LEO今井を形作るスウェーデン音楽。体ではなく頭の中で踊る音

LEO今井を形作るスウェーデン音楽。体ではなく頭の中で踊る音

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:伊藤惇 編集:川浦慧

高橋幸宏、小山田圭吾らと共に結成したバンドMETAFIVEや、向井秀徳とのユニットKIMONOSでの活躍でも知られるシンガーソングライターLEO今井が、ソロ名義では通算5枚目のアルバム『VLP』を7月11日にリリースする。

前作『Made From Nothing』(2013年リリース)からおよそ5年ぶりとなる本作は、長年彼を支えてきたサポートメンバーである岡村夏彦(Gt)、シゲクニ(Ba)、白根賢一(Dr)と共に作り上げた、知的で官能的、かつ凶暴なアンサンブルが印象的。グランジやメタル、ハードコア、カントリーなどの要素がミックスされつつ、どこか「和」や「北欧」のテイストを感じさせるのは、スウェーデン人と日本人を両親に持ち、長年イギリスで生活していたという彼のルーツに依るところも大きいのかもしれない。

今回Fikaでは、彼が10代の頃に影響を受けたスウェーデンアーティストの作品4枚をセレクトしてもらい、それぞれの魅力について語ってもらった。スウェーデン人としてのアイデンティティーが、現在の彼自身や新作にどのような影響を与えているのかを探る、貴重なインタビューとなった。

20歳くらいまで、毎年夏になると母親の里帰りでスウェーデンへ行っていました。

—LEOさんは、日本人の父とスウェーデン人の母の間に生まれ、おもに日本とイギリスで育ったそうですが、実際にスウェーデンへ行ったことはありますか?

LEO:20歳くらいまで、毎年夏になると母親の里帰りでスウェーデンのゴットランド島という、バルト海で一番大きな島へ行っていました。ゴットランドにはいい思い出がいっぱいあります。当時はストックホルムからフェリーで4時間くらいかかったかな。本国から少し離れている分、特有の文化があるんです。「ゴットランド語」と呼ばれる方言もユニークなんですよ。映画監督のイングマール・ベルイマンが晩年を送った島としても知られています。

LEO今井

LEO今井
LEO今井

—『魔女の宅急便』の舞台にもなった島ですよね。素敵なところですね。

LEO:スウェーデン国内では、12~13世紀からの教会が多く残っている島としても有名で。島には90余りの村があって、それぞれにそういう教会があるんですよ。その時代の教会が現存していて、狭い地域にこれほどたくさんあるのは世界的にも珍しいみたいです。小さい頃は、島中の古い教会を回って、名前と場所を暗記したりして祖父と遊んでいました。

—へえ! 素敵な思い出の地なのですね。

LEO:これまでの人生で、最高に楽しかった思い出のひとつかもしれない。あとスウェーデンには「ザリガニ祭り」という習慣があって、8月にみんなでザリガニを食べるんです。「フィーカ(お茶の時間)」くらい、スウェーデン人にとってはお馴染みのイベントですね。「ザリガニ祭り」にも思い出がたくさんあります。

—LEOさんは日本とスウェーデンのルーツをお持ちですが、スウェーデン人にはどんな国民性があると感じますか?

LEO:スウェーデン人はおっとりしていますね。大らかだし、いい意味で適当なところもある。ただ、内気な面があって、相手の腹を探るところとかは日本人に似ているかも知れないです(笑)。ガツガツしていないというか。

—LEOさんは普段、スウェーデン人としてのアイデンティティーを意識することはありますか?

LEO:うーん、スウェーデン人でも日本人でも、普段自分のアイデンティティーを意識することはあまりないから、何とも言えないかな。ただ、スウェーデンのデスメタルやハードコア、特に1990年代の良質だった時期の音楽を聴くと、ちょっと誇らしい気持ちにはなりますね(笑)。

—そういった音楽にスウェーデンらしさみたいなものがあって、そこに共感するという感じでしょうか?

LEO:そうだと思います。スウェーデンの音楽はアメリカの音楽から大きな影響を受けていると思うんですけど、でもなんか違うんですよね。この、「なんか」って何なんだろう? と、いつも思うのですが。「透明感」なのかな。アメリカのロックミュージックに憧れ、それをマネした時の「空気の味」が違うような。そこは私自身も共感できるし、自分の曲のなかにもそういう「透明感」があるような気がします。

LEO今井

—日本のロックもそうですよね。おもに英米のロックミュージックやポップミュージックに影響を受けていても、どことなく「日本らしさ」が滲み出ているというか。

LEO:ええ、そうかもしれませんね。

—思うに、英米のロックはブラックミュージックがルーツにあり、その「黒っぽさ」がLEOさんのおっしゃる北欧ロックの「透明感」と大きく違う点なのかなと。北欧のルーツにあるのはヨーロッパ的な、クラシック音楽からの影響がより強いからこそ「透明感」が生まれるのかなと思うんですよね。

LEO:確かに。より「構築」されているのかも知れないですね。体で踊るというよりも頭のなかで踊っているというか。

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リリース情報

LEO今井『VLP』
LEO今井
『VLP』

2018年7月11日(水)発売
価格:3,240円(税込)
COCP-40400

1. Wino
2. Bite
3. Fresh Horses
4. Tiffany
5. Sarigenai
6. New Roses
7. On Videotape
8. Real
9. Car Alarm
10. Need To Leave
封入特典:『VLP』発売記念プレゼントキャンペーンシート

イベント情報

VLParty(a release party)

2018年7月16日(月・祝)
会場:大阪 心斎橋 CONPASS

2018年7月19日(木)
会場:東京 新代田 FEVER

プロフィール

LEO今井
LEO今井(れお いまい)

日本・スウェーデン出身。イギリスでの生活を経て日本へ移住。オルタナティヴを基盤にした無国籍な都市の日常を切り取るニュー・ウェーブ・シンガーソングライター。その文学的、実験的な作風は、各都市で生活してきたVISITORとしての視点に溢れている。ソロアーティストとして、また、KIMONOS、METAFIVEのメンバーとしても活動中。2018年、TVアニメ「メガロボクス」オープニングテーマ「Bite」を皮切りに、自身の身体から沸き上がるメタル、グランジ、カントリーなどの音楽要素をバンド(LEO IMAI)で体現した5枚目のソロアルバム『VLP』を7月11日にリリースする。

関連チケット情報

2018年12月5日(水)
LEO IMAI
会場:The Voodoo Lounge(福岡県)

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