フィンランド大使館×scopeが語り合う、至極素直で真っ当なPR展開

フィンランド大使館×scopeが語り合う、至極素直で真っ当なPR展開

インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:馬込将充 編集:川浦慧

もちろんフォロワー数は多ければ多いほどいいんだけど、それがすべてではないっていうのは感じています。(フィンたん)

—シャチョウさんはSNSで、マメに返事をされたりもしていますよね?

シャチョウ:そうですね。何か聞かれたら、なるべく答えるようにはしています。scopeのホームページには昔から「掲示板」があって、お客さんがいろいろ質問を書いてくれているんですが、実際いちばん見られているコンテンツかもしれない。で、そこに僕が返信をしたりっていうのを、もう18年ずっと続けているんです。

—SNSの時代になる前から、ネット上でお客さんとの関係性をしっかりと築いていたのですね。

シャチョウ:そうですね。そのときも、商品を売ることはまったく考えてなかったというか。たとえば、「いま欠品しているグラスをプレゼントとして買いたいんですけど、今月中に入りますか?」っていう質問に、「今月中には入らないんですけど、楽天のこのお店で売ってたから、そっちで買ったらいいんじゃないですか?」って平気で書いてしまったり。

フィンたん:へえ!

シャチョウ:でも、それはいいんですよ。入荷しないうちが悪いわけですから。あと、「フィンランドに行くんですけど、お勧めレストランはどこですか?」って、すごい聞かれるから、それをまとめて書き出してみたりして。

シャチョウこと平井千里馬

フィンたん:見てほしいコンテンツを見せるだけではなく、お客さんが知りたいことにも、ちゃんと答えるんですね。

シャチョウ:そうですね。何度も言いますけど、ホント何も考えてないので、何か反応があったら、それにお返事するっていう。そこも垂れ流しなんです(笑)。

フィンたん:僕も、みんなの質問は読んでいて、気にかけています。全部に答えるのは無理だけど、できるだけインタラクティブにやってきたいなとは思っていて。「フィンたんアニメ」を作る際に、「どんなストーリーがいい?」っていうのを、Twitterを通じて募集したりもしました。

シャチョウ:SNSは、そういうのが面白いですよね。僕らも、「この商品の名前どうしよう?」とか「どの色を仕入れたらいいかな?」みたいなときは、すぐみんなに聞いてしまうので(笑)。

—お二方とも、そういうことができるのは、それまでに作ってきた関係性ありきなところもあるんじゃないですか。

フィンたん:だから将来的にも、そういった近い関係性みたいなものは持ち続けたいとは思っていて。もちろんフォロワー数は多ければ多いほどいいんだけど、それがすべてではないっていうのは感じています。

シャチョウ:それは僕も感じますね。フォロワー数よりも、企画の面白さとか、それに対する食いつきみたいなほうが大事だっていう。そういう広がりのほうが、すごいパワーがあったりするんだよね。

シャチョウこと平井千里馬

—お二方とも、戦略やマーケティング云々ではなく、自分たちがやっていて楽しいものが、やっぱりいちばん強いというか。「伝え方」の意味でも、おふたりの「キャラクター」は、結構重要になっているのかなと。

シャチョウ:わかります。僕、以前ちょっと痩せたとき、お店の売り上げが落ちたんですよ(笑)。キャラクターが薄まったというか。そういう話じゃないのかもしれないですけど、みんなから「存在感がなくなった」とか散々言われて。でも、そういうキャラクターみたいなものって大事ですよね。実は僕、もともと「はがき職人」だったんですよ。

—えっ?

シャチョウ:高校時代とかは、ずっとラジオの「はがき職人」をしていて、もう受験勉強そっちのけで、ネタばっか考えてた人間なんです(笑)。なので、何か変なことを考えたり、文章を書くのは、昔から大好きなんですよね。scopeのサイトって、そんな感じがあるじゃないですか。

—確かに、ある意味ラジオ的なところがあるような気がします。

シャチョウ:だから、キャッチコピーとかも、いろいろくだらないことを考えながら作っているんですよね(笑)。

フィンたん:scopeの文体やキャッチコピーは、インパクトありますね!

