愛のおまじないや仰天の魔除けまで。北欧の夏至祭アイテム3選

「ようやく冬が明けたよ!」 夏至のお祝いにまつわるアイテムたち

北欧のかわいらしいテキスタイルやアイテムの背景には、実は北欧ならではのエピソードや職人魂が詰まっていること、ご存知ですか? 本連載「北欧おみやげ雑貨図鑑」では、北欧の日用品やインテリアを輸入・販売するウェブサイト「北欧雑貨」がピックアップしたアイテムと、それを通して見える北欧の暮らしや風景を、各回のテーマごとにお伝えしていきます。

第1回は、北欧の人々が愛してやまない「夏至祭」にまつわるアイテム。春頃たまたまカフェで話したデンマーク人が「ようやく冬が明けたよ! ノーモアウィンター!」と笑っていました。冬が長く厳しい北欧では、暖かく明るい夏の訪れをみんなでめいっぱい祝います。話を聞くだけで体中がイキイキとしてくる感じさえするほど、夏至祭は楽しくて気持ちよさそう。今回は、スウェーデン、フィンランド、デンマークそれぞれで結構違う、夏至のお祝いの仕方とともにご紹介します。

「永遠の命」を意味するリースを飾る、スウェーデンの「メイポール」

Hemslojden Boras「ラッセントレー・メイポール」
Hemslojden Boras「ラッセントレー・メイポール」(詳細を見る

スウェーデンでは夏至の日は盛大にお祝いをします。広場に「メイポール」を立てて、みんなでぐるりと囲んで賑やかに踊ります。メイポールとは、高さ20メートルほどの木をクロス状に仕立て、白樺の葉っぱや色とりどりの花でふんだんに彩り、永遠の命の輪を意味するリースを吊り下げて作る、実に象徴的な飾りのこと。

もともと、ドイツなどのヨーロッパ諸国で、樹木の霊魂が太陽の光をもたらすと信じられていたことから、豊穣のシンボルとして立てられた「五月の柱」が源流にあるそう。本来5月に立てられるこの柱ですが、冬の長い北欧では、緑が豊かになる夏至の時期にメイポールを立ててお祝いするようになったと言われています。

メイポールの周りで踊る、女性たちのまとう民族衣装の白いドレスは頭に頂く花冠を鮮やかに引き立て、お祭を彩ります。老若男女、歌い、踊り、ニシンとシュナップスを楽しみながら夜通し楽しみます。

20メートル以上あるメイポールですが、木製の置物なら家でも気軽に、夏の訪れを感じることができるのではないでしょうか。

フィンランドの愛にまつわるおまじないを描いたトレイ

opto design「トレイ(夏至祭の乙女の花摘み)」
opto design「トレイ(夏至祭の乙女の花摘み)」(詳細を見る

フィンランドでは、長い冬が去った後は、生命力に溢れた季節の到来をみんなで喜び、サマーコテージでゆったり過ごしたり、賑やかにおしゃべりをしたり、サウナに入って湖に飛び込んだりしながら、明るい白夜を楽しみます。

そうそう、夏至の日には愛にまつわるおまじないがあるんです。女の子たちは、7種類の花を摘みながら家に帰ります。そしてその花々を枕の下に入れて眠ると、夢で将来のフィアンセに会うことができるんですって。爽やかでロマンチック!

そんな愛のおまじないをするために花を摘む女の子を描いたトレイで、将来のフィアンセに思いを馳せてみてはいかがでしょう?

デンマークのびっくりする厄払いにまつわる「魔女」の人形

Hemslojden Boras「魔女のモビール」
Hemslojden Boras「魔女のモビール」(詳細を見る

デンマークの夏至のお祝いの仕方はスウェーデンやフィンランドとちがって、初見時はちょっとびっくりしてしまうかもしれません。みんな陽の光を全身に浴びながら音楽やお酒を楽しむのは他の国と同じですが、夕方にメインイベントが。

なんと、夏至に強まる「魔」の力を祓うため、魔女を火あぶりにしてしまうのです。山盛りにされた木々のてっぺんに等身大のカカシ魔女が立てられ、火をつけられごうごうと燃やされます。魔女は燃やされて悪魔の住処であるブロッケン山に帰っていくと言われています。ブロッケン山というのはドイツにある山で、魔女が年に1回饗宴を開くという言い伝えがあるのです。

人々は魔女が燃える焚き火の様子を眺めながらゆったりと過ごし、燃え尽きたら家路に着きます。帰り道はもちろん明るいままで、のびのびとした気分を存分に楽しみます。

火あぶりはかわいそうですが、そんな魔除けのモチーフとして、魔女のモビールを紹介。伝統的な素材であるフェルトや羊毛で作られた、愛嬌のある魔女の人形が、まるで部屋の中を飛んでいるように見えます。

からっとしない梅雨の時期ですが、夏の訪れや晴れの日を喜ぶ気持ちは日本も北欧も共通。北欧の爽やかな夏至の日の空を思い浮かべて、気持ち良い日を過ごしましょうね。Have a good life!

「北欧おみやげ雑貨図鑑」連載もくじ
「北欧おみやげ雑貨図鑑」連載もくじ

ウェブサイト情報
オンラインストア「北欧雑貨」

デンマークでは「hygge(ヒュッゲ)」という感覚をとても大切にしています。意味は「自分の好みにぴったり添う心地よさ」といったところ。「北欧雑貨」では、北欧・欧州から輸入した、暮らしをhyggeにするアイテムをご用意しております。

プロフィール
加藤麻由子 (かとう まゆこ)

1985年生。武蔵野美術大学建築学科卒。アート・デザイン・建築界隈を経て、2013年(株)ピーオーエス入社。現在は制作とストアマネジメントの両刀使い。海外買付に行く度に自由時間をすべて建築見学につぎ込みます。公私関わらず一日中北欧のことを考えて、隙あらば映画館に滑り込み、休日は気が済むまで読書と昼寝と料理を楽しみます。「Hyggeたれ」が座右の銘。マッツ・ミケルセンさんの大ファンです。



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「幸福度が高い」と言われる北欧の国々。その文化の土台にあるのが「クラフトマンシップ」と「最先端」です。

湖や森に囲まれた、豊かな自然と共生する考え方。長い冬を楽しく過ごすための、手仕事の工夫。

かと思えば、ITをはじめとした最先端の技術開発や福祉の充実をめざした、先進的な発想。

カルチャーマガジン「Fika(フィーカ)」は、北欧からこれからの幸せな社会のヒントを見つけていきます。

スウェーデンの人々が大切にしている「Fika」というコーヒーブレイクの時間のようにリラックスしながら、さまざまなアイデアが生まれる場所をめざします。

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