LEO今井を形作るスウェーデン音楽。体ではなく頭の中で踊る音

LEO今井を形作るスウェーデン音楽。体ではなく頭の中で踊る音

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:伊藤惇 編集:川浦慧

「スウェーデンにもこんなカッコイイバンドがいるんだ」と知りました。

—今回は、LEOさんが影響を受けたスウェーデンのアーティストの作品を4枚お持ちいただきました。まずは、Entombedが1993年にリリースした3rdアルバム『Wolverine Blues』から紹介していただけますか?

LEO:13歳の頃、本格的に音楽に目覚めたのですが、その時にイギリス人の友人が教えてくれたのが、Entombedだったんです。当時イギリスに住んでいて、友人のお兄ちゃんが音楽好きだったんですよ。それでいろんな音楽をたくさん教えてもらったんですけど、特にEntombedには衝撃を受けましたね。彼らの音楽を聴いて、「スウェーデンにもこんなカッコイイバンドがいるんだ」と知りました。それでスウェーデンのバンドをディグり始めたんです。

Entombed『Wolverine Blues』
Entombed『Wolverine Blues』(Amazonで見る

—彼らはNapalm Death(イギリス出身のグラインドコアバンド。グラインドコアの始祖的存在として知られている)などを輩出した、Earacheというレーベルから作品をリリースしているのですね。

LEO:当時すごく流行っていたんですよ。Earacheから出ているアーティストは一通りチェックしていて、なかでも人気だったのがEntombedだった。最初に聴いた彼らのアルバムがこの『Wolverine Blues』だったので、未だに思い入れもありよく聴いてます。実際、この頃が一番勢いがあったんじゃないかな。ギターの音、ドラムのフレーズがゴリゴリしてるんだけど、聴きやすさもあって。

—LEOさんはグランジで音楽に開眼したんですよね?

LEO:そう。シアトルのバンドにまずハマりました。Alice in Chains(アメリカ出身のロックバンド。グランジブームの1990年代に人気を誇った)やSoundgarden(アメリカ出身のロックバンド。1990年代のグランジムーブメントを牽引した)、そこからPantera(アメリカ出身のヘヴィメタルバンド)へ行き、Napalm Deathを聴きました。その時のEaracheといえば、Napalm Deathがキングという感じだったんですけど、最初は正直よくわからなくて。でもEntombedはそこまでブラストしてなくて、Earacheの他のバンドと比べてもグルーヴィーだったから好きでしたね。ちなみに今は、Napalm Deathも大好きです。

—Entombedは、スウェーデンで国民的な人気を誇るバンドなんですよね。2002年にはストックホルムのスウェーデン王立歌劇場で、スウェーデン王立バレエ団と共演などしています。

LEO:マジですか? それは知らなかった。でも、私が想像していた以上に地元で人気がありましたね。スウェーデンに住んでいる義理の叔父さんに、「Entombedが好き」って言ったら、「おお、だったらGrave(スウェーデンのデスメタルバンド)も聴いてみなよ」って教えてもらって。やっぱりスウェーデンって人口が少ないから、Entombedを聴いたことがなくても名前くらいは知っている人は結構多いのかも知れないです。

イギリスでは「ティーンエイジャーが聴いているアンダーグラウンドなバンド」という認識だったし、初めて聴いた時は、ちょっと怖かったですけどね。こんなマニアックなサウンド、それまで聴いたことがなかったから。

—次にFIRESIDEの『Do Not Tailgate』。1995年にリリースされた2ndアルバムです。

FIRESIDE『Do Not Tailgate』
FIRESIDE『Do Not Tailgate』(Amazonで見る

LEO:昔、雑誌を読んでいたら、リック・ルービン(Def JamやAmerican Recordingsのオーナー)が彼らのアルバムを聴いて、あまりにも感動して涙を流し、すぐ契約に取り付けたというエピソードが載っていたんですよ。それで興味を持って購入しました。私が持っているのはスウェーデン国内盤で、海外流通盤はジャケットが差し替えられてしまうので、これはたぶんレアな1枚です。

LEO今井

—彼らはエモ、ポストハードコアバンドに分類されるベテランですよね。

LEO:ニューヨークのQuicksand(ニューヨーク出身のポストハードコアバンド)に近い音ですね。でもThe Jesus Lizard(アメリカのロックバンド。多くのオルタナティブやポストハードコアバンドに影響を与えた)に近い感触もあって面白い。ボーカルがとにかくエモーショナルなんですよ。この時はまだメンバーも10代で、甘酸っぱい歌詞を泣き叫んでる。「ルービンが涙を流した」というのも、この声を聴けば「なるほどな」って思いますね。

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リリース情報

LEO今井『VLP』
LEO今井
『VLP』

2018年7月11日(水)発売
価格:3,240円(税込)
COCP-40400

1. Wino
2. Bite
3. Fresh Horses
4. Tiffany
5. Sarigenai
6. New Roses
7. On Videotape
8. Real
9. Car Alarm
10. Need To Leave
封入特典:『VLP』発売記念プレゼントキャンペーンシート

イベント情報

VLParty(a release party)

2018年7月16日(月・祝)
会場:大阪 心斎橋 CONPASS

2018年7月19日(木)
会場:東京 新代田 FEVER

プロフィール

LEO今井
LEO今井(れお いまい)

日本・スウェーデン出身。イギリスでの生活を経て日本へ移住。オルタナティヴを基盤にした無国籍な都市の日常を切り取るニュー・ウェーブ・シンガーソングライター。その文学的、実験的な作風は、各都市で生活してきたVISITORとしての視点に溢れている。ソロアーティストとして、また、KIMONOS、METAFIVEのメンバーとしても活動中。2018年、TVアニメ「メガロボクス」オープニングテーマ「Bite」を皮切りに、自身の身体から沸き上がるメタル、グランジ、カントリーなどの音楽要素をバンド(LEO IMAI)で体現した5枚目のソロアルバム『VLP』を7月11日にリリースする。

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