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いわゆる「1枚買ったらもう1枚ついてくる」というキャンペーンを「バグってしまった」という打ち出し方をしている「1+1=1というバグ」

日本も物を捨てない社会に持っていきたいという思いがあるんです。(シャチョウ)

—深夜ラジオのパーソナリティーとリスナーの関係性ではないですけど、真面目な話もすれば、緩くてくだらない話もするという。

シャチョウ:そうですね。仕事としては真面目にやっているつもりなんですけどね。たとえばフィンランドって、物を捨てない具合いがすごいじゃないですか。マリメッコの布とかも、服にしたあと、それをカーテンにしたり、それをまた繋ぎ合わせて布団カバーを作ったり。

フィンたん:確かにそうですね。物を大事にする文化はあると思います。

 

シャチョウ:それが僕のなかではひとつのテーマなんです。scopeのこれからの方向性として、日本も物を捨てない社会に持っていきたいという思いがあるんです。というか、日本も昔はそうでしたもんね。消費がすべてではないというか、「消えていかない」ものを売りたいと思っていて。

だからscopeは、ふざけた方向性で商品の良さを伝えながら、ちゃんといいものを買ってもらって、ずっと引き継いでいってもらいたい。そんなにたくさんのものを買う必要って、ホントはないと思うんですよね。

—小売りの社長なのに、すごいこと言いますね(笑)。

シャチョウ:だから、僕も社員によく言われるんですよ。社長の言ったとおりにやっていたら、いつかscopeは売れなくなるって。でも、もしそうなったら、そんなにハッピーなことはないじゃないかって思うんですよね。そしたら、いまの店はさっさとやめて、旅行会社でもやるわみたいな(笑)。

—なるほど。scopeにファンが多い理由がわかったような気がします(笑)。フィンたんは、今後のビジョンみたいなものってあるんですか?

フィンたん:いくつか企画はあるんですけど、いまVRで僕と一緒にフィンランドサウナに入れるっていうプロジェクトを進めています。

シャチョウ:フィンたんがサウナの入り方教えてくれるんですか?

フィンたん:うん! フィンランドサウナについて、一緒に入りながら紹介するんだ。実は、フィンランド大使館のなかにもサウナがあって、そこで定期的にサウナイベントをやっているので、よかったら、シャチョウさんもどうですか?

シャチョウ:そういうサウナのルールみたいなものは、すごい知りたいかも。

フィンたん:では、是非今度、いらっしゃってください!

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プロフィール

平井千里馬(ひらい ちりま)(シャチョウ)

2000年1月よりオンラインショップのscopeを運営しています。イッタラ・アラビア・アルテック・ホルムガードといった北欧ブランドに、僕好みの物を好き勝手別注しまくっていますから、会社は借金達磨ではありますけれど、利用する側からすれば独特な品揃えで面白いはずです。フィンランドデザイン界の巨匠、オイバ・トイッカと僕とで協力して作りあげているscope別注のガラス製バードやアートオブジェが注目を集めまくっていますけれど、そろそろネタが切れそう!というのが最大の心配事です。

フィンたん

金髪で青い目の7歳の男の子。自分の国が大好きで国のシンボルであるライオンの着ぐるみを着ています。2011年に大使館のTwitterが開始し、その後NHKの@NHK_PRがフィンたんと呼びかけたことから名前がつきました。フィンたんの容姿は2012年夏に開催されたイラストコンテストで、アニメーション監督の糸曽賢志さんとTBSアナウンサー石井大裕さんが考案したデザインに決定しました。その後、フィンランド大使館デジタル外交の担い手として様々な場面で活躍しています。

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