フィンランド大使館×scopeが語り合う、至極素直で真っ当なPR展開

フィンランド大使館×scopeが語り合う、至極素直で真っ当なPR展開

インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:馬込将充 編集:川浦慧

僕はSNSで自由に発言していて、それはフィンランドの国民性とも言えると思う。相手を信頼したらとりあえずやらせてみるっていう国民性なんです。(フィンたん)

—先ほど、シャチョウさんは、あまりいろいろなものを見ないようにしているとおっしゃっていましたが、scopeはSNSを非常に巧く使いこなしているECサイトとして、話題になっていますよね。

シャチョウ:それ、すごいよく言われるんですよね。「どういうマーケティングをしているの?」とか「PRをどう考えているの?」とか。でも、いわゆる戦略みたいなものは、何も考えてないんですよ(笑)。ただ、自分が「これ面白いじゃん」と思ったことを、そのまま垂れ流している。それをやるのに、SNSはすごく向いていたというか。

—垂れ流す!?(笑)

シャチョウ:昔はブログを活用していたんですよね。たとえば出張に行ったら、その日、出張先であったことをそのまま書いて。自分の覚書として、ここのレストランが美味しかったとか、今日はこのデザイナーと会って良かったとか、そういうことを垂れ流していて。

僕らは自分たちが「これいいじゃん」って思ったものを売っているんですけど、商品の情報を伝えずにただ物だけ売ると、みんな「何?」ってなるし魅力は伝わらない。でも、僕がその商品を使って感じたことをそのまま垂れ流せば、お客さんもきっと同じように感じてくれると思っていて。だから、自分の感想も交えて垂れ流すっていう。ただ、それだけの話なんですよね。

シャチョウこと平井千里馬

フィンたん:scopeさんは、そういう商品紹介の文体がすごく独特ですよね。あれは全部、シャチョウさんが書いているんですか?

シャチョウ:基本的には、僕が全部書いてます。僕の書いている文章は、校長先生的ではないというか、上から何かを教えるみたいな書き方はしません。そうやって物事を伝えてくる言葉って、僕にはまったくキャッチできないんです。なので、僕が思ったり感じたことを、そのままの形で書くようにはしていて。

シャチョウによる、この日の様子のツイート

—その感覚というか、文体の緩さみたいなものは、フィンたんのツイートとも共通するように思います。

フィンたん:そうですね。駐日大使館のアカウントではあるんだけど、フィンランドの面白いネタや拡散したい情報があったら、わりと自由につぶやいています。それはフィンランドの国民性にもいえると思うんです。もともと上下関係もあんまりなくて。相手を信頼したらとりあえずやらせてみるっていう国民性で、外務省や周りの人にいちいち許可を取る必要もない。ただ、もちろん、誤解を招きそうなことがある場合は気をつけます。

たとえば、先日のセンター試験に出題されて大きな議論を呼んだ「ムーミンの舞台はどこか?」という問題に対して、「ムーミン谷はきっとみんなの心の中にあるのかな」ってツイートしたんです。あのときは周りの人にも相談したけど、みんな「そうだよね」って。具体的な表現については、みんなと確認し合いました。

ご飯を食べている「風」の写真は撮らない。(シャチョウ)

—ちなみにフィンたんは、Twitterを運用する際、どんなことに気を付けているのですか?

フィンたん:いまはフェイクニュースが話題になっているけど、やっぱり間違いがないようには意識しています。どれだけ緩くつぶやこうとも、駐日大使館のアカウントなので、公式的な感じで受け取られるだろうから。

—「7歳だから許して」というわけにはいかないですもんね(笑)。

フィンたん:そうですね(笑)。あとは、フィンランドに対するみんなの興味が広がってきているので、幅広いジャンルの情報を届けるようにしています。昔はムーミンとかオーロラ。いまはデザイン、家具、食器だったり……音楽でも、クラシックからヘビーメタル。あと、最近は、『ガールズ&パンツァー』の影響で、フィンランドの戦車に興味を持つ人がすごい増えているんです。

シャチョウ:フィンたんは、いわゆる「炎上」みたいな経験ってあるんですか?

フィンたん:炎上はないかな。

シャチョウ:おぉ、すごい。SNSは、やっぱり炎上が怖いんですよね。

—scopeさんは、Instagramの投稿もすごく面白いし独自性がありますが、どんな考えで運用されているんですか?

シャチョウ:自分たちが扱っている商品を、なるべくリアルなシチュエーションで撮ろうっていうのは、昔からやっています。だから、みんなでご飯を食べている「風」の写真は撮らない。みんなで合宿をして、朝から晩まで一緒に過ごしながら、実際に商品を使っている写真を撮っていくんです。

Scopeさん(@scope_japan)がシェアした投稿 -

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シャチョウ:だけどそういうのって、だんだんみんな真似てくるんですよ。で、どうしようかなって考えて、動画を撮ることにしたんです。去年はクリスマスを盛り上げるために、みんなでフィンランドに行って、一般家庭で動画を撮ったりして。それをInstagramにアップしたりっていうのは、やっていますね。

Scopeさん(@scope_japan)がシェアした投稿 -

フィンたん:動画という意味では僕たちも、ちょうど去年がフィンランド独立100周年だったのもあって、「フィンたんアニメ」をつくりました。あとは、「踊ってみた」動画でアイドルさんたちと踊ってみたりとか。

何か面白いことをして、僕たちが楽しんでいると、「こういうのやってみない?」と新しいユニークな話が舞い込むんですよね。いま、カラオケでフィンたんアニメと「踊ってみた」動画が観られるのも、外部の方が提案してくれたんです。

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プロフィール

平井千里馬(ひらい ちりま)(シャチョウ)

2000年1月よりオンラインショップのscopeを運営しています。イッタラ・アラビア・アルテック・ホルムガードといった北欧ブランドに、僕好みの物を好き勝手別注しまくっていますから、会社は借金達磨ではありますけれど、利用する側からすれば独特な品揃えで面白いはずです。フィンランドデザイン界の巨匠、オイバ・トイッカと僕とで協力して作りあげているscope別注のガラス製バードやアートオブジェが注目を集めまくっていますけれど、そろそろネタが切れそう!というのが最大の心配事です。

フィンたん

金髪で青い目の7歳の男の子。自分の国が大好きで国のシンボルであるライオンの着ぐるみを着ています。2011年に大使館のTwitterが開始し、その後NHKの@NHK_PRがフィンたんと呼びかけたことから名前がつきました。フィンたんの容姿は2012年夏に開催されたイラストコンテストで、アニメーション監督の糸曽賢志さんとTBSアナウンサー石井大裕さんが考案したデザインに決定しました。その後、フィンランド大使館デジタル外交の担い手として様々な場面で活躍しています。

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