起業家のためのフェス。Slushが提案するワクワクする働き方

起業家のためのフェス。Slushが提案するワクワクする働き方

インタビュー・テキスト
加藤将太
撮影:豊島望 編集:原里実、木村健太

講義の内容を100%理解するより、面白い誰かに出会う場にしてほしい。

—『Slush Tokyo』の主催者として日本に関わるようになってから、日本のスタートアップに対してどのような課題や問題を感じていますか?

アンティ:2013年から日本に住んでいますが、当初は海外のゲーム制作会社の社員として来日しました。そのときは海外発のものを日本のコミュニティーのなかで普及させることがミッションだったわけですが、外国人として、日本社会には少し入りにくさも感じました。その後国内のスタートアップに転職しましたが、今度はその企業を日本から世界に進出させようとしたときに、また壁に突き当たったんです。たとえば海外からせっかく優秀な投資家やビジネスマンを連れて来ても、日本人は英語でのコミュニケーションに対するハードルが高いと感じました。

アンティ・ソンニネン

アンティ:ぼくは日本語がかなり話せるので、日本国内のスタートアップイベントに積極的に参加してきました。そこでわかったことは、日本語で行われるイベントには外国人がいないし、英語で行われるイベントには日本人がいないということ。お互いに興味を持っているはずなのに、近寄りがたく感じている状況はもったいない。でも一緒にいるだけで楽しめる場があれば、この問題は解決するなと思ったんです。それで、日本でも『Slush』を開催しようと思い立ちました。

—『Slush Tokyo』の公用語は英語、講演はすべて英語で行われ、ウェブサイトにも日本語のテキストが存在しませんよね。

アンティ:同時通訳のイベントもありますが、日本語と英語の両方ができる人からすると、同じ話を2度繰り返されるのは退屈だと感じるでしょう。また、どちらか一方の言語しかわからない人にしても、やはり講演の時間の半分が無駄になっているということですよね。イベントは面白くないといけないのだから、これではだめだと思いました。

『Slush Tokyo』での講義は、100%内容を理解してもらうものというより、「あの講義見ました?」と誰かに話しかけ、出会いを生み出すきっかけになってほしいと思っていて。正確な内容を知りたかったら、あとからYouTubeで字幕つき動画を見れば簡単に解決できる。でも刺激的な出会いはインターネット上ではなく、生のイベントでしか得られないもの。だからそれを生み出すことにこそ注力したいんです。

『Slush Tokyo 2017』の様子
『Slush Tokyo 2017』の様子

—日本人が想定する、英語でのコミュニケーションのハードルが高すぎるのかもしれませんね。

アンティ:イベントで同時通訳を入れるということは、間接的に「あなたたちは英語ができませんからね」と日本人に言うことと同じだと思います。英語にすると、最初は戸惑うかもしれませんが、「じゃあ頑張るか」という空気にもつながる。結局は考え方次第ですから、不安要素さえもポジティブなメッセージに変換して伝えることは、多くの人が集まるイベントを主催する者の責任だと思います。

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プロフィール

アンティ・ソンニネン

フィンランド出身。2007年に東京大学への留学生として初来日。米スタンフォード大学でのインストラクター従事を経て、2012年から、「アングリ―バード」で知られるRovio Entertainmentの日本担当カントリーマネジャーを務める。2015年よりSlush TokyoのCEOを務める。

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