika(フィーカ)」は、北欧からこれからの幸せな社会のヒントを見つけていきます。

スウェーデンの人々が大切にしている「Fika」というコーヒーブレイクの時間のようにリラックスしながら、さまざまなアイデアが生まれる場所をめざします。

「幸福度が高い」と言われる北欧の国々。その文化の土台にあるのが「クラフトマンシップ」と「最先端」です。

湖や森に囲まれた、豊かな自然と共生する考え方。長い冬を楽しく過ごすための、手仕事の工夫。

かと思えば、ITをはじめとした最先端の技術開発や福祉の充実をめざした、先進的な発想。

カルチャーマガジン「Fika(フィーカ)」は、北欧からこれからの幸せな社会のヒントを見つけていきます。

スウェーデンの人々が大切にしている「Fika」というコーヒーブレイクの時間のようにリラックスしながら、さまざまなアイデアが生まれる場所をめざします